第1224話 助平オヤジ?
俺とユズキの話が途切れると見るや、ユズカがミヤとヒナに何かを指示した。
何を指示したのかは、聞かずともわかった。
ちゃきっ! っと二人はマスケット銃を構えたかと思うと、またまたお向かいの崖をめがけて銃を撃ちまくったのだから。
しかし、先程よりも微妙に威力が高い。
さらに、たまに連射もしている。
えっと…その銃って単発式じゃなかったんだ。あ、連射も出来るんですか…そりゃ、実弾使ってるわけじゃないもんね…。
射撃の途中途中で、ユズカがヒナミヤに何かを指示すると、都度都度2人の射撃の威力が変わる。
最後にユズカが2人に指示したのは、きっと川の流れを悪くしている、中に落ちた崖の残骸を撃って崩そうとしたものだろう。
何故なら2人だけでなく、さっきまで崖を目掛けてロケットランチャー的な物を撃ちまくっていたエルフさん達も、全員が川の縁に立って、鋭い目つきで川の中を狙ってランチャーとかを構えていたからすぐにわかったのだ。
「射撃よーい! ってーーーーーーーー!」
そしてユズカの号令で、またまた始まる、耳を塞いでも身体にビリビリと響く轟音を立てる一斉射撃。
煙(火薬の臭いはしない)と水飛沫と水煙が一瞬にして視界を悪くする。
どれぐらいの時間、この一斉射撃が続いたんだろう?
楽しそうにヒナとミヤも川面に向かって撃ちまくっていた。
「止めーーーーーーーーーーーーー!」
何でだろう…この部隊の指揮は、ユズカがとってる気がする。
そのユズカの号令で、上流から下流までずらりと並んだ脳き…マッチョ至上主義のエルフさん達の射撃が一斉に止んだ。
えっと…今のユズカは変身もしてないんだけど、何でこの轟音の中で彼女の号令が聞こえるの?
しかも、かなりの範囲に皆広がってるのに…。
やがて、視界いっぱいに広がっていた水煙やランチャーの煙やなんやかんやが晴れ、川の様子がはっきりと見える様になった。
なったのだが…確かに川面から顔を出していた元崖の部分は、綺麗さっぱりと消え去っていたが…水中はあんまり変わってねぇんじゃね?
水面から見える範囲で言えば、かなり水深が浅くなっている様にしか見えない。
って事は、川に落っこちた崖の大半は水中でほぼそのまま残ってて、流れが速くなってる状況は改善されてない?
いや、それでも落ちた崖の部分のせいでジグザグになってた流れが、ほぼ整えられた事を考えたら、かなり良くなったのかな。
「う~~ん、やっぱり水中だとかなり威力が落ちるなぁ。もっと至近距離でぶっ放さなきゃだめかなぁ? どう思う、柚希~!」
「今回用意したのは、水中に向かって撃つ事を想定してなかったからねぇ。一番簡単な仕組みの着発信管だから、ほぼ水面で爆発しちゃうんだよねぇ。水中に向かって撃つなら…ちょっと考えなきゃ駄目かもね」
何かまたこの馬鹿夫婦は、恐ろしい事言い始めたぞ?
「いやいやいやいやいやいやまてまてまてまてまてまて! コレの研究開発は、一旦中止だ馬鹿やろー! お前ら、この前俺に言ってたじゃねーか、カメラ作りたいとか何とか! そっちを優先しろよ! 使い所が定まってない武器とか兵器の開発なんて、せんでよろしい! 大人しくAV機器を開発しなさい!」
「「え~?」」
またか、またなのかこの夫婦は! 何が不満なんだよ! カメラとかビデオとかあれば、色々と記録できるじゃねーか!
子供の成長とか…夫婦の夜の営み…いや、これは駄目だ…絶対に口に出してはいけない。
もしかしたら誰かが気付くかもしれないが、そんな使い方を最初から想定しちゃ駄目だ!
「ねぇ柚希…あの顔、絶対にエッチな事考えてるよね?」「AV機器開発を熱く熱望してるぐらいだから…実はAVを撮りたいとか?」
ちゃうわ、ボケー!
「AV機器…。はっ! もしや夫婦生活の危機!?」「マンネリと言う奴かな?」
うるせーよ!
「そうか、だから自撮りだなんだ!」「5人の妻との乱れた夜の夫婦生活ですね?」
お、お前らなぁ…言いたい放題言いやがって…。
「「ぱーぺきな助平オヤジ脳だ!」」
「やっかましーーーーーーーーわーーーーーーーーーーー!」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます