第1016話  無いです!

 倒れたミヤを放ってもおけなかったので、取りあえずナディア達に俺の寝室へと運ぶように指示をした。


 まあ、俺の寝室に…と指示した瞬間、嫁ーずから色々と言われましたよ、ええ…。

 特にミルシェとマチルダから『やはり…幼児が…』とか、イネスから『どんな性癖でも愛してみせよう!』とか、ミレーラが半泣きで『わ…私も、まだ小さいですから…愛してくれますか…?』と、自分の胸を両手で押さえながら言われたり。

 皆、俺を一体なんだと思ってるんだよ! 俺はノーマルだ! ロリでは無い!

『でも、シスコンですよね?』

 嫁ーずだけじゃなく、ナディア達までもが声を揃えてそんな事を…。

 いいや、断じて違うぞ!

 確かにコルネちゃんもユリアちゃんも可愛いのは認めよう! だが、家族なんだから愛していて当然だろう! 

 家族を愛する事が、何故シスコンなのだ! 何もおかしなところなど無い! だから妹を愛する事に恥じる事など無いのだ!

『開き直った…』

 何故に全員で声を揃える?


 ああ、もうそんな話は後だ後! 今は急にぶっ倒れたミヤの事だ。

 そう、そうだよ…モフリーナにそれを聞こうと思ってたんだ。

「ちゃんど確認してまんねんよ」

 俺が言う前に、ドワーフメイドさんがそう言った。

「え…すっごいタイムリーだね?」

 俺がそう言うと、ニヤリと笑ったドワーフメイドさんが、

「ご領主どんだば、小ちぇ女のわきやしが倒れたきや、放ておがいねだろうと思て、先に連絡どごしてたんやぁ」

 ああ、そうですか。

「エネルギー吸い過ぎて気持ちいぐなて倒れただげだがきや、すぐさぁ目が覚めるど言ってますたぁしぃ」

 うん、言いたい事は何となくわかるよ…うん。

 どうやら大丈夫なようで、ちょっと一安心。

 だけど、やっぱ未だにミヤの使用方法が分からないんだけど、どうなってんだろ?

 そんな事を考えながら、ミヤの様子でも見に行こうと食堂の出口に向かって歩き出そうとした。

「トールさま、どちらへ?」

 そうマチルダから声が掛かったので、俺は振り返ってながら、

「ちょっとミヤの様子を見に…」

 すると、嫁ーず&妖精達が一斉に俺を指さして叫んだ。

『ダウト!』

 何でだよ! ちょっと様子を見ようと思っただけだろうが! だって心配だろ?

 っちゅーか、誰にそんな言葉を教えてもらったんだよ!? ユズカか、それともユズキからなのか?

「トールさま…幼女が気を失っている間に、一体何をしようと?」

 何だよ、その胡乱な目は、ミルシェ!

「やっぱり…トールさまは…幼女が…」

 だから、違うって言ってんだろ、ミレーラ!

「まあ、殿方はそういった趣味の方も多いと聞きますが…」

 どこぞのクソ爺じゃねーんだから、そんな趣味ねーよ! 何で俺の趣味って決めつけてんだよ、マチルダ!

「ふむ…出来れば我々全員が子を身籠ってからにして欲しいのだが?」

 イネスさん、それって皆が妊娠したらOKって言いたいの? 

「困ります、マスター! 皆さんが妊娠したら、次は私です!」

「「「順番厳守です!」」」

 いや、ナディアもアーデもアーフェンもアームも、一体何を言ってるのかな?

 次って…順番って…お前らが勝手に決めただけだろうが!

「幼女好きならぁ、わぁ達にもワンチャンあるだがの?」「おきや達は人族でいえば幼女みてなものだがきやな」「可能性はねぐもね」「うんうん、いけるだがの」「ちょっど、お化粧してくべ」

 みろ、ドワーフメイド衆も口々におかしな事を言い始めて…おいちょっと待て! 今、5人いたよな? いたよな!?


 阿鼻叫喚の地獄絵図って、こういう状況なんだろうか? 

 それとも、ずっと以前に倒したはずの恐怖の大王、カオスが復活したのだろうか?

 食堂に集まった嫁ーず&妖精達&ドワーフメイド衆の目が、異様にぎらつき始めた。ってか、明らかに獲物を狙う肉食獣の目だよな、あれは…。

 え、俺…ここで喰われちゃったりするの? 食堂だぞ、ここは? いや、寝室だったら良いって訳じゃないけど。

 くっ…しまった…今日は、この邸に男は俺だけじゃないか!

 そ、そうだ、ブレンダーが居た! 俺を守るんだ、ブレンダー! …え、何で君そんなにやる気ないの?

 自分の蒔いた種でしょうって? 俺がどこに種を蒔いたんだよ! 

 メリルとミレーラに? そ、それは否定できない…じゃなくて、何とか俺をこの場で守ってくれって言ってんだよ!

 くそ、こうなったら、クイーンよ蜂達と共に俺の壁となれ! …そのポーズ何?

 ヤレヤレ? 自分達であの恐ろしい波を防げるわけ無いって? …くっ…戦力差が大きすぎるっていうのか…。


 その後、何故か全員で俺を取り囲み、どこにも逃げない様にと手を腰を女性陣全員に拘束されながら、ミヤの様子を見に行く事になった。

 俺って、そんなに信用無いのかなあ。

『無いです!』

 何故に俺の心の声にこたえるんだ、君達は…。

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