第915話 何なの?
さすがに誰も見ていない&邸は女性ばかりだとは言え、自分の嫁達をスケスケのネグリジェで外を歩かせるなんてとんでもないので、もちろんちゃんと着替えさせた。
身だしなみを整えた俺達は、朝食を食べる為、ホワイト・オルター号から父さんの邸へと移動。
食堂に入ると、そこには妖精族4人の姿が。
「マスター、ご迷惑をお掛けしました」『ご迷惑をおかけしました!』
ナディアがそう言って頭を下げたのに続き、アーデ、アーム、アーフェン人も、揃って頭を下げた。
その声は結構ハリがある様に感じられるが…、
「もう大丈夫なのか? 無理はしてないか?」
そう聞かずにはおけない。
ちらりと嫁ーずを振り返っても、やっぱり心配顔だ。
「はい、大丈夫です。万全かと言われますと、何とも言い難いのですが、日常生活には何の支障もございません」
ナディアがそうはっきりというと、アーデ達もうんうんと頷いている。
ふむ、どうやら俺の邸に連れて帰っても大丈夫…かな?
「よかったですねぇ」
ミレーラが嬉しそうにナディアに駆け寄り、手を取って喜んだ。
それを見たからか、メリル、ミレーラ、マチルダ、イネスも、アーデ達に駆け寄り取り囲み、彼女たちの回復を我が事の様に喜ぶ。
女子率爆上がりだな…俺以外全員女子じゃねーか…。
1人2人なら女子の匂いなら興奮もするんだが、さすがに9人もいると、むせ返るようなむわっとした女子臭で食堂がいっぱいになるなあ。
などと、喜び有っている女子を見ていたら、さらにメイドさん達4人が追加され、とんでもなく息苦しい空間になってしまった…男にとっては、だけどな。
ひとしきり喜び合っていた嫁ーずと妖精達も、メイドさんが運んできた食事を目にすると、一旦落ち着いて席に着く。
いつまでもわちゃわちゃしてたら、真面目にお仕事しているメイドさんに迷惑だしね。
さて、では温かいうちにお食事を頂きましょうかね。
食事の席では、特にあの場所に関しての話はしなかった。
嫁ーずもナディア達も場をわきまえたのかマナーをわきまえたのか、今はただ全員が食事に集中。
ただ、ちょっと急いで食事を口に運んでいるのを見る限り、早く済ませて話をしたいってとこかな。
かく言う俺も、食事を口に運ぶスピードがいつもよりも早くなっているわけだが。
そんなこんなで、貴族家としては少々お行儀が悪いかもしれないが、もちゃもちゃと食事を口にかっこんで朝食を終えた俺達は、そのまま全員で応接室へと移動した。
応接室で、メイドさん達によるお茶の配膳が済んだところで、俺や嫁ーずによる再度の事情聴取。
まあ、この場で聞いた事も、ベッドに臥せっていた時に聞いた内容と、ほぼ一緒。
現在はダンジョンマスターズによる、問題の場所をダンジョン化した上での調査を開始している事を告げ、安心するようには言ってある。
ただ、ダンジョンマスターズからの情報で、ひよこが怪しいと感じていた俺は、直接遭遇した4人に重点的に聞くことにした…のだが…。
「私が見たひよこは、黄色くて長い毛がありました」
「私が見たひよこは、茶色でした」
「私が見たひよこは、薄い緑色です」
「私が見たひよこは、トラ縞でした」
ちょっと待て!
「え、全員が別々のひよこに遭遇したのか!?」
全員、ひよことしか言わなかったから、てっきりひよこは1匹と思ってたのだが、複数体いるらしい。
『えっ!?』
俺と同じく、ナディア達4人も驚いている。
「ひよこが、4匹居るって事なんでしょうか?」
マチルダも、少し難しい顔をしながら考え込む。
「まてよ? それだと赤い角というか毛が生えてたひよこって、誰が遭遇したんだ?」
『私です!』
何故か、妖精達4人全員が手を上げた。
はて? 全部のひよこに毛が生えて…角が装備されている?
「あ、でも…」
何かを言い淀むアームに、俺は何が言いたいのか続きを促す。
「私を捕まえようと迫って来たひよこは、急に毛が生えた様な…」
「あ、そう言えば私も…」
アームの言葉を聞いて、思い出したかのようにアーフェンも続く。
「私の時は…最初から生えてたかも…でも…」
アーデが何かを思い出している様だ。
「あれは、本当に捕まえようとしてたんでしょうか?」
目をつむり天井に顔を向けていたアーデは、『う~~ん』とうなり始めた。
「確かに…そう言われてみると、捕まえようとしてたのかどうか…」
ナディアも記憶を辿りながら言う。
ん~~~? 結局、ひよこって何なの?
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