第861話 必要だよな…
モフリーナの恐怖の手引書で学習した嫁ーずであったが、夜の夫婦生活には、結局何の影響も無かった。
そもそも、元は妊活の為の手引書であったはず。
だが、その中をちらっと覗き見したら…恐ろしい内容だった。
確かに前半は色々な妊娠に向けてのHow-to本らしき無い様インドの書物、ヴァーツヤーヤナ・カーマスートラで赤裸々に記されている様な88手とも100手以上とも言われる、恐ろしいまでの技の数々…どう見ても後半の方がページ多い…。
そんな手引書を手に入れた嫁ーずは、当初の目的である妊活など完全に忘れ去られ、毎晩の様に手引書の技の数々を実戦するために、俺の寝室に全員で押しかけてくる有様だ。
いや、君達ね…88手だとしても、5人全員になんて無理ですから!
5人で割ったとしても、全部実践するとしたら15日もかかるから…俺の身体が持ちません!
だから、どうか手引書の前半だけに集中してください。
妊娠しやすい日は、それぞれ違うでしょ? え、そんな事はどうでもいい? せっかく手に入れた手引書だから、実戦あるのみ?
それ…完全に本末転倒じゃね? ちょ、君達は5人だから一晩でも順番で休めるけど、俺は一人なんだよ!?
え、ガンバレ? ………それだけ? アキラメロ? あ、そですか………。
モフリーナさんよ、何とかしておくれ…このままだと、俺…死ぬ…。
ところで、裏庭の塀に造られたダンジョンへの直通門なのだが、何故か毎日の様に嫁ーずはモフリーナに連絡を取って、一回は通っているそうである
別にダンジョンでストレス発散しに行くためでは無い。
何故なら、通ったらすぐに戻って来るから、ほんの一瞬だけ扉の向こうに行くだけという…はて、何をしてるのだろうか?
などと俺は首をひねっていたのだが、ここで嫁ーずが恐ろしい門の使い方に気付いてしまった事が発覚したのだった!
そう、この門は妊娠したら通る事が出来ない。
つまり、通れるという事は、妊娠していないという事だ。
なので、パンゲア大陸のモフリーナのダンジョンに行くために造られたこの門は、なんと妊娠検査薬以上に高性能な妊娠検査道具となってしまったのだ。
嫁ーずは、毎日の様にこれを通る事によって、自分自身の妊娠を知る事が出来る…。
いや、それなら妊娠検査の為の呪法具とか造るよ? この門って、君達が誰にも見咎められる事なく、ダンジョンでストレス発散できる様にするための物だよね? 使い方間違ってると思うんですけど!?
何て俺が言ったところで、きっと誰も止めないだろう。
毎日、妊娠の確認の為だけにモフリーナに連絡して開けさせるって、モフリーナに迷惑だろうが!
ダンジョン行かないなら、モフリーナに撤去させるよ? って言った瞬間の、あの嫁ーずの絶望した顔を見ると、そうも出来ない。
何だろう…最近、色々と何か間違っている気がする…。
さて、すっかり妊娠検査道具と成り下がった感のある、地獄門っぽいダンジョン直通門ではあるが、本来の目的であるダンジョンへ行くという目的にもたまに使われている。
使用者は、主にコルネちゃんとユリアちゃん。
モフリーナの話を聞くに、ダンジョンの壁とか天井は、通常の攻撃程度ではびくともしない。
まあ、そうで無ければダンジョンのボスにあの黒竜とか置けないよな。
黒竜が暴れてとんでもない攻撃をした所で、ダンジョン自体には傷1つ付かないそうなのだ。
なので、どうやって手に入れたのか(多分、ユズカであろう)知らないのだが、ユリアちゃんのきつねさん号には変身した2人が乗り込み、マジモンの兵器…いや、武装を満載して遊びに行ってるらしい。
人、それを完全武装と言う。
そして返って来た時には、ミサイルとか全部使い切って帰って来ているって…君達も、何してんの?
モフリーナは色々と気を使ってダンジョンの構成とかモンスターの配置とかしてくれてるのに、完全に過剰戦力だよね? そうだよね!?
ま、まあ、王城の騎士さんとかに向けてミサイル発射とかしないだけマシかな。
ちなみに、メリルの妹であるマーリア第5王女様への献上品の車である、ひつじさん号は、色々とあったため走行テストも出来ておらずまだ王都に持って行っていないいので、ダンジョンでの運用は安全性のテストという面では間違ってはいない。
ただ、コルネちゃんが玩具では無い本物の武武器類を満載してダンジョンで無双しているだけなのだ。
うん、走行テストだは必要だよな。
…でも、武装のテストしなくても良いと思うの、お兄ちゃんは…。
こんな感じで、俺の日常は穏やかに流れて行くのであった。
全然、穏やかじゃねーけどな!
違うな…人生波乱万丈? 人生色々? 山あり谷あり?
そういや、俺の人生…谷ばっかりな気がして来た…。
ん? もっち君、どうした?
『 (=ω=.)』 何だ、その遠い目をした顔は…?
もしかして、諦めろって事?
『(´・ω・`)))』
そ、そうか…うん、何かありがとう…。
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