第706話  力が欲しいか?

「あ~、ディー・アーナ、ヘーリ・オース、テーラ・マテールよ、よく聞きなさい」

 俺は跪く3人に向かって声を掛けた。

『はっ! 何なりとご命令下さいませ、神よ!』

 だから俺は神じゃない…いや、サラ曰くほとんど神らしいけど…そうじゃなくて、

「では命令を下す。ディー・アーナはモフレンダを主とし敬い命令に従え。ヘーリ・オースはボーディ、テーラ・マテールはモフレンダだ」

『はっ?』

 いや、何で疑問形なんだよ…

「そして、お前達は3人で協力し、このパンゲア大陸を治めるのだ」

『ははぁ!』

 お、納得してくれたかな?

「おっと、忘れるところだった。モフレンダは月神様の使徒、ボーディは太陽神の使徒、モフリーナは大地神の使徒とする」

『はぁ?』

 だから、何で疑問形なんだよ。

『へっ?』

 ダンジョンマスターズも疑問形かよ! って、言ってなかったから仕方ないか。

「それぞれの主が神の使徒なのだから、お前達はその眷属となる」

『はっ!』

 うむうむ、チャンと俺の言う事は聞いてくれてるみたいだな。


 だが、ただダンジョンマスターズを主として敬い、この巨大大陸を3人で治めろなんて、何の見返りも無くやってられないだろう。

 だから、ちょっとだけ良い物をあげようかな。

「それで、お前達…」

『はい…?』

「力が欲しいか?」

『!?』

 おお、驚いてる驚いてる!

 何か、どっかでユズユズとサラとリリアさんの笑いを堪える様な雰囲気がひしひしと伝わってくるんだが…気にしない。

「力が欲しいか?力が欲しいのなら……くれてやる!」

『!!!』

 3人が驚いた瞬間に、俺は魂のエネルギーを体中から放出した。

 おお! 手から水晶に注入できるんだから体中から噴出させることも出来るだろうと思ってたけど、やっぱ出来たな。

 体中から噴出したエネルギーは、まるで沸騰した薬缶から噴き出す蒸気の様に勢いよく、周囲の風景さえ歪ませるほどだ。

 音をつけるとしたら、ずぁぁぁぁぁ! とか、ぶぉぉぉぉ! とかが似合うかな?

 ってか、これって金色に変化したスーパーな野菜人っぽくね?

 別に髪の毛が逆立ったり、筋肉が膨れ上がったりはしないけどさ。

 しないよね?

 俺が盛大に垂れ流したエネルギーは、3人のホムンクルスとダンジョンマスターズ、もふりんとカジマギー、なぜかナディアまでもが吸収していた。

『おおおおおおおおおおおおお!!!!』

 暫し続けていると、俺のエネルギーを吸収した面々が感動していた。

『神よぉ!』

 ホムンクルスは感激して涙を流していた。

「トールヴァルド様…流石です」「まさか妾にまでこの様な力を…」「……びっくりした…」

 ダンジョンマスターズもびっくり仰天。

「ああ…マスターが…私の中に…強引に入って来て…か、感じちゃう♡」

 ナディアは無視しよう…何か、危険だ…


「あ、あれ…何ですか!?」

 ミルシェが困惑した様にメリルとミレーラに向かって尋ねたが、

「わかりません…」

「…………」

 2人共、目の前でトールヴァルドが光り輝いている現象は理解不能な様だ。

「これは…何らかのエネルギーがトール様がら噴出している…のでしょうか?」

 マチルダだけはこの現象を正確に理解してる様だ。

「旦那様は、スーパーな変身をするのか?」

 別の意味でイネスはこの現象を、ある意味正確に理解しているのかもしれない。


「それで、神は我々にこの大陸を協力して統治しろと仰るのですね」

 派手派手なエフェクトをまき散らした俺は、もう完璧にホムンクルス達の神扱いだ。

 ヘーリ・オースが俺に確認の意味を込めて尋ねて来たので、

「ああ。そこなダンジョンマスター達は、我の配下である。その配下達の言葉に従うのだ」

 やっば、ちょっと偉そうだったかな?

「神の御言葉なれば、我らはそれに従うのみです」

 ヘーリ・オースがそう返答すると、2人のホムンクルスも首を縦に振った。

 その様子を見ていたダンジョンマスターズも、感動して俺を見ている…のかな?

 

 を? これで、おーるおっけー?


「ところで神よ…我らにどの様なお力をお与え下さったのですか?」

 美少女ホムンクルスのテーラ・マテールが、自分の身体をペタペタ触りながらそう言った。

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