第654話  言わんでいい!

「や~~~っと、ゆっくり出来るなあ~~~~!」

 自宅の露天風呂風のバスルームで、戦と旅の垢を根こそぎ落とした俺は、さっぱりとした気分で、ベッドの上で大の字になって寝転がった。

 まさか嫁達が風呂にまで突入してくるとは思ってもおらず、どこぞのエロ本的な展開になってしまったが、サービスカットは断固提供しない事にしているので、悪しからず! 俺は健全なのだ!

 思ったよりも大騒動となり、声が良く響くお風呂場でのあれやこれは、想像にお任せするが…マチルダのテクがやばかった。

 そしてイネスがもの凄くタフで、ミレーラがモジモジしてて可愛く、メリルが堂々と、ミルシェが獣の如く…いえ、何でもありません。 

 

 さて、嫁達が暴走した果てに出来上がった、このハーレム仕様の巨大ベッド。

 俺一人なら、右に左にゴロゴロ転がっても、まだまだ落ちる事ないこのベッド。

 前世で住んでたワンルームの部屋よりデカいベッド。

 最初は、何でこんなクソでっかいベッドなんか…って思ってたけど、1人でこうやって寛ぐと、意外と良いもんだ。

 今夜は嫁達に1人で寝るから、絶対に来るなと言いつけてあるんで、色んな意味で安心だ。


『え~…お寛ぎの所を失礼します』

 なんだ、サラか?

 リラックスして油断してるところに、突然頭の中に話しかけられると、一瞬ビクッ! ってなるから、気を付けてくれよな。

 んで、何?

『まさか、お忘れでは無いですよね?』

 ん? ああ、うん。

 人魚さん達の、ぱーりーないつだろ? もちろん、どこかから大量に活きの良い男を捕獲してくるから大丈夫だぞ。

『…あんた、漁でもするつもりか?』

 まあ、金をちらつかせて一網打尽だから、漁みたいなもんだな。

『んで、捕獲したのが魚の餌って…何かがおかしい気がする…』

 気にするな~~~~~! 

 んで、人魚さんの事を言いたかったのか? もちろん苦労を掛けたドワーフメイド衆にも、何かしてやるつもりだぞ?

『あ、ええ…まあ、それも有るんですが、一番大事な事を忘れてませんよね?』

 え、それじゃ無いんか? んじゃ、一番大事な事って…ああ、魔族さんの治療薬!

『違います』

 んじゃ、あの御守り? 役に立ったのかどうか分からんけど、ちゃんと回収して貰うようにお願いしてきたぞ?

『それも違います…でも、御守りって必要でした?』

 いやぁ…全然、要らんかったなあ(笑)

 だって、本陣付近でのまともな戦闘なんて、ほんのちょびっとだったし。

『ですよねぇ~って、いえ、それも大切ですけど、もっと大切な事が有るでしょう』 

 それ以上? そんなんあったっけ?

『まさか、大奥様との約束を忘れたとでも?』

 母さんと? え、何かあったっけ?

『うっわ! マジで忘れてやんの! 大奥様に言いつけねば!』

 ちょ、ま、待て待て! 今、思い出す…え…ん~~~っと…あっ!

『思い出しました?』

 思い出した…母さん用の装備…あれ? 俺って、父さんの装備も約束してなかったっけ?

『やっと思い出した様ですね。大旦那様と大奥様の装備を約束してましたよね? どうするんですか?』

 いや、俺、ちゃんと言ったよね? 貰える【かも】しれないからって、ちゃんと言ったよね? 

『ええ、言ってましたけど、それが何か?』

 んじゃ、駄目でした~って言えば良いじゃん!

『ええ、そうですね。では、ご両親へ、その様にお伝えください。ささ、早速どうぞ!』

 あ、俺…ちょっとお腹が痛くなったから、代わりにサラが通信してきてくんない?

『嫌です。大旦那様はどうか分かりませんが、大奥様は今か今かとお待ちになっておられますよ』

 まさか、そんな事は…マジ?

『大マジです。さっきも、「トールちゃん、ちゃんとお願いしてくれたかしら?」「何時になったら貰えるのかしら?」「可愛いのと格好良いのと、どっちが良いと思う?」って、滅茶苦茶に期待した声で通信して来ましたよ、あんたが風呂場でエロ漫画的展開でエロエロやってる時に』

 え? ちゃ、ちゃんと、ネスの返事がまだだよって言ってくれた?

『ちゃんと大奥様には、ただいま風呂場で5人の奥様に種付け中ですって、言っておきました』

 それは、言わんでいい! 

『そしたら大奥様は、トールちゃんファイト~! って言っておられました』

 お、応援されてるの?  

『ええ、それはもう盛大に。そして、明日にはお返事頂戴ねって、大奥様は可愛らしくおねだりして通信を切っておられました』

 ………俺、今から家出するから…

『大奥様と奥様方から、五体満足に逃げ切れるとでも?』

 に、逃げれない?

『無理でしょうね。そもそも、今夜は大河さんがネスに大奥様と大旦那様の装備の件で話をすると思って、奥様方は風呂場で搾り取ってたんですよ? 今は、その部屋って静かでしょう?』

 …まさか、それでなのか?

『さあ、寝る前にしっかりとイメージして下さいよ? どんな物でも喜ばれるでしょうけれど、間違いなくデザインに凝らないと…』

 ごくり! 凝らないと?

『大河さんの寿命が縮まるのは間違いありませんね』

 ……あ、その未来が見えた気がする。

『さあ、頑張ってデザインして下さいね。 能力は二の次で大丈夫です! とにかくデザインです、デザイン!』

 う、うん…頑張って考えます…。

『出来たら教えて下さいねぇ~! あ、営業時間は間もなく終了しますので、明日の朝の9時以降にお願いします』

 夜中に悪戯通信を、その腐れド頭に大音量で送り付けてやる!

『ちゃんと電波の受信機能はオフにしますから、ご安心ください』

 …………。




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 断罪の刃  闇を照らす陽の如く

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