第639話 勾玉
精霊さんの説明によると、ボーディのダンジョンの上に分厚く土を被せ、あの巨大山クラゲ…ヒルコを焼いた時の地面の様に、少々での熱ぐらいではびくともしない程に硬く硬く、もの凄く硬めてくれるので平気だそうだ。
皇都が塵となり更地になったとしても場所が分かるらしいので、安心なんだとか。
いまだに皇都焦土作戦反対! ダンジョンを守れ! 横暴許すまじ! STOP焼き討ち! と、どっかの抗議行動騒ぎ立てるボーディの説得の為、、精霊さんの説明そのままそっくり語って聞かせた。
最終的には、ダンジョン・ハートだけ先に持ちだし、ダンジョン自体は作戦終了後に取り出して希望の場所に移す事、ダンジョンの安全は絶対に保証するという条件で、何とか許可を出してもらった。
いや、許可が無く立って焼くけどさ(笑)。
んで、今はボーディが心臓を取り出している所なんだが…あれが心臓?
手で持ち運べる大きさだってのは聞いてたけど、アレは誰がどう見たって、勾玉だよな?
それも、もんの凄~~く大きく美しい翡翠の勾玉に見えるんだが…?
「よし! ダンジョン・ハートの回収も無事に終わったのじゃ。それでは戻るとしようかの…ん、どうしたんじゃ?」
掌程もある大きさの勾玉を持ったボーディが、それを見つめる俺を不思議そうに見ながら問いかける。
「ああ、お主にとっては珍しいのか。これがダンジョンの心臓部じゃ。どうじゃこの流れる様な曲線美!」
何やらドヤ顔で俺に勾玉を見せつけるボーディ。
横に並んで、カジマギーも何故かドヤ顔。
「ああ、うん…それって翡翠の勾玉だよな?」
「なんじゃ…お主、知っておったのか。そうじゃ、翡翠の勾玉じゃ」
なんで、ちょっと残念そうな顔してんだよ、こいつ。
「やっぱりそうか…まあ、似た様な物を以前に見た事があっただけだ………写真でだけど…」
確か、三種の神器の1つだった気がする。
ボーディが持っている物は、紐を通す穴こそ開いてないが、間違いなく勾玉だ。
水晶製や琥珀製もあると聞くが、やっぱり有名なのはこの翡翠製だろう。
「なる程のぉ…そう言えばお主は、モフリーナとも懇意にしておると聞いておったが、あ奴のダンジョンで見せてもらったのかや?」
いや、初めて見たけど…いい具合に勘違いしてるから、そのままにしておこうか。
「ああ、うん…まあ、そうだな。ところで気になったんだが、カジマギーはダンジョンハートは持ってないのか?」
一応はダンジョン造れるんだから、ダンジョンマスターになるんじゃないのかな?
「ああ、こやつは妾の眷属じゃでな。その身に宿しておるわ。ここにの」
そう言って、自分の中心よりやや左を指さす…って、
「え、そこってマジの心臓じゃね?」
「その通りじゃ。心臓の代わりにコレの小型の物が入っておる。無論、妾が造った物じゃがの」
ほへ~! そうなのか! んじゃもふりんも持ってるのかな?
「おい、お主! これは非常に価値ある物じゃが、間違ってもカジマギーの胸を切り開いて取り出そうなどとは思うなよ?」
ボーディがそう言うと、カジマギーが胸を両手で隠して、ズザザザザ! と俺を睨みながら後退った。
「誰が、んな事するか!」
しないと言っているのに、カジマギーは半眼で俺を窺うように睨んでいた。
「モフリーナにも、もふりんっていう眷属が居るから、持ってるのかなぁって考えてただけだわ!」
あ! ボーディも、勾玉を後ろ手に隠して睨んでやがる!
おい、ボーディもカジマギーも、そのゴミ虫見る様な目を止めれ!
「もう用事は済んだだろ? それじゃとっとと下水道を出るぞ!」
もう相手するのも面倒になったし、こんな街はさっさと焼き払ってやる。
2人を放置して、おれは来た道をさっさと戻る事にした。
後ろから足音…といいうか、下水道をじゃぶじゃぶ音立てながらついて来てる様だから、もうほっとこ。
あ、俺達が出たら、精霊さん後をお願いしやす。
しかしなあ…ユリアちゃん(旧 火御華)が持ってた銅鐸といい、勾玉といい、何故か古代日本由来の物が多い気がするなあ…
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