第570話 悪人に人権など無い!
悪漢どもの退治と被害者たちの救出は、実に順調に進んだ。
これはモフリーナの領域拡大によって、被害のあった村々へと瞬時に移動できたのが大きい。
ホワイト・オルター号すらも瞬時に転送できるという、恐るべき能力が分かってからは、更にその救出スピードは上がった。
モジモジしながらもモフリーナについて来たモフレンダさんへ、せっかくなのでモフリーナを通じてエネルギー充填済みの水晶を手渡すと、モフリーナとこの先の土地の半分ほどを領域化した。
相変わらず何もしゃべってくれないのだが…恥ずかしがり屋さんなんだろうか?
まだ完全に信用できないうちから、エネルギーを渡したくは無かったのだが、まあ廃品の再利用が世の為、人の為、ダンジョンの為になるのであれば、それもいいかと思い直したからだ。
ちなみに、姿を見るだけで人々が卒倒するあの巨大な黒竜さんは、一仕事終えるごとにダンジョンに戻って御休憩だ。
でっかいから、常に姿を見せていると、目立って仕方ないしな。
さて、あのクソ皇帝が通ってきた国々だが、残っている男どもが全員が全員、悪行を働くというわけでも無い。
多くの男性は惨殺されたりしているわけだが、一部は監禁されていたりした。
惨殺された多くはその国の貴族とか大商人とかで、そのほとんどは元々民衆に何らかの悪事を働いていたり、大きな恨みを買っていた奴らしいので殺されたところで心は痛まない。
だが、悪漢どもに最後まで抵抗していた真面目な貴族や市民達が殺されるのは、流石に残念だ。
未だにレジスタンスの様に、必死に市民を守ろうと抵抗しているらしい。
なので、妖精さん達に命じて、陰から彼等を助けさせていたのだが、その救助にも向かわねばならない。
戦う力が残ってるんだから、申し訳ないが後回しにさせてもらおう。
妖精さんだけでなく、精霊さんにも協力を願って、増援部隊を派遣するので、もう少し待ってて欲しい。
ところで、俺達の変身した姿は、普通の人から見たらかなり怪しいのは確かだ。
下衆共をバッサバサと斬り捨てる俺達を、さすがに味方だと考えている様だが。
もちろん、その現場を目にした人々は、俺達の言葉に素直に従って避難と救助活動を率先して手伝ってくれているから、今の所は問題ないのだが。
俺達の誘導と、お手伝いの方々によって、虐げられていた人々は街や村を出る。
多くの避難民や被害者達は、その身一つで村や街から出て、モフリーナの転移によって、ダンジョン島へと送られ、保護されている。
街や村に残って、俺達に向かって攻撃してくるのは、もう腐れ外道共だけなので、遠慮なく動けない様になるまでボコる!
レジスタンスの方々や、囚われていた善良なる人々も、俺達が開放してあげると、すでに俺達によってボコられたアホを、全力でボコる!
忘れちゃいけないのが、こいつらの息の根を止めたら駄目だって事。
それが一番簡単なのだが、それをするとダンジョンの養分にならない。
なので、ストレスが溜まるけれども、半殺しで我慢する。
こいつらはどうなるのかと言うと、モフリーナのダンジョンから連れて来られたモンスター軍団(単なる荷運び要員)によって、モフリーナとモフレンダの領域へとエッチラオッチラと運ばれていく。
いくら暴れようとも、モフリーナの連れて来たモンスター軍団に叶うはずも無い。
いや、そもそも動ける奴も居ないんだけど…。
鬼畜野郎が集められたダンジョン領域には、呼ばれた黒竜さんが準備万端で待機していて、一気にブレスでどーーん! と、処刑される。
ダンジョン領域で死んだ畜生共は、その肉体すら完全にダンジョンに吸収され細胞の一欠けらも残さずこの世から消え去り、エネルギーへと変換される。
最後の仕上げは、この死体だらけの街や村だが、愛すべき夫や子供、家族や友人、街や村の為に戦った勇敢な兵達の亡骸も有るだろうが、腐ってしまった亡骸を放っておくわけにもいかない。
しかし、一体ずつ身元を確認して埋葬している時間も無い。
よって、最初の村と同様に、黒竜のスペシャルなブレスでどーーん! と、更地に変えるか、怒れる精霊さん達の合体技で跡形もなく消しさる事にしている。
ちなみに怒れる精霊さんの本気の合体技を遠くで見させてもらったが、爆炎がキノコ雲だった…核じゃないよね?
ケモ耳市民さんが住むという小国の王都での救助活動&粛清中の話だ。
保護した人々から王族が捕まっていると聞いた俺達一行は、王城へと向かった。
城の中も直視に堪えない程の悲惨な状態であったが、悪漢共の1人から王族は地下牢に閉じ込めていると聞き出し、地下へと向かった。
まあ、すでに妖精さんと精霊さんと蜂達によって、地下の悪漢共は息をするだけのオブジェになり果てていたのだが。
そして見つけた地下牢は、絵にかいたような鉄柵の牢屋で、その中に鎖で繋がれた王族達を発見できた。
ただ、王族の女性達は、かなり酷い事をされたのであろうと、誰の目にも分かるほどだった。
衣服など一切身に着けておらず、モフリスト達が歓喜するであろうケモ耳や尻尾は斬り落とされ、御多分に漏れず女性達の股間からは流血してた。
こういった惨状を度々目の当たりにするからだろうか、俺達の怒りはおさまる事を知らない。
救護した者達の殆どがそうなのだが、皆の精神は無残なまでに壊れている。
あまりの救護者の多さに、さすがに少数では手が回ら無くなって来た。
なので、本陣に応援要請を出し、魔族さんと両国の女性兵士や老年の兵達を多数派遣してもらった。
彼等ならば、きっと被害者達の心のケアにも力になってくれるだろう…と思って。
嫁達にしても、母さん達にしても、彼女達の力になりたいと頑張って入るのだが、如何せん数が多すぎる。
多くの場合、救助された事がわかった瞬間に、自ら死を選ぼうとする事が多い。
母さんやサラやリリアさん達、そして我軍に詰めている魔族さん達やグーダイド軍とアーテリオス神国軍の女性兵士や老兵士達の懸命な介護と心のケアの甲斐あって、なんとかまだこの世に踏みとどまってくれ、輪廻の輪には戻って無い。
ちなみに、応援の人々にも、黒竜さんや精霊さんの事は、ぼかして説明済みなので、少し驚かれただけで済んだ。
ネス様の御力で、この地を浄化するのです…とか何とか言っておいた。
今回救出した王族達…とりわけ王女様は、「死にたい…殺してください…」と、何度も口にしていたという。
嫁達も必死に心のケアにあたっていたが、彼女達の怒りの炎はさらに燃え上がり、精霊さん達の怒りも限界突破してしまった。
救助者全員を王都から連れ出して後送したり、一部をダンジョンに送ったりした後、半殺しにした外道も城から連れ出した。
そして、黒竜さんの見守る中、俺達の手でこの世と永遠におさらばさせた。
どうやったかはあまり言いたくないが、嫁達もユズユズも、そして俺自身も、怒りに任せて色々とやってしまい、周辺が血と臓物の溢れる地になったとだけ…。
動けない奴らを、殺すなんて…せめて生かして罪を償わせれば…とか言う様な、偽善的な行いも考えも、俺達には一切無い。
生きる価値が無いと俺が決めた奴は、殺す。
独善的だと言われても良い。
あんな事を平気で仕出かした奴らに、何の考慮が必要か。
犯人も人権が有るんです! とか言ってる奴等は、自分が被害者になってないから言える事だ。
被害者達の人権は、一体誰が保証してくれたんだ?
犯人が被害者の人権を考慮してたって言うのか?
しているわけがない。
被害者の人権を考慮しなかった犯人の、クソの様な人権なんぞ、何で俺達が考慮せにゃならんのだ。
前世では人を殺すなんて事は、当然ながらしたことは無いけれど、この世界ではそれを躊躇うと、自分が死ぬ。
いや、俺が死ぬだけならばいい。
家族や嫁達、仲間達にその害が及ぶことが有る。
だから、一切の容赦はしない。
そもそも奴らを大量に捕まえた所で、収容する施設などないし、こいつらを生かすための資金を一体誰が負担するというのだ。
善良な、今回散々な被害に遭った人々が、こいつらを生かすための予算の一部を担うのか?
そんな事、ナンセンスだ。
いや、地球では人権だの何だのとうるさかったが、この世界では別だ。
人権はこの世界にも、確かに有る。だが、悪人に人権など無い!
嫁達もユズユズも、どう考えているかなど知らないし、知る必要も無い。
ただ、同じ気持ちである事を願うだけだ。
最後は、黒竜さんと、怒れる大魔神の如く合体した精霊さん(合体できたの!?)により、一瞬でお城までもがこの世から消え去り、ケモ耳の国の王都は、他と同様に更地へと変わった。
大陸から国がまた1つ国が消えたのだった。
俺達がこれまでにこの世から消し去った国は、大小合わせてこれで8個目になる。
予定よりも多い気がするが、自治領とかも国扱いになるとか何とか。
良く分からん…とにかく、残すは暗黒教ダークランド皇国ただ1つだ。
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