第560話 ちょっと見たいかも
『ネス様、太陽神様、月神様、お久しゅう御座います。お呼びにより、大地神、ここに罷り越しました』
クマ耳ヤンキー巫女幼女が、ネスに向かって頭を深々と下げた。
『大地神よ、此度の戦の原因は、其方を信仰しておったレイフェル皇国の皇子が発端だそうだが誠か?』
ネスの美しくも冷たく芯まで凍るような冷たい声が周囲に響く。
帝国軍も、大空に浮かぶ女神たちの姿を、呆然と見上げていた。
それはもう地平線の彼方まで、立っている兵も座っている兵も動けず横になっている兵も全てだ。
遥か後方には、この腐れ帝国の皇帝の天幕があるだろうが、きっとその腐れ皇帝も空を見上げている事だろう。
『はっ! 確かにレイフェル皇国が事の発端では御座います。しかし、すでに暗黒神というありもしない神の名を掲げた新皇帝が、国名も暗黒教ダークランド皇国と改名して、侵攻しておりますれば……』
う~~む…見た目はヤンキーなクマ耳ロリ女神だが、口調があれだと違和感バリバリだなあ…
しかし、何ちゅう盛りだくさんの属性だ…これ、あとからでもデザインし直した方が良くないか?
『大河さん、大河さん。あれ、なかなかイケてるでしょ?』
やっぱサラがデザインを弄ってたか…どこがイケてんだ、どこが!
『え? 最高じゃないですか! 今までの概念を覆すあの女神の姿! 誰もが呆気に取られる事間違いなしです!』
…その方向性では、確かに間違いでは無いのだが…
いやいや、ウサ耳娘&キツネ耳娘とのセットにしたかったんだよ、俺は。
あれじゃクマ耳娘だけ浮きまくってるだろうーが!
『あのですね、いいですか? 似た様なコンセプトで3人は、さすがに痛いですよ。すでにマンネリ化してるんですから! 視聴者だって飽きてきてますよ? やはりここは、コンセプトをガラッと変えて行かないと、視聴率に影響します! ただ、あまりやりすぎると映画版とか作ってもらえなくなる可能性が有るので、元の巫女姿をベースにしましたが、大きさは一緒にしてみたんです』
マンネリって…ってか、視聴率って一体何の話だよ!
『え? 魔法の世界のプリンセスに始まって、妖精、スター、アイドルときて、ステージ ファンシーなシリーズの事ですが?』
もしかして、スタジオぴ〇ろのシリーズの事なのか?
と言うか、俺はモ〇とマ〇しか知らんのだが? いや、そもそも〇モはそのシリーズなのか?
『それは、関係ありません!』
関係ないのかよ! お前が言い出したことだろうが!
『あの作品があったればこその、魔法少女シリーズなのです! ちなみに私は大好きです! 何たって、魔法少女が交通事故で死ぬなんていう斬新な設定の作品ですから!』
ああ、確かにあったな…確か魔法の力を失った主人公が、車にひかれるんだっけ…懐かしい…
『ええ、その通りです! 私はレーザーディスクを日本から取り寄せてOVAも見ました!』
マジか! え、日本に駐留してる局員がお前に送ったのか? すごいな、それは!
『しかも、フ〇ナリナーサのプリンセスである初代の夢を果たすため、マリ〇ナーサの同名のプリンセス・モ〇の話も見ました! 感動で涙が止まりませんでした!』
お前、良く知ってるなあ…俺でさえ、そんな細かい設定知らんのに…
『おや? では、大河さんも見てた口で?』
ま、まあ…うん…見てた…
『何だ、やっぱりロリですね』
ちゃうわ!
あれ? 何か話の方向がおかしいんだが?
『あれ? そう言えば…元は何お話でしたっけ?』
ん~…そうだ! 何であんなデザインにしたかって事だよ!
『いいじゃないですか。ス〇バン刑事だって、3人とも個性あったんだし。ちょっとは違いを出さなきゃ』
出すな! そして番組名を軽々しく出すな!
もういい! あの大地神のデザインは、あとでこっそり手直ししとくからな!
『え~! いじめだー! 横暴だー! 職権乱用だー! 病気だー! シスコンだー! 変態だー!』
うるせー! 最後の方は関係ないだろ!
『今度、こっそりウサ耳幼女に、白いスク水着せてやるー!』
…それはちょっと見たいかもしれない…
『警察に通報だー!』
やめれ!
俺とサラが静かに念話で戦っている間も、女神ーずは帝国軍に向かい、台本通りに話を進めていた。
ところで、ガチャ玉の創造の時って、サラは意識が無いんじゃなかったっけ?
『ちゃんと、大河さんのデザインを申請する前に、手を加えたんですよ』
さいで…
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