第543話  ネタかよ!

 ふむふむ…なるほどな。

 リリアさんの情報は、なかなか貴重にして重要な内容だ。

 敵軍の中に、魔法使いが多数いるとは、ちと驚きだ。


「魔法使いの総数は、多少の誤差はあるでしょうが、大凡130人と言ったところです」

 確か子供の頃に、魔法を使える人は千人に一人だって聞いてたから、そんなもんなのかな。

 15万の敵軍で130人だから、誤差って言えば誤差だよな、うん。

「最強の魔法使いは、何と樽にいっぱいの水を出せます!」

「おお! 沢山の樽に水を出せるのか! そりゃ、水の補給が楽でいいじゃないか!」

 水って補給物資の中でも一番重い物資だからな。

 それが無いだけでも、かなり補給が楽になるはずだ! 是非ともうちにも欲しい。

「いえ、いっぱいじゃありません。樽1杯だけです。それだけの水を出したら、丸一日動けません。たった、樽1杯だけです」

 ん? 樽1個だけ? 一日で、樽1個?

「ああ、そう表現したら良かったですね。貴方様の知識で言いますと、約1斗ですから18リットルぐらいですね。コップで換算すると100杯程度かと」

 一斗って、確か灯油のポリタンクぐらいだよな? え、それだけ??

「ちなみに攻撃魔法は、中華料理で使うガスバーナーぐらいの大きさの炎です」

 分り辛! いやいや、でもガスバーナーってすごいじゃん!

「ですから、ガスバーナーぐらいの大きさの炎です。ガスバーナーじゃありません」

 ……蝋燭の炎と変わらねーじゃねーか!

「温度も、せいぜい焚火に火をつける程度かと」

 いや、良く考えよう…炊事の時の火熾しがが楽に…

「魔道具がいっぱいありますね」

 うん、確かに…

「ちなみに我が方に所属する魔法使いたちも似た様な物です」

 そっか……………あれ?

「魔族さん達の治癒魔法って、かなり効果高かった気がするんだけど?」

「ええ、種族的に強力な魔法を使えるのは間違いありません。ただし、一般的な魔法使いと比較したら…ですね」

 そうなの?

「我軍にも敵軍にも治癒魔法師はいますが…大旦那様の領地に居る助産婦さんと同レベルです」

 そういや、居たな…確かコルネちゃんが生れる時にも家に来てた気がする。

「精々、痛みを和らげる事ぐらいしか出来ません。傷口を修復する様な魔法は、魔族さんだけですね。まあ、人種で使えるのは、せいぜいオロ〇イン程度のものです」

 やけに具体的な商品名出して来たな。

 って事は…だ。そんな魔法使いが戦闘で役に立つの?

「まあ、立たないでしょう。示威行為でしょうかね」

 ああ、うちにはこんなすごい魔法使いがいるんだぞ~! って見せびらかしたいわけね…意味ねーな! 

「烏合の衆とでも言っておきましょう」

 そりゃそうかもしれねーけど、

「敵にも味方にも失礼だろーが!」


「良いじゃないですか、大魔法使いさん。まあ、貴方様の様な魔法を使える者は、現在この惑星には存在しませんよ」

 ん?

「前は居た様な言い方…ああ、確かに魔法入門書とか書いた昔の魔法使いなら…」

「いいえ、違います。つい最近まで、誰かさんが創った大陸にはゴロゴロいました」

 え、まさかとは思うが…

「もふりんが、大量のモンスターの自爆特攻で殲滅しましたが」

「居たのか、すごい魔法使いが!?」

 上手く調教したら、もしかしたら戦力に…

「ええ、居ましたよ。30年も童貞を守り続けた、偉大なる魔法使いが」

「ネタかよ、おいぃぃぃ!!」

 そんな都市伝説的なネタはイランのだ!

「え、駄目ですか? 貴方様の笑いのツボ的には、ど真ん中のストレートだったはずですが」

「うるさい、黙れ! ネタはイラン! そんな事より魔法使いって、殲滅しちゃったんだよな」

 勿体ない事をしたかもしれない…

「もう跡形もなく消え去りました。細胞の一片に到るまで、ダンジョンに吸収されてエネルギーに変換されてますね」

 …そりゃ仕方ない…この世界にとって害悪にしかならん奴らだからな…うん、これでいい。


 あれ? 何の話だっけ?

 あ、そうだ! 局長が何を吹き込んだかって事だったな。 

「しかし、何でそんな情報であいつは立ったんだろうな…食う物にも困る様な進軍を続けて、勝ち目があるとでも思ってたんだろうか? どう考えても、こっから先は負け戦だよな」

 食料も無く体力も尽きて、どうやって戦争する気なんだろうか…馬鹿なのか?

「男の意地なのではないでしょうか? たたないから立ち上がったのですし」

 何を言ってんだ?

「いや、立ったからこの先に陣取ってるんだよな?」

「いえ、たたないから局長に付け入る隙を与えたのです」

 話が噛みあわん…

「いや、つけ入られたから立ったんだよな?」

「違いますよ。勃たないから立ったのです」

 …オイコラ…

「まさか、アレがナニなんで戦争をおっぱじめたってのか?」

「そうですよ。EDだからこそ、ハーレム野郎が許せなくて立ち上がったのです。ナニは勃ちあがりませんけど」

 またなのか? またネタなのか? 

「事実をありのまま述べているだけです」

 言い方! その言い方だよ!

 

 馬鹿皇帝にちょっと同情するよ。

 そりゃ、悲しいよな…男としては…

「でも、肝っ玉も金〇も小さそうですけどね」

「もう、そっとしといてやれ!」

 敵ながら、流石に可哀想になって来たよ……割とマジで…

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る