第541話 せっかちですね
妖精さんからナディアを通じて俺が得た、敵のトップであるダース皇帝の会話の最後には、明らかに不穏な言葉があった。
「サラ、リリアあさん。さあ、キリキリと吐け!」
陛下達との打ち合わせを終えた俺は、専用の天幕へと戻ると、サラとリリアさんを追及する事を忘れない。
他の家族達には、ネス様との大事な打ち合わせをするので…っと、ちょっとの間席を外してもらっている。
「え~その件に関しましては、私の与り知らない所で、勝手にですねえ…秘書がやった事でありまして…」
「おい、サラ。お前は一体どこの政治家だよ! いいからさっさと吐くんだよ!」
この世界ではちょっと小柄な(設定JCだから、当たり前なんだが)サラの肩を掴んでガクガク揺らした。
「ちょ! 大河さん、揺れる揺れる! やーめーてー! 吐くから! 本当に吐いちゃうから!」
気持ち悪くなって吐けばいい! いいや、吐いてしまえ!
「馬鹿サラは仕方がないですが、少し落ち着いてください。あの馬鹿皇帝の発言からすると、馬鹿局長が何かを吹き込んだのは間違いないと思いますので、ちょっと確認します」
リリアさん、出てくる奴全員馬鹿呼ばわりかよ…相変わらず酷いな。
「管理局にアクセスするのは疲れるので馬鹿サラにやらせますから、ちょっと放してやって…あ、もう吐きそうですね」
うん、リリアさんの話の間も、ガックガック揺さぶってたからね。
もうマジで吐いちゃう5秒前って感じだわ。
「うぅ…おぇっ! 何か酸っぱい物が…喉まで上がって来て…うぇおぇぇ………んぶっ!」
「サラ。飲み込みなさい。余すとこなく、全て飲み込むのです。溢したりしたら…殺しますよ?」
リリアさん、言うが早いか、サラの頭と下あごに手をやって、無理やり口を閉じさせたよ…マジで鬼だな。
サラが真っ青な顔で頷いているけど、あの膨らんだ頬の中には…いや、考えるのは止めよう。
俺まで気持ち悪くなって来る…
「んんんぁんぉ、ん~んんぁんんんぉぁんんんぁぉ!」
何かサラが煩いな。
「あんたがやったことだろう! と、多分サラは言いたい様です。念話すら困難な様です…憐れですね」
うん、俺も悪かったと思うけど、未だに物理的に口が開かない様にしている、あなたも大概酷いです。
「念話すらできないのであれば、脳を借りた所で問題なさそうですね」
「んぁんぉ! ぁぇんんんぉぃぉん!」
多分、リリアさんに文句言ってるんだろうな~。だって、サラの目がリリアさんを睨んでるもん。
「では、早速。モード反転、裏コード…ザ・ゲロリスト! サラ、ゲロリスト・モード発動!」
「おい!」
思わず突っ込まずにはいられない! 何だよ、そのおかしなモードは!
ビーストかよ! サラが獣になるのか?
あ、元々知能が低いから、獣と変わらん?
「んんんーーーーーーー!」
ジタバタ暴れてたサラガ、何やら叫んだかと思ったら、いきなり意識を失った。
「まあ、そんなコードとかモードとかは無いんですけど」
「無いんかい!」
色々とあんまりだな、リリアさんよ。
「いえ、もちろん私がサラの脳を支配するために、一時的に意識を奪いましたが…するとですね…」
「すると?」
「私が支えると疲れるのですよ。なので寝かすために、手を放すわけです」
確かに意識の無い人の身体を支えるのは大変だ。
だから寝かすというのも、当然と言えば当然だけど…
「それで?」
「寝かすと、出るのです…今まで閉じていた口から、色々と」
……寝ているサラの口から、何やら得体のしれぬどろどろした物が…きちゃない。
「ね? ゲロリストでしょう?」
「いや、綺麗に拭いてやれよ…」
お前の同僚だろ?
「いやですよ、汚い。それより、管理局にアクセスしますね」
容赦ないな、リリアさん。さすが名にし負うドS様だな。
無言で管理局にアクセス(サラの脳を使っているらしい)しているリリアさん。
局長と話してるんだろうか? 詳細は良く分からんけど。
随分と話し込んでる? 体感的には黙ってから30分程すぎた感じだけど。
「ふぅ…まったく、あの人は…」
どうやら、お話は終わった様だ。
「んで、局長は、あの馬鹿皇帝に何を吹き込んだんだ?」
「せっかちですね。そんながっつか無くてもすぐに言いますから。本当、貴方様は性欲の権化なんですから」
「誰が性欲の権化だ! 鼻クソ程も考えとらんわ!」
こいつは!
「慌てずに優しくゆっくりと焦らす様に愛撫するのが気持ちいいのです。濡れるのです! 前戯は大切ですよ? そんなに性急に事を始めようとしたら、奥様達にも嫌われますよ?」
「お前は、何の話をしとんだ!」
「ナニですが? あ、それと大事な事を1つ」
ナニって…そのネタは遠い昔にやった記憶が…大事な事?
「いいですか? 情事が終わったら、後戯も忘れずに!」
「だから、何の話しをしてんだよ! いいから、ちゃっちゃとアクセスした内容を話せ!」
リリア節、全開全力かよ!
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