第515話 わんにゃん連合国は誤翻訳!?
『お…わさ…。…かわ…ん』
あのネーミングに違和感バリバリなのは、俺だけなのか?
『大河さんってば!』
うぉ! なんだサラか…頭の中で急に大きな声で話すなよな。びっくりするじゃねーか。
『ずっと呼んでましたよ。いえ、そんな事よりも、例のわんにゃん連合国のネーミングの事ですが』
お、サラも違和感あるだろ? ちょっと待てーーい! って言いたくなるだろ? だろ?
『いえ、そういう事では無く…多分、自動翻訳の不具合ではないかと…』
ほぇ? 不具合?
『ええ。この星の人々には共通の言語はありません。ですが、意味のある言語であれば勝手に相手に意味が伝わるという、まさに未来から来たネコ型ロボットのほんや〇コンニャ〇を使用した時の様に誰とでもお話が出来るのは、以前にも説明しましたね?』
色々と問題ある内容ではあるが…あ、あの先生も局員だったっけ? いや、とにかくそれは確かに聞いたぞ。
『どうも日本語をベースに思考して、生活ではこの星の言語を使用している方にだけ、ちょっとだけズレて翻訳されている可能性があるみたいです』
…どゆこと?
『私やリリアは、大河さんの思考を覗き見る為、どうしても日本語で思考する癖が付いてます』
覗くな、ボケ! んで?
『ユズキやユズカは転移者ですので、元々思考は日本語です』
そらそうだな。
『一般の人は、頭の中も会話も読み書きも、基本的には同じ言語なのです』
む…?
『確かに読み書きの文字は、大河さんにとって幼少から習ってきた言語ですが、あなたは胎児の時から、確か日本語で思考してましたよね?』
おお、確かに! 文字とかは生れてからだな。
ってか、初めから日本語に自動翻訳されてた気がするけど?
普通に翻訳切って見てもローマ字っぽかったし。
翻訳切っての会話はちょっと苦労したけどさ。
いや~幼少期の懐かしい思い出だ。
『大河さん、それがおかしいんですよ』
何が?
『自動翻訳を、自らの意思でON/OFF出来るって所がです! 多分、ユズキとユズカも出来ると思いますけど』
え???
『いえ、ですからこの星に住む普通の人々は、勝手に全てが翻訳されるんです。この国で言語を学べば、他国の書物は見るだけで頭の中で文字が自動的にこの国の言語に翻訳されますし、会話も勝手に自動翻訳される様になっていて、これは読み書き会話ができる様になってから死ぬまでそのままです。勝手にON/OFF出来ません』
へ~…そうなんだ。それで?
『大河さんや、ユズキ&ユズカの様に、この世界において全く想定外の言語が思考のベースになっていて、読み書き会話は自動翻訳まかせというだけでも大問題なのですが、大河さんもユズキもユズカも、この国の本とか看板とかは普通に他国の文字に見えてるんですよね』
う…ん。あれ? 何となくおかしい点が見えてきたかも?
『私やリリアも気が付きませんでしたが、これは自動翻訳のバグっぽいというか…どうもこの世界の固有名称とか、一部の言葉を誤変換している可能性があります』
え、でも国名とか人名とか物とか地理とか…今までは特に問題なかった様な…
『ええ、誤変換されて大河さんに届いた言葉を、その誤変換された言葉のままに使用しているので、相手には元の意味できちんと伝わってる様です…』
…間違った呼び方とか名前とかを、そのまんま使ってるって事?
『そうです。この星の言葉には、一部ですが日本語に翻訳するとおかしな意味になる物がある様です』
それが、あのわんにゃん連合国か…
『ですです。正確に翻訳すると、本当の名前はセリアンスロピィ連合国らしいです。ちなみに暗黒教ダークランド皇国も実は違うのですが…まあ、意味的に合っているうえ違和感もありませんので放置してました。大河さんは気にも留めなかった様ですが…』
セリアンスロピィ連合国って事は、そのまま獣人連合国って事か…なるほど、わんにゃんだな。
そんで、中二病的な暗黒教も? 意味は通ってるって事は、本当は何て名前なの?
『ダーク宗教皇国ですね』
どのみち中二病じゃねーか!
あの国の名前なんてどうでもいいや。あんま違いがわかんねぇし。
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