第488話  まさか無意識…だと?

「もうデザインの元ネタはどうでもいいですけど、このユリアちゃんの装備にはどんなびっくりどっきりな仕掛けがあるんですか?」

 どっかの犬型ロボットが、メカの素を貰って造りだすメカみたいに言わないで欲しい。

「まあ、この鎧だけでは特に何も…強いてあげるとすれば、身体能力と動体視力と防御力アップぐらいだな。倍率はせいぜい常人の50倍ぐらいだ。広域殲滅装備は、ユリアちゃんの能力を完全開放しないと使えないぞ?」

「あんた、何しとんじゃ! それだけで十分、世界を狙える戦闘力だわ!」

 サラよ、失礼な事をいうな! 50倍といっても、せいぜい同年代の子供と比較してだぞ?

 成長しても一人じゃ世界を落すなんて無理だと思うが、いかに? 

「なる程、なかなか良いデザインですね。有機的なラインと無機質で機械的な羽の組み合わせ…貴方様もなかなかセンスが良い」

 さすがリリアさんは、見るべきところが違うな。そう、このデザインこそが最も注目すべき点なのだ。

「トールヴァルド様…コルネリア様とユリアーネ様の2人で、この星を壊滅させられるのでは?」

 モフリーナよ、それはちょっと無理かと思うぞ…

『ブラッディエンジ〇ルズ…』 

 あんな過激な婦警さんじゃねーわ! 失礼な管理局員だな! 

 そもそも、みず谷〇おき先生に失礼だぞ!

 全く、何回言ったらわかるんだよ…あの梵字を見てみろ! 

 あくまでもインド神話がベースなんだよ!

 いや、正直に言えばシ〇ラトだけどさ。


「あの…あの角は何の意味があるのでしょうか?」

 モフリーナ、ナイスだ!

「おお! いい所に目を付けたな、モフリーナ! あの角は能力を開放したと同時に解放されるのだ! そして身に纏った装備も各部が同様に解放される事により、多少だが大きくなるぞ! しかも、内包するエネルギーが溢れ出て光り、なんとそのエネルギーをシールドとして使う事が出来る優れ物なのだよ! 俺の渾身の作品だ!」

 自慢げに俺が装備について力説すると、

「「そりゃ、デストロイモードだ!」」

 サラとリリアさんから同時にツッコまれた…え、何それ?

「大河さん! 角は展開するんですよね?」

「あ、はい…左右に展開をして、無表情な仮面が変化します…」

「あの鎧のパーツが展開する? もしかして淡いピンクに光るとか?」

「いや…蛍光グリーンっぽく光るんだけど…」

「「まさかの、フェネクスだった!」」

 サラもリリアさんも、一体どうしたっていうんだよ…

『いや、大河さん知らないんですか!? 機動戦士ガ〇ダムUCを!』

 サラの奴、何で急に念話に切り替たんだ? 

 ってか、何それ? 新しいガン〇ムなのか?

『貴方様は、死後の日本の文化を何らかの手段で入手していたとか?』

 リリアさんもか…そんな手段が俺に無い事ぐらい知ってるだろうに…

『『まさか無意識にその域に到達していたというのか!?』』

 何だよ、2人共…俺はシュ〇トだと何度も言ってるというのに…

『『こいつ、マジだった!』』


 意味不明な奴らだな、まったくもう。

 それよりも置き去りにしちゃったユリアちゃんだ。

「ユリアちゃん。まだこの装備は機能のほとんどを封印されている状態なんだ。本当はそんな物、解放しない方が良いんだけど…もし、世界の危機が迫った時には、力を貸してもらうかもしれない。練習以外では、封印は解かないからね」

「うん! でも、へんしんしたらつよくなれる?」

 力のほとんどを封印されたままの状態で敵を倒せるかどうかは、確かに気になる所だろう。それは確かに心配かもしれないな。だが、安心して欲しい。

「大丈夫だよ。変身しただけで、十分に強いから。具体的には、お兄ちゃんの奥さん達やコルネお姉ちゃん、ユズキにユズカっていう、ユリアちゃんと同じく装備を持ってる人達と対等に戦える力は十分にあるからね」

 俺がニッコリ笑って、ユリアちゃんの力について説明すると、

「それじゃあんしんだね!」

 両手万歳してピョンピョン飛びあがって喜び、可愛らしい声も弾みまくっていた。

 顔は仮面でもちろん見えませんけどね。


 そういや、忘れてたけど、父さんは変身して無くても互角なんだよな。

 変身した嫁達を複数同時に相手取れるほどの剣豪…あれこそチーターじゃね? 

 まあ、あえて言う必要もないか。

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