第439話 懐かしいじゃねーか!
「いえ、今回はキノコではありませんよ、大河さん」
「そなの?」
ってっきり恐怖の大王っていうと、あのキノコってイメージがあったけど、そう言えばどんな形かは決まってないんだったな。
「今回は、人型ですね。あちらのモニターに映ってますよ」
何だかなあ。前の恐怖の大王戦の時は、ずっと前から教えてくれてたのに、今回はいきなりかよ。
局長に、一言文句言わなきゃ気がすまんぞ。
「恐怖の大王とは言っても、あくまでも分体…というか、入り込んだ欠片に身体を乗っ取られているという感じでしょうか。一見すると普通の人ですね」
サラが俺を従えて、その恐怖の大王擬きの映っているというモニターの前へと進む。
「これです」
サラの指さしたモニターに映っていたのは、確かに人型の女性だった。
肌の色は青白く、明らかに地球人ではないと思われる。
髪の毛は…なんだか不気味にうねってるけど、メデューサじゃないよな…でも、どこかで見た記憶が…
手に持ってるのは、銅鐸っぽいな。
そういや、銅鐸は弥生時代の技術力で造れるものじゃないとか、宇宙人の技術だとか聞いた事あったなあ。
「えっと、プロフィールは…邪魔〇王国出身の女王ヒ〇カとなってますね」
「鋼鉄ジ〇グじゃねーか!」
そりゃ危険だわ! あの銅鐸って、もしかしてハ〇ワ幻人造り出すやつかよ!
「夢は? という質問に、『メキメキニ~、ヌダラダラ~』と答えてます」
確定だよ! 間違いなくヒミ〇だよ!
超合金…じゃなかった、マグネロボット持ってる奴いたよ!
砂場で遊んでて、関節の磁石に砂鉄がくっ付いて泣いてたやついたよ!
懐かしいじゃねーか、この野郎!
じゃなくって、くっそう! こりゃ戦力不足か?
もしもハニ〇幻人をガンガン造られたら、確かにこの世界の危機だ!
嫁達も…いや、父さんを連れて来るべきだったか。
「現在は、エネルギー不足で、部下を造れずボッチだそうです」
「ぶっ!」
ボッチなのか…あの3馬鹿部下すら居ないのなら、あんまり危険はないのか?
いやいや、安心できないぞ。なんせあの地球を支配しようとかした危険な思想の持ち主だからな。
「よし、モフリーナ。取りあえず最重要監視対象として、あいつをマークしてくれ」
少し離れた所に控えていたモフリーナに丸投げした気がしないでもないが、
「了解いたしました」
快く返事してくれたので、良しとしよう。
「もしもあいつが危険な動きを見せたら言ってくれ。俺がビルドアップするから」
あれ? チェンジ・サイボーグが先だっけ?
「あ、だったら私が『ジ〇グパーツ、シュート!』ってやればいいんですね!」
「いやぁ…あれは出来たらサラ以外にお願いしたい所なんだが…」
ミニスカートが似合うちょっとエッチっぽいナイスバディーの女の子が似合うと思うの。
「何でですか! サラちゃんならピッタンコでしょうが!」
「ぺったんこではねえ…色気も皆無だし」
「皆無言うな!」
俺とサラの話に付いてこれないモフリーナは、何とも言えない微妙な作り笑いで立っていたが、
「その…とにかく、おかしな兆候が表れ次第、連絡させて頂くという事で宜しいでしょうか?」
迷惑な客に対応する店員さんみたいにな言葉遣いになってしまった。
「う、うん。よろしくね」
微妙に居たたれない気分になってしまったのは、自業自得だろう。
「それじゃ、今回もやっぱり何か恐怖の大王対策で創りますか?」
微妙に話題を逸らそうとしているが、それをモフリーナの前で言ってもいいのか?
「あ、いや…それは帰ってから考えるよ」
ガチャ玉の事はモフリーナに言ってないし、この話題はここでしちゃ駄目な気がする。あ、でも確かダンジョンを拡大させた時にモフリーナは、この世界のダンジョンを管理している神様に褒めてもらったとか言ってたな。
神様って確か管理局の局員だろ? もしかしてモフリーナって全部知ってる?
知ってて知らんふりしてるとか…いや、でも最初の出会いを考えても、俺がガチャ玉持ってる事とか知らないはずだけど…。
「そ、そうですね。帰ってから対策を練りましょう…あははははは」
サラも微妙な顔してるけど、やっぱモフリーナは知らないはずだよなあ。
そうだ、リリアさんなら何か知ってるかも! リリアさんはどこだ?
キョロキョロと見回すと、リリアさんは全力でもふりんをソファーでもふってました。
こっちの話なんか聞いちゃいねーし!
もういいや、適当に指示して転移者の様子を観察したら今日は帰ろうっと…
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