第394話  やっと終わった…

 さあ、いきますよ~!

「本日はお忙しい中、私達の結婚式にお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。このように盛大な披露宴ができましたのも、ひとえにみなさまのおかげと心より感謝申し上げます」

 掴みはOKかな…スポットライト、眩しすぎるんですけど…おでこの汗が…テカってるからちょっと控えめにして、マジで。

「私達が、今日という日を迎えられたのも、沢山の皆さんのお力添えがあったからこそです。ありがとうございました。先ほど父が述べた様に、この先もきっと多くの試練が…私達、そしてこの国、この世界に待ち受けている事でしょう」

 ちょっと溜めて溜めて…

「ですが、私は家族を…この国を愛しています。聖なる女神ネス様の大いなる愛で包まれている、この世界を愛しています。この世界を家族を…私が愛する全てを護るため、如何なる宿命であろうとも立ち向かい、抗い続けます。妻達にはそんな私を支えて貰いたいと思います」

 う~~む…ちょっち重すぎる話で外した感いっぱいだな? もう締めよう。

「至らないところの多い私達ですが、どうかみなさまには、末長く見守っていただきたく、よろしくお願い申し上げます。拙い挨拶ではございましたが、もう一度、皆様に心より感謝申し上げます」

 俺がそう締めくくり頭を下げると、嫁~ずも同じ様に頭を下げた。


「新郎トールヴァルド伯爵のご挨拶を持ちまして、結婚ご披露宴をおひらきとさせていただきます。アルテアン伯爵、メリルさん、ミルシェさん、ミレーラさん、マチルダさん、イネスさん。本日は本当に、おめでとうございます!」

 ユズカがしっかりと締めくくり拍手をすると、それにつられたかのように拍手の渦が巻き起こる。

「さあ、皆様~! 新郎新婦の退場にございます。新たな夫婦の人生の第一歩。皆様どうぞ今日一番の大きな祝福でお見送りください! おめでとうございます!」

 ユズカ、綺麗にお見事にフィニッシュを決めたな。これはバイト料の上乗せが必要かな?

 最後は、メリルとミルシェが俺の腕をとり、ミレーラはメリルと、マチルダはミルシェと、イネスはマチルダと腕を組んで仲良く退場。


「さあ、まだまだ時間も料理もお酒も残って御座います! ここからは無礼講だ~! 皆様の時間の許す限り、呑んで食べてぶっ倒れるまで楽しんでくださいませ!」

 うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!

「あ、ただし夜までですからね? もしも旦那がぶっ倒れたら、奥様に引きずって帰って貰いますので、そのつもりで!」

 ぶぁっはっはっははっはっはっは!

 控室にまで漏れ聞こえるユズカの軽妙な迷司会者っぷりは、大いに場を沸かせているようだ。

 俺は、やっとこさこの連チャン結婚式が終わった事にほっとしながら、礼服を脱いだ。今頃は、嫁~ずもドレスを脱いで楽な服に着替えている事だろう。

 はあ…結婚式を2回もやるとか言わなきゃよかったよ。まさか、こんなに疲れるとは思ってなかったからなあ。 

 いや、それでも嫁~ずは喜んでたんだから、もうそれは言うまい。


『とうとう終わりましたね。そして、とうとうこの時が来ましたね』

 うぉ! いきなりだな、サラ。

『私は残念でなりません』

 何がだ?

『今夜、とうとう大河さんが脱チェリーへの扉を開く事になるのがです!』

 あ、ああ…うん、そうだな…

『んんんん? 何だか微妙なお返事ですね?』

 いや、あの嫁~ずの会議で出たという、【完全攻略 夜の夫婦生活を充足させるための手引書 ~ 男の子なんていちころよ ~ 】が、気になって気になって…

『まあ、搾り取られるでしょうね~』『諦めた方がよろしいかと』

 うぐ、リリアさんまで…まあ、嫌ではないんだよ、嫌では。ただ、俺って思ってたよりも草食系な男だったんだなあって。

『ちょうど良いではないですか、肉食系女子と結婚して』『確かにサラの言う事は正しいですね』

 そうかもなあ。まあ、ちょうど良かったのかもしれない。

『あ、ちなみに初夜が終わり次第、私も混ざりますよ?』

 サラはいらん!

『マスター! 私達の事は、忘れてませんよね?』『『『忘れてませんよね?』』』

 ぐぉ!? ナディアにアーデ、アーム、アーフェンか!?

『あ、私は倦怠期になったら呼んでください。奥方達に伝授しますから、技を』

 リリアさん? 一体何を伝授するつもりなんですか!?

『マスター!』『大河さん!!』『何でしょうね~』『『『ますたー!!』』』

 うわーーーーーーー! 頭の中でごちゃごちゃうるせーーーーー!!!



*長かった。マジで長かった。2回も結婚式やるなんて考えた奴、アホだろ

                                By 天の声

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