第373話 死屍累々
父さんの王都の邸宅に戻って来た俺達は、今夜はここで一泊。
結婚初夜だが、何もしなかったぞ。いや、マジですよ、これは!
ネス湖の畔でする結婚式が本番で、本番はその後です…下ネタで申し訳ないが…
という事で、結婚式の為に集まっていた皆様とは、晴れて法的には親類と相成りました。
いや、本当に目出度い!
父さんはここぞとばかりに酒を呑みまくって…いや、王城での式の前から呑んでたから今更か?
何にせよ、おっさん共は夜が更けるまで呑みまくってたそうだ。
あんた等…明日が移動日だって事、すっかり忘れてるだろ…二日酔いなっても知らんぞ…
明くる朝、案の定二日酔いのおっさんが、うーうー唸ってました。
奥様方は、皆呆れ顔でゾンビの様に唸るおっさん共を蹴りまわしてました。
いつまでもこのままにしてても仕方が無いので、文字通り奥様が旦那衆を荷物と共に引きずって馬車に投げ込んで、一路ホワイト・オルター号へ向けて出発します。
もちろん名実ともに俺の嫁となった5人と俺とは同じ馬車です。
王城の裏手にある騎士の訓練場に着陸しているホワイト・オルター号にやってきた我が家+新親族となった面々は、タラップから乗り込みます。
まだ二日酔いの抜けないおっさん連中は、さっさとそれぞれの船室に放り込んで、奥様方及び子供達はコックピット後部のスペースでお茶をします。
お城の騎士さん達が見守る中、俺はゆっくりとホワイト・オルター号を発進させる。
一応、王家と縁続きとなったアルテアン家だけあって、騎士さん達も非常に丁寧な対応をしてくれた。
今も上昇する飛行船に手を振って、俺達を見送ってくれている。
初めて国王陛下に謁見した時は、近衛騎士のおっさんから物言いがついて、模擬戦する羽目になったのも、いい思い出だ。
上空から眺める王都を堪能しながら、女性陣+子供達は、甘い焼き菓子とお茶で賑やかに談笑。
俺や嫁達の思い出話などしていると、あっという間に郊外へと船は空を進む。
本当はサラとリリアさんに操縦を任せてしまえば良かったのだが、このコクピットの後ろを見て欲しい。
女性比率が飛んでも無く高い空間を。
そんな所に混ざってしまえば、茶飲み話のネタにされる事間違いなしだ。
もちろんいつまでも逃げ切れるわけでも無いが、少しでも被害が少なくなる様にと、操縦席に逃げ込んだってわけ。
早くおっさん共、復活しないかなあ…
結局、サラに操縦席を奪われてしまいました。
そして、おっさん連中は誰も復活せず、茶飲み話の輪の中に引っ張り込まれました。新たに親類縁者となった奥様(義母)方に、俺の過去の恥ずかしい話を母さんが暴露して爆笑されてしまいましたとさ。
母さん、そんなに息子を笑いものにして楽しいか!?
え、楽しい?…そうですか…
おっさん連中が復活したのは、もう日が暮れるという夕方寸前。
「腹減った…」と、父さんが復活したのを皮切りに、次々と復活を遂げた。
怒り狂う母さん+義母連盟の、「今夜は、禁酒です!」の一言で、飢えた肉食獣の前に放り出された幼気な子ウサギの様に、プルプルと脅え震えていたが…もしかして全員尻に敷かれてるのか? と思ったが、口に出す様な愚かな真似はしなかったトール君であった。
だって、俺もそうなる未来しか想像できなかったから…
『亭主関白よりも、かかあ天下の方が、夫婦仲は良いと聞きますよ?』
『ええ、サラの言う通りです。夫が嫁の尻に敷かれるのが夫婦円満の秘訣と言われていますからね』
サラ、リリアさん、為になる言葉を有難う。
『どうせ大河さんは初夜も尻に敷かれるでしょうけど』
どういう意味だよ、サラ!
『多分サラが言いたいのは、逃げる貴方様を嫁達が押さえ付けて騎〇位で…』
具体的な説明有難う、リリアさん。だが、年齢制限に掛かりそうな発言はしない様に。
『Mっ気があって優柔不断で主体性が無い大河さんは、女性の尻に敷かれる運命なのです』
そ、そんな事は無い…と思うぞ?
『そうですねえ…ドSの立場から言わせてもらえば、責めれば開花する才能をお持ちだと思います…Mの才能ですが』
やめろよ!? 絶対にやめろよ! フリじゃねーからな!?
『ご安心しください。その辺の開発方法は、すでに奥様方にレクチャー済みです』
リリアーーーーーーーーーーー! 何してくれてんだーーーーーーーーーー!
『奥様方は大変にお喜びでしたが、何か? 』
『良かったですね、大河さん。すぐに悦びに目覚めますよ』
ぎゃーーーーーーーーーーーー!
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