第280話  はあーーーー!?

 な、何であなたがここ…に?

『報告とご褒美を与える為です。何たって、君は全次元世界にとっての年来の仇敵であるカズムを、史上初めて封印に成功した英雄ですから』

 あれ? カズムの封印って初めてなの?

『ええ。戦い、疲弊させ、撃退した例は数多くありますが、封印という手法に成功した方は初めてです』

 へえ…そうなんだ。別に難しい事をしたわけじゃ無いと思うんだけどなあ…

『いえいえ。君の発想はどの世界でも思いつかなかった物です。誇っていいと思いますよ』

 …地球に住んでる人なら、かなりの数の人が思いつきそうだけど…特にヲタッキーなら、簡単に…

『ふむ…なる程。確かにそうかもしれませんが、それを実現させるだけの能力がありませんよね、地球の方には』

 そりゃ、俺みたいなガチャ玉持ってないだろうし…

『ガチャ玉…ああ、エネルギー変換玉の事だね。うん、面白い使い方してるみたいだね』

 あ、駄目でしたか?

『いやいや、全然オッケー!』

 フランクな人(?)だな、おい! こんな人だったっけ…

『今までエネルギー変換玉を与えた者は、大抵が自分の欲望の赴くまま使ってたみたいだけど、君の使い方は独創的って事だよ』

 欲望の赴くまま、ねえ…。

 ちなみにその人達って、どんな使い方をしてたんですか?

『自分以外の住人全てが女の、巨大ハーレム国を創って王様になった人とか』

 うっわ!

『英雄と崇められたかった者は、自分だけが倒せる超強力な魔王を創ったり』

 うっわー!

『自分にしか治療できない疫病を流行らせたり』

 うっわーー!

『あ、あと自分以外の全ての人がネコ耳とネコ尻尾を付けた女性になっちゃった世界もあったなあ』

 そ、それはちょっと興味あるかも…

『ん? 君はモフリストなの?』

 あ、いや…モフリーナにもまだモフモフさせて貰えてないから、ちょっとやってみたいというか何というか…はい、好きです…

『んじゃ、誰だったか忘れちゃったけど、究極のモフリスキル、ゴッド・ハンドっての創った人いるから、真似たら?』

 ゴッドって付く割に、なんか頭悪そうなスキルだな、それ…

『まあ、とにかくそんな感じで、魂のエネルギー量が大きい人を転生させると、大体自分の好き勝手に世界を変えようとするんだよね。でも、君は自分本位に世界を変える事もせず、かといって超強力な力を求めるでもないから、面白いって思っただけだよ』

 いや~変身は、かなり強力な力だと思いますけど?

『そうかな? 君を転生させた世界では、その位の力を持った人って結構いるよ。君の父君の様に』

 あ、そうだった! 天然チートがすぐ傍にいたんだった!

『そもそも、変身中の能力は、変身した人の魂のエネルギーを対価にしてるんで、君が今いる世界の人だったら、極端に強くなりすぎる事も無いんだよ。まあ、君の父君を変身させたら、エネルギーとか関係無く、どうなるか分からないけど』

 …父さんだけは、あのままにしておきます…


『さて、本題です。まずはカズムに関してです。君がカズムを封印した球は、【現在のこの宇宙】で最も遠い外周にある、多重ブラックホールの中に放り込んでますので、この先数千億年は出てこられないでしょう』

 多重ブラックホール…って、何ぞ?

『それを詳細に説明すると、かなりの時間を必要とするので、簡単に言いますけど…超大質量ブラックホールが、3個以上で相互に干渉しあってる状態のブラックホールですね。干渉しあっていると言っても、互いの距離は2、3万光年ぐらい離れてますけど』

 2万光年…そりゃスケールが大きな話だな。

『そこの中心に放り込んだので、幾らカズムが封印球を破るためにエネルギーを集めようとしうても、全てブラックホールに吸い込まれてしまうので、まあ…集める事は非常に困難になります』

 ほっほー。

『君がカズムのエネルギーを、全て吸収してくれたからですよ。有難うございます』

 いえいえ、どういたしまして。

『報告は以上です。それで、カズムから吸収したエネルギーの球は、まだ持ってますよね』

 あ、そうだ! それをどうしようかって考えてたら、急に頭が痛くなって…

『そうですか、君も使い道を考えようとしてくれてたんですね。ちょうど良かった』

 ちょうど…良かった?

『次のご褒美のお話に繋がります』

 はあ…?

『この星には、君が住んでいる大陸しか陸地が無いのは知ってますよね』

 ええ、以前サラに聞きましたが。

『新たな大陸を創りませんか?』

 はあーーーー!?

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