第264話  清々しい

 さて、この場だけの説教だけでは飽き足らない婚約者~ずにサラが連行されて静かになった事なので、寝るとしますか。

 今夜はぐっすりと1人で寝たいので、きちんと部屋に鍵を掛けておく事にしましょう。

 先程の俺の自爆で、もう暴走は無いとは思うが、念には念を入れておこう。婚約者~ずに強襲されたらかなわん。


『ちょ! 大河さん、何をしれっと寝ようとしてんですか! 助けてくださいよ!』

 自業自得だろ? あ、ナディア…サラが逃げない様に、結界で封じ込めてね。

『了解しました、マスター。おやすみなさい』

 うん、おやすみ~。

『え、ナディア…ちょ、マジで閉じ込める気!? やめてーーー! また危険領域だから、膀胱がーーー!』

『大丈夫です。ちゃんと結界で栓してあげますから』

『ぎゃーーー! セクハラだーーー! パワハラだーーー!』

『では、バルーンカテーテルを入れておきましょう』

『え、何、そのやばそうな名前の代物は?』

『知らないんですか? 尿道留置カテーテルといって、膀胱にたまった尿を採尿バッグへと漏らさず導いてくれる優れものです。自分でトイレに行けない入院患者さんが良く付けている物です。入れる時、ちょっと痛いですが…まあ、我慢してください』

『い~~や~~~だ~~~! なぜのそんな物を挿入せねばならんのだーーー!』

 こいつら…また俺の知識を覗いてたな?

『では、漏らしてください』

『そ~れ~も~い~や~だ~!』

 俺の脳内まで念話を通すなよな…話の内容はおもろいけど(笑)

 導尿カテーテルって、入れる時痛いよなあ…もちろん抜く時もめっちゃ痛かった。

 うん、サラ…がんばれ!


 ってことで、おやすみなさ~い…zzz


 明けて翌朝。

 良く寝て心も体もすっきり爽快!

 ベッドから降りて全身で伸びをしたら、身だしなみを整えて食堂に行こう。

 扉を…お、押しても開かないぞ? 何だ何だ?

 微妙に動くってことは、鍵が壊れてるってわけでもなさそうだが?

 まあいいや、蹴っ飛ばしてみるか…うりゃ!

 どがーん! という音がしたと思ったら、扉が勢い良く開きました。

 よく見りゃ、廊下でサラが引っくり返ってスカートまくれて、パンツ丸出しで転がってた。

 こいつ、もしや俺の部屋の前で寝てたのか?

「おーい、パンツ丸出しだぞ~? 起きろ~!」

 足でつんつんしてみると、ガバッとサラが起き上がった。

 キョロキョロ辺りを見回して、俺をみるやいなや、

「この、薄情者~~! 私を見捨てましたね~~!」

 何のこっちゃ。

「昨日、あれから膀胱破裂寸前まで説教喰らったんですよ!」

「そら、自業自得じゃね?」

「うっきー! こんな可愛いサラちゃんが困ってるんですから、助けてくれてもいいじゃないですか!」

 こいつは…

「元はと言えば、お前が俺を嵌めようとしたからだろーが!」

「ハメれば良かったんですよ!」

「そりゃ意味が違うだろーが!」

「後か先かの違いです!」

「全然ちがわ! そもそも後にも先にもそんな事は無い!」

 こいつ、マジうぜえ…

「あ、今…うざいと思いましたね!? だったら、さっさと…いだ!」

 ナディアの拳骨がサラの頭に落ちました。

「朝から煩いですよ、サラさん。昨夜のは、明らかにあなたの虚言が原因です。反省してください」

 涙目でナディアを睨みながらサラが、

「ナディアも私を閉じ込めて…2人していじめですか!」 

「もちろん、そうだ!」「ええ、そうです!」

 俺とナディアは即答。

「うわ~~ん! 奥様~~~! トールヴァルドさまがいじめる~~!」

 泣きながら食堂へと走って行きました…駄メイドのサラが。

「さ、ナディアも食堂に行こう」

「はい、マスター」

 何か、清々しい気分だ~。


 食堂では、案の定、母さんに説教を喰らってる涙目のサラが居ました。

 昨夜の事を、婚約者~ずが母さんに話さないわけ無いもんな。

 婚約者~ずで思い出した! 俺、きっと帰ったら婚約者~ずに喰われるんだ

 主に、性的な意味で…

 母さんもすでに容認してるから、もう逃げられないかもしれない。 


 嫌じゃないよ。

 嫌じゃないけど、何だかなぁ…

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