第230話 ご迷惑をおかけした様で…
初めて飛行船を見た時、神の遣いの空を飛ぶクジラがやってきたと思ったと言う。
それが浜辺に着陸した後、俺達が降りて来たので、
「な~んだ、あの困ったちゃん領主なら、わけわかめでもオールオッケー」
と、人魚さん達は、おかしな事があっても、俺がする事なら何でも許容出来てしまう種族になってしまったらしい。
だが、その後に起こった浜辺でのドンパチには激おこで、人魚さん達が押し掛けてきた。
「ナウいヤングもぷんぷん丸! お魚さんがドロンしておまんまの食い上げよ! 領主さまでもちょめちょめよ!」
うむむ…何となく言いたい事はわかった。
つまり、激しい戦闘の余波で魚が逃げちゃったので、漁をしても獲れない。領主でもそんな事しちゃだめだよ! って事だよな。
「申し訳ない…ささ、これで機嫌をなおしてくだされ」
人魚さんの群れに、BBQで焼きまくったお肉をそっと差し出しました。
「まったく…冗談はよしこちゃんよ! 今後は気をつけてちょんまげ!」
うん、相変わらずの無理やり昭和死語だな…宮廷語だっけ?
違和感しかねぇーよ!
あれ? でもサラは釣りしてたよな?
『ええ…石鯛だと喜んだら、釣れたのは人魚でした…これは、三枚下ろしで良いのでしょうか?』
リリースしなさい! すぐにリリースしなさい!
すぐ近くのドワーフさんの村でも、あの訓練の爆音は届いていた様です。
気になって見に来たら、あのドンパチ。
怖くなって逃げようと思ったが、俺がのんびりしてたんで大丈夫だろうと、緑茶すすりながら様子を見ていたそうだ。余裕あるな…ロリドワーフ達…
訓練終了と同時に、俺の所にあのドワーフのショタ村長が顔を出した。
「ええがええが、まんずみんな元気あってええべ! んだども浜ではもちとせずねせねばのぉ」
うん、俺の田舎のおばあちゃんかおじいちゃんだな。
つまり、いいよいいよ、みんな元気があって良い事だ。だけど浜辺ではもう少し静かにしようね…って事だな。
「申し訳ない。人魚さん達にも言いましたが、今後は気を付けます…ところでBBQの材料が足りなくなってきたので、村から食材を分けて頂けないでしょうか?」
材料がかなり少なくなってきたのでお願いしたところ、大量に持って来てくれました。
狭い地下室での訓練と違って、広く開放的な海辺で、みんなはっちゃけちゃったんだよね。
これは仕方ない…俺もその気持ちは良く分かる。
だけど、みんな反省してくれよ? って、誰も聞いちゃいねー!
BBQに夢中かよ! 俺の話を聞こうぜ! ちっとは反省しろよ! 今日は訓練という名目の休暇でバカンスのはずだろ!?
え? そんな細かい事をいつまでもぐちぐち言うなって、いつも長々説教するメリルや母さんの言葉とも…
いえ、ごめんなさい!何でもございません…そうですね、細かい事はもう言いません! ちくしょう…理不尽だ…
もういい! 俺も食ってやる!
結局、ドワーフさんの差し入れの日本酒っぽい米酒のせいで、真昼間だと言うのにグダグダの宴会に突入した。
途中、巨乳人魚さんの胸を凝視していた父さんが、母さんの百裂○を喰らって吹っ飛んでたりした。
あの父さんを一撃…いや百撃で沈める母さんって、やっぱ最強なんじゃね?
そして誰も父さんを救助せず、何事も無かったかのように、にこやかに談笑する我が家の面々…俺も気を付けねば…
結局、本日はこの浜辺に停泊中の飛行船にて宿泊となりました。
うん、こうなる気はしてたよ。
シャワーで汗や砂を落とした後、寝室の扉をそっと開けて中を覗くと、婚約者~ずと妖精一同がわちゃわちゃと女子会をしていた。
あの中に入ると大変な事になるのは、すでに学習済みだ。
俺は危険を敏感に察知できる男なのだ! …過去の事は、記憶から消去済みだ。
こそっと誰も使てない部屋に滑り込むと、そっと鍵を掛けベッドに潜り込んだ。
飢えた野獣の群れに飛び込む、自殺願望ありありの小鹿ちゃんではないのだ!
バカンスなのに精神的に疲れたよ…もう寝よう…おやすみぃ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます