第222話  GETだぜ!

 うっし! 温泉GETだぜ!

 何もない土地の真ん中の小さな穴から、温泉が噴き出しました。

「もう出たのか…?」「お兄ちゃん、お湯がどぱーーって!」「「もう掘っちゃったんですか!?」」

 父さんもコルネちゃんも、ついでにユズキとユズカも、目ん玉が飛び出すぐらい見開いて驚いてた。

 何たって作業開始から1時間ちょっとだから、無理もない。

「さすがはマスターです!」

 ナディアは、基本的に俺の事は全肯定だからなぁ…コルネちゃんの事以外は…



 精霊さん、どれぐらい掘ったの? ほうほう…大体1,400m弱かぁ…まあ、そんなもんだろうね。

 水の精霊さん、噴き出した温泉の温度は、いかほどで? んむむ? 大体、45度ぐらいって感じ? それなら、うちのスパ・リゾートの温泉とほぼ一緒だね。


 して、温泉ソムリエのサラさん、泉質は? 

「これは、子爵領と同じ含よう素泉ですね。よう素の殺菌作用は、お肌の吹き出物などに効果が有る…つまり、皮膚や髪のターンオーバーを早めて美しく保つ効果があるという事です。あとは、まだ細かい成分分析が出来ておりませんが、よう素含有量が子爵領と同じとすれば、飲用による高コレステロール血症や動脈硬化などにも改善の効果が見込めますが、よう素の独特な苦みや味わいは好みの別れるところです。甲状腺に異常のある方にはお勧めできませんが、この世界にはその様な病の方は居ないみたいなので、安心して入浴や飲用出来ます。また、全身の代謝を活性化させ…」

 うん、ソムリエの説明はクドいからもういいや。


 取りあえず、温泉は出たんで、

「父さん、後は建物なんだけど、任せても良い? 設計図は用意するから」

「う…うむ。任された。だが、温泉ってこんなに簡単に出る物なのか?」

「そんな訳ないじゃん。僕の掘削の魔法でも、博打みたいなもんだよ」

 こう言っておかないと、あちこちに温泉掘らされそうだからな…他の街は普通の公衆浴場のままでいいじゃん。

「それじゃ、あとで設計図を用意して送るね。取りあえず先に、職人や木材とかタイルにする石材を集めておいてね」

「諒解した。設計図をまってるからな」

 普通は温泉を掘るのが最も大きい投資になるはずだけど、今回はトール君がタダで…ここ重要、タダで掘ってあげたんだから、建物ぐらいは屁でもないでしょう? そこまで面倒見きれんよ。


 さ~って、そんじゃ次だ次!

 難民の雇用先として、蒸気自動車の部品製造を担う下請け工場をあちこちの村に建てまくりましょう!

 これだけ労働力があれば、色々なバリエーションの蒸気自動車の製造が出来るな。

 まずは、定期路線用のバスみたいな大型タイプと、輸送用のトラックタイプ用の製造ラインを新しく作ろう。

 部品工場と製造ラインだけで、数千人規模の雇用が生まれるはずだ。

 計画書は作って持ってきたけど、バスとトラックの設計書も必要だな…これはちょっと時間かかるか。

 それまでは、今の蒸気自動車の製造ラインや部品工場で研修してもらおう。

 いきなり人件費が倍増するけど、これも先行投資だ。将来何倍にもなって返ってくるから問題ない。

 俺も金は出すよ、お父様。利息は年1分にまけておきましょう。

 株式を導入して、積極的に周辺貴族から投資を募ってもいいかもしんない。

 陛下と内務大臣にも相談してみるかな。

 いや、あの2人の事だから、こっそり投資をしたがるかもしれん。

 なんせ軌道に乗るのが目に見えてる事業だしなあ…。ま、また近いうちに相談に行くとするかね。


 んでは、まだまだ来るであろう難民及びスラムの人達の住居に関して、先に造っておきましょう。

 この前の地下都市っぽいのでいいかな?

 

 ええ…すでに1回建造したんで、精霊さんも効率の良い建造行程が分かった様で…1時間ほどで出来ちゃいました。

 やっぱり、めっちゃ有能だよな、精霊さん。

 

 工場建設の時は、基礎工事だけでもお願いするべきかな…費用と時間を圧縮できるしな。いくら金があるからって、ジャブジャブ使ってたらすぐに無くなる。

 節約できる所は、しっかり節約だな。


 しかし、ここ最近ずっと土木工事ばっかりしてる気がするなぁ… 

 え? 活躍の場が出来て嬉しい? 精霊さんがそう言うなら良いけど。

 エネルギーが必要なら、遠慮なくちゅーちゅーしにきてね。

 お世話になりっぱなしで申し訳ないから。

 あ、だから吸うのは人気の無い所でって…こら、ここではヤメロ!

 しかも股間かよ! そこはダメ! お尻もダメ! 変な気分になるから!

 そもそも精霊さんの姿は、俺以外に見えないんだから、1人で悶える変態に見えちゃうだろ!

 …でもどうしても、そこから吸いたいなら…夜に1人で寝てる時に…ね?

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