第219話 腹黒
さてさて、議会も税務処理も終わったことなので、本日の夜にお家に帰ります。
午前中に、陛下へ帰領の挨拶に伺いました。
俺が某男爵の不正書類を王城に持ち込んでから、まだ数日しか経って居ないというのに、もう各地に向かった騎士さんは監査に入ってるという。
犯罪は複数が複雑に絡み合っていて、その全容解明は難航するみたいだが、すでに逮捕された者は数知れず。
のこのこと議会出席のために王都に来ていた間抜けな貴族は、すでに捕縛されてこの後厳しい聴取を受けるという。
ま、犯罪者の末路なんて、どうでもいいけど…一律で死刑とかは止めて欲しいな。
罪の重さによって、きちんと刑罰を与えて欲しいとだけ伝えておいた。
ちなみに、あの豚君の家から奪取した金品類の私財は、驚くべきことに王国の国家予算の半分近くの価値があるとか。
どんだけ金を溜めこんでたんだよ! 国家予算の半分って、尋常じゃないだろ!
日本だったら、何十兆とかだぞ? いや国や経済規模が違うから、そこまでじゃ無いだろうけど、それでもとんでもない額だ!
陛下と内務大臣は、とっても良い笑顔で、
「これで卿とのあの話は、滞りなく進められそうだな」
って言ってたが、まあ~腹の黒い事、黒い事。
だがこの金で助かる人が居ると思うと、俺の顔も自然にニヤケる。
こりゃ、俺も人の事を腹黒とは言えんな…
そして午後は、婚約者~ずお土産を買いに行きます。
これを忘れると、多分正座2時間コースに一直線だろう。
だが…本屋の15禁の暖簾の奥が俺を呼んでいる…だが、ぐぐぐぐぐ…っと、我慢だ我慢!
あの兄×妹物の官能小説の新作が出ているはずなのに、手にできないとは…無念だ…
お土産は無難に王都で女性に人気のカバン工房の新作ハンドバッグ!
ちょっと奮発して、俺の家紋と婚約者~ずのネーム入りに加工してもらった。
うむ…これでご機嫌取りはばっちりだな!
ちなみにコルネちゃんにも買ってあげた。
天使の笑顔でお礼を言ってくれたぜ! やったねトール君!
父さんはこっそり本屋巡りしてたようだが…後で母さんに見つかっても、俺は知らんからな?
日も陰りだした頃、王都別邸の使用人の皆さんに見送られて、俺と父さん、母さんとコルネちゃんにナディアは、蒸気自動車に乗り込んで、ホワイト・オルター号を停泊中の王城横の練兵場へ。
騎士さんがずっと見張りしてくれていたらしく、ホワイト・オルター号へ残していたブレンダーとクイーンからも、特に停泊中に異常事態発生の報告は無かった。シールドが張ってあるんだから、誰も近づけるわけもないんだが。
カーゴスペースに蒸気自動車を積みこんで、いざ出発!
帰りも、楽々オートパイロットで父さんの屋敷を目指します。
夜に出発して、翌朝到着って…夜行バスみたいだなあ…
前世では結構利用してたけど、格安夜行バスだと2人掛けの席でリクライニングしなかったりして辛かった…
ホワイト・オルター号では、しっかり個室のベッドで寝れるから、超楽ちん。
父さん達もお部屋でのんびりしてもらう予定だ。
ここで母さんにもしっかりとゴマをすって、帰った時に婚約者~ずが詰め寄ってきた時に味方になってもらわねば!
まあ、さっきエステに関して支店関連のお話をしたら、ご機嫌が良くなったので…多分、大丈夫…だと思いたい。
いや、王都で浮気とか女遊びとかしてないし、やましい事なんて何にもないぞ? 毎日、夕刻前には父さんの別邸に帰ってたんだし、それは母さんも分かってくれてるはず…ってか、わかってくれてるよね? ね?
いかん…いらん事を考えてたら、眠れなくなってきた。
めっちゃ鼓動が早くなってる! 頭の中で心臓が脈打ってるみたいだ。
とりま、全部忘れて、心を落ち着けて、今夜は寝よう…
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