第197話  作戦開始?

『マスター、隠し部屋と隠し金庫を発見いたしました。如何いたしましょう?』

 ふむ…鍵は開けられるのか?

『しばしお待ちを…マスターの知識の中にある、世紀の大泥棒に関する知識をインストールしましたので、間もなく解錠できるかと思われます』

 世紀の大泥棒って…まさかあの3世じゃないよな?

『いえ、2名の部下を持つ妖艶な美女でしたが?』

 まさかとは思うのだが…や~っておしまいっ!! とか言う女泥棒さんではあるまいな?  

『ええ、その通りでございます』

 スカポンターン!! それは必ず最後に失敗しておしおきされる人達だ! それじゃ駄目だ! 

『ダメなのですか…難しいですね。では、どなたにいたしましょう?』

 俺が決めるのかよ…んじゃ、殺しのライセンスは不許可だけど、英国秘密情報部の凄腕エージェント…いやいやまてまて!

 精霊さんに頼んでみるから、そのまま妖精さんは待機だ。

 

 え~っと精霊さん精霊さん、金庫と彼の鍵を開ける事が出来る精霊さんっている?

 何々? 土の精霊さんは鍵を作れる? 水の精霊さんは隙間から潜りこんでダイヤル錠の仕組み丸見え?

 風の精霊さんが防音できるの? んで火の精霊さんは明かりを付ける事が出来ると… うん、採用!

 皆で、妖精さん手伝いをよろしくお願いします。

 何故か精霊さん達…目出し帽被ってるけど、そもそも君達の事見える人居ないからね?


 よし、ナディア…今から精霊さんが妖精達の所へ向かうから、協力して秘密の小部屋と金庫を開けちゃって!

 その間、誰も近づけない様に結界張るのも忘れない様に。

『了解しました、マスター。すぐ作戦開始いたします』

 作戦ってほどじゃないけどな…

 

『大河さん大河さん』

 んぁ? サラどうした?

『使用人の話では、今夜ぐらいの規模のパーティーが最近頻繁に開催されているそうですよ』

 ほう…参加者は?

『今夜と変わり無いそうです。準備と片付けがめっちゃ大変だってぼやいてました』

 そんな資金どこから捻り出してるのか…あやしいな。違法な重税を課してる可能性は高いな。しかしあんのクソ豚共、贅の限りを尽くしてやがんな。

『それと、今夜集まった貴族も商人も、ほぼ親戚かそれに近い関係です!』

 ん? どういう事だ?

『だから、その言葉通りですよ。婚姻関係だけでなく、娘を愛人として送り込んだり、養子縁組とか、もうキャラの相関図がゴチャゴチャすぎて整理できないぐらいに入り乱れてます』

 キャラって…そうか、こいつら全員が繋がってるのか。もう完全にこの晩餐会で何か企てているとしか思えないな。   

 っちゅーか、我が家を親類縁者として取り込みたいんだろう。

 それも、あのバカチルドレンが自爆したから、すでにバレバレなんだけど。

 サラは、そのまま聞き込み続行してくれ。


 ナディアとアーデ、アーフェン、アームは、周辺の動きを常に監視。

 怪しい動きをしたら、即動ける様にね。


 問題は食事に一服盛られた時なんだよな…もちろん魔族さん特製の毒物を無効化するお薬は用意したけど、これにも限界があるし…即死級の毒物使われたらアウト。

 まあ、この晩餐会で俺達を殺しても何の得にもならないからそれは無いとして、あるとしたら睡眠薬かな?

 無味無臭で即効性のある睡眠薬とかあったら、本当はかなりやばい…本当はね。

 ナディアと天鬼族3人娘には毒物とか異常効果のある薬物は効かないから、まあ何とかしてくれるでしょう。

 お薬も持たせてるから、飲ませてくれるはず。


 こんな時、回復や治癒系の魔法が使えない、己が恨めしい…

 ってか、何で俺って使えないんだろう? 

 魔素の進化形である精霊さんに頼んだら、大概の事は精霊さんの魔法(?)で出来るのに、何故か回復や治癒だけは精霊さんは出来ないらしいし…

 もしや回復とか治癒の魔法って、一般的な(とは言っても千人に一人しか魔法の素養は無いけど)魔法とは根本的に違うのかもしれないな。

 ま、それは今はおいといて…


『マスターが倒れた暁には、私が薬を口移しさせて頂きますので、どうぞご安心を』

 ああ、うん…頼りにしてるよ…

『ちょ! ナディア! それは私の役目ですー! この前、しっかりねっとり大河さんの口中はチェックしたんで、私の方が適任ですー! 何なら今からでも事前練習しましょ~か?』

 おま、サラ! あれはお前が俺を襲ったんだろうが! 

『ま…マスター…いつのまにサラとその様な関係を…私にも是非チェックさせてください!』

 あの…ナディアさん?

『襲った…!? なんと卑劣な! 汚らしい! 憎らしい! 悔しい羨ましい妬ましい…』

 おーい! ナディアさ~ん! 何か最後の方が変だぞ…

『マスター! 無事に不正などの証拠を押さえる事が出来た暁には、是非とも私にも…報奨として…その…き、キッスを…』

 ナディアよ…最近、お前のキャラ崩壊してきたな…

『ダメなんですか? 私は嫌われてるのですか!?』

 あ~そんな事ないが…ほっぺとかおでことかじゃだめかな…

『ダメです。口です。サラ同様にじっくりねっとりです! 不公平です!』

『『『マスター! 私達もよろしくお願いいたします』』』

 な!? 天鬼族3人娘もか!?

『大河さん、全員にヨロ!』

 あのな、サラ…こういうのは倫理的に問題が有ってだな…

『『『『『ヘタレ!』』』』』

 何で俺がディスられにゃならんのだ…  

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