第148話 ご出座~!
出迎えてくれた…のかな? 陛下を先頭に並び立つグーダイド王国の重鎮の方々、およびその他の面々の前へと、ガレオン船風のゴンドラから伸びたタラップを踏みしめて降りた。
順番は、俺、父さん、メリル、コルネ、ナディア、母さん、ミルシェ、ミレーラ、天鬼族3人娘、ブレンダー&クイーン、イネス、サラ、ユズキ&ユズカ…その後にこっそり妖精さん達が姿を隠して。
俺達は陛下の前で臣下の礼をとる。大勢の人目のある場所で、これを忘れたら大変だ。
場合によっては、物理的に首と胴体が離れるからね。
「アルテアン伯爵、アルテアン子爵。此度は、新たなるネス様の神具の披露に王都に上ったという事だが、あの空を飛ぶ船がその神具なのか?」
じ~~~~~~~っと、ホワイト・オルター号を見つめる国王陛下の目は、乗ってみたい、乗りたい、乗りてー! って訴えまくっている目だ。間違いない。
「畏れ乍ら陛下、仰られたように、あれなる空飛ぶ船がネス様より賜った神具にございます。名はホワイト・オルター号。私の思念波というもので操縦出来ます」
陛下、俺の説明なんて聞いちゃいねー! もう、早く乗せろオーラが出まくってる。
おっと、代わりに軍務大臣さんのお出ましか?
「アルテアン子爵、あの空飛ぶ船を王国に献上するのだよな? あの様な船は王国で管理するのが当然であるからな」
なんだこいつ、決めつけやがって! 空飛ぶ船が欲しい様だが、そうは問屋がおろすか!
「軍務卿、残念ながらそれは出来ません」
「な、なんじゃと!?」
大体、自分の思った通りにならない奴って、顔を真っ赤にしてこう言うよね。
「あれは、ネス様より使徒としての活動の為に、使徒専用の移動手段として賜った神具です。あれを操縦できるのは私ただ1人です。また、我欲をもってホワイト・オルター号に近づく事は、ネス様の御力により拒絶され不可能です。また私心を満たすため、使徒専用の移動手段として下賜された神具を略取しようとする行為は、如何なる理由を語ったとしても神罰が下ります。お疑いであれば、ホワイト・オルター号にお乗りください。まだタラップが降りておりますれば」
ほれ、乗ったんさい。すでにシールドは張ってるし、妖精さん達が邪魔してくれるから。ホレ、ホレ、はよ行け。
「し、私欲など我は持っておらぬ…ただ、あの様に空を飛ぶ船があれば、戦時には役立つと思ってだな、あ、あと貴重な神具は王国が管理するのが当然だと考えての事ゆえ、そう卿に問うたのじゃ…」
ほら、我欲、私欲まみれじゃん。
「畏れ乍ら、軍務卿。戦時に利用するなどと、ネス様がお許しになると、お思いですか? また王国が管理するのが当然とは、一体だれの考えでしょうか? ネス様から賜ったとはいえ、あくまでもお借りしている神具。なぜそれを王国が管理するのが当然などと言う考えに到るのか、ご教示頂きたいと思います」
ほ~ら、また顔真っ赤にして怒ったぞ! こいつはカニか? まあ、カニっぽう顔だけど…ぷっ!
「その様な事、誰が言うまでも無く当然の事であろう! 卿はその様な当然の事も分からぬと申すのか!」
んじゃ、この軍務卿にも消えてもらおうかな。この感じだと、国の管理だとかいいつつ、自分が使い倒す気なんだろうし。
「分りました、軍務卿」
「おお、分かってくれたか!」
ふっふっふ…喜ぶのは、まだ早いよ。
「先ほどまでの軍務卿のお言葉は、ネス様が聞いておりました故、ネス様に決めて頂きましょう」
お? 軍務卿、顔が青いですけど、大丈夫?
さあ、ご登場いただきましょう。北町奉行・遠山〇衛門尉様…じゃない、ネス様ご出座~!!
着陸中のホワイト・オルター号の上空に、でっかいネス様が登場した。まあ、いつもの3D映像だけど。
そして大音声で一喝!
『馬鹿者が! 先ほどより聞いておれば私利私欲に塗れ、己の勝手な理屈で、我が使途に下賜した神具を奪おうとは、恥を知れ!』
俺の思念派を、そのままネスが喋ってるだけなんだけどね。
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