第89話  保護地区観光

 俺の領地の領民は1度はネスを見て拝んだ事があり、皆がネスを崇拝している。

 そして拝んだ人はネスへの信仰とセットで、俺への深い敬愛の念を持ってくれる。

 これって洗脳とかマインドコントロールの類だよな……俺に恭順してくれるからって、好き勝手やったら絶対にまずい。

 やりすぎたらこの星の神様の怒りを買いそうだし、そうでなくとも他国との諍いの元になる。

 この前の戦争みたいなのは、もうごめんだからな。


『また戦争起きたら、嫁が増えますよ?』

 や・め・ろ! 冗談でもそれを口にしてはいけない!

 特にミルシェちゃんの前でだけは!

『ミルシェは重婚賛成派ですけど?』

 そうなの? 初めて聞いた!

『そもそもこの世界で重婚は珍しくありませんから。先妻が反対しなければ何人でもOKです』

 うちってば、母さんが反対してたのか……。

『いえいえ、奥さまは反対していません。ただ夜のお勤めは毎日のように強制されてるようなので、旦那様の体力の問題です』

 あは……あは……あはははは……父さん頑張れ……。

『大河さんも、精力剤でも創りますか?』

 そんな事の為にガチャ玉使えるか!

『でもそろそろ新しい創造してくれないと、日常回ばっかりだと読者が飽きますよ?』

 読者ってなんだよ! ちゃんと考えてるよ!

『ほっほー! それは如何様な物で?』

 それは帰ってからのお楽しみって事で~♪

『ほむ。では楽しみに待ってましょうか』


 虎バスの中で急に黙った俺とサラを不審に思ったのか、メリル王女とミルシェちゃんが、じーーーーっと見ていた。

「……どうしたの?」 

 分かってはいるけど聞いて見よう。

「いえ、急に黙ってしまわれたので……」「トールさまが何を考えてるのかなあって……」

 うん、やっぱりね。

「いや、ちょっと今後の領地開発について考えてたんだ。それより、もうすぐ着くよ」

 そう答えると、2人はまた窓から外の景色を見始めた。

「エルフノ村とドワーフの村は軽く視察するだけなんで慌ただしいけど、ごめんね」

 一応、今日のお愉しみはその先だからね。


 ▲


 エルフの村に到着した俺達は、村の中を見て周りながら村長さん宅に挨拶に伺った。

『リョウシュ、ヨクキタ! ワレラ、ダイカンゲイ!』

 うん、相変わらずマッチョな村長だな。最近、肌が更に黒光りしてきた気がするが……突っ込むのは止めよう。

「村長、この2人は僕の婚約者です。よろしくお願いしますね」

 メリル王女とミルシェちゃんを紹介すると、これでもかと祝いの言葉を並べてくれた。嫌な気はしないんだが、大げさだな。まあ2人は嬉しそうにしてたからいいか。

 あんまり時間も無いので、軽く話をしてすぐバス停に戻る。慌ただしいけど、先にちゃんと言っておいて良かった。

 だってエルフの村長さんって、ちょっと暑苦しいし、苦手なんだもん。

 女性陣も微妙に苦手っぽい。

 虎バスは1時間に1回来るので、そう待つ事も無く次の便に乗る事が出来た。


 今度はドワーフの村。虎バスに乗ってる時間は10分ほど。あっという間に到着。

 バス停に降りた2人は、「「わあ~!」」と歓声をあげた。

 まあ家々の形状自体はエルフの村と同じなんだけど、なんとなくファンシー感が溢れてるからなあ。

 村長さんの家へ挨拶に伺うと、玄関扉の口がXになってる兎の彫刻に目が釘づけになってた。

『よ~ぐきたっぺなぁ~領主さん。な~んもねえ村だども、ゆっくりしてげ~』

 どう見てもロリっ子にしか見えない村長さんと、挨拶を交わして世間話。

 特に問題も起きてないようなので、一安心した。特筆すべき事は無いようだ。

 あとは、エルフの村長さんにしたように、婚約者の2人を紹介した程度。

 何かドワーフの村長さんが、俺と婚約者の3人をモデルにした2頭身人形を作ってプレゼントするとか言ってたけど、聞かなかった事にしよう。

 デフォルメねんど人形文化の浸透は、色々と危険な気がするんだが……この世界に元々あった文化なんだから、ここは耳が日曜になったって事で。

 女性陣はドワーフ村長さんの奥さんにいろいろ聞いてた。夫婦円満の秘訣とか。

 聞いて驚け、あのロリっ子村長夫妻には、すでに孫がいるんだとか!

 小学生にしか見えないのに。

 種族的な問題だけど……合法だけど、YESロリータNOタッチの精神はこの星にはないけど、何か納得できないモヤモヤを感じるのはなぜだろう?

 

 エルフの村と違って、可愛い物が溢れてるドワーフの村は女性陣のハートを射抜いたようで、ちょっと長居してしまったが、みんな次にいくよ~!

 さて次の目的地は本日のメインイベント、海です!

 白い砂浜でお弁当を食べようと思ってたんだよ。

 事前のヒアリングで、意外にも女性陣全員が海は初めてってのは分かってる。

 なので人魚さんにちょっとお願い事もしてサプライズ準備。 

 本日のお弁当を用意したサラとイネスさんにはパンだけ準備してもらって、おかず類は一切不要と言っておいた。

 パンだけ準備してといったら微妙な顔されたけど。

 

 そう言えばこの世界のパンって白いふわふわのパンなんだぜ。

 いつもライ麦の硬い黒いパンを食べてた山の盲目おばあさんに白パンを食べさせたくて、フランクフルトのク〇ラの家でハ〇ジが隠してためてたあの白いパン!

 ロッテ〇マイヤーさんに見つかって取り上げられたあの白いパン!

 ハイ〇が山に帰る時に、クラ〇が籠いっぱいにくれたあの白いパン!

 そう! 小麦のパンがこの世界では普通なのだ!

 ハイ〇の黒パンって、実は保存食だから、スープに浸したり溶かしたりして食べるんだって。斧で叩き切る程に硬かったらしい。

 子供の頃はあの白いふわふわパンに憧れたなあ……。

 大人になって普段食べてるのが白パンだと分った時は、ちょっとショックだった。

  

 ドワーフの村から海まではこれまた5分。あっという間に到着しました!

 バス停はちょこっと小高い丘に作ったんで、海岸沿いに茂る木の合間から見えるキラキラ輝く海に女性陣のわくわくは、もう止まらない。

 日本だと王女とミルシェちゃんは、まだ小学校高学年~中学生ぐらいなんだよな。

 2人共、海まで走りだしたよ。

 俺はサラとイネスさんと3人で、のんびりとヤシの木々を縫う様に歩き、白い砂浜に到着した。

 2人は波間でキャッキャウフフしてたけど、もう少し色々と成長したら水着を着せたい……ビキニで……ぐふふふ……。


 今の2人だとスク水かな。やっぱ旧型の奴がいいね。

 知ってた? 旧型のスクール水着って、スカート状のワンピース型の上半身とブルマー型の下半身部分が何か所かで縫い合わさって合体してるんだぜ!

 諸説あるらしいけど、胸から入った水がこの合わせ目から抜けるとか・・。

 良くわかんないけど、あのちょこっとだけあるヒラヒラがなぜかエロく見えたよ。

 胸に【めりる】【みるしぇ】【さら】って、白い布に名前でっかく書いて張り付けたやつを是非とも着させてみたい。

『何で私もスク水なんですか!?』

 水泳キャップにも書いてあげるから、安心しな。

『どこに安心できる要素が!?』

 

 サラとイネスさんと砂浜にレジャーシート代わりの布を敷いて、砂浜を楽しそうに駆けまわる2人をのんびりと眺めていた。

『じじ臭いですね。定番の、やったな~! まて~! ってしないんですか?』

 そんなベタな事するか!

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