第60話 お昼休憩
さて、トンネルを精霊さん達に掘ってもらってる間に魔族の方々の定住地を考えましょうかね。
詳細は到着した魔王様とお話するとして、大体の場所は決めたい。
みんなでピクニック気分で、湖をのんびり周ってみる。
樹々が生い茂ってはいるが、ちょうどよい緩勾配の広い土地があったのでここが一推しかな。
湖にも近いし、街の予定地からちょっと離れてるけど良い場所だと思う。
この場所の樹木を伐採した木材で、家や柵なんかの材料もばっちりだ。
木こりは〇を切る~♪
『へいへ〇ほ~♪へ〇へいほ~♪』
ノリがいいな、サラ。
いや、俺が切るわけじゃないけどさ。
そんで伐採跡地を土の精霊さんに均してもらって、牧草地にしたらOKじゃん。
ん~もう先に開墾だけやっちゃおうかな。
魔族さんが気に入らなくても、畑にすればいいしね。
地図では……どれどれ?
かなりの広さをとれるな。
水の精霊さん、土の精霊さん、風の精霊さん、火の精霊さん、トンネル工事はいったん中断してこっち来てくださ~い。
え~地図のこの辺りからこの辺りまでを伐採して、ここに切った木を集めて乾燥ね。
出来たら、こんな感じの板と杭に加工してくれたら嬉しいんだけど。
板はこの幅と長さで、杭はこの長さと太さの角材でもいいや。出来そう?
お、出来るんだ。んじゃ早速オネシャス。
そんで伐採が終わったら、牧草が生える様にふかふかの土に耕してね。
枝とか葉っぱとかは、火の精霊さんが灰になるまで燃やして土に混ぜてちょ。
なんでって? それが土の栄養になるんだよ~。
すぐに牧草生えてきたらいいなあ……え、すぐ植える??
土の精霊さんと風の精霊さんがネットワーク使って、他の精霊さんが牧草生えてる所から持って来てくれるの?
おお! それはいい! んじゃそれでヨロ!
俺はあちこち見て周るから、夕方になったらみんなでおやつ吸いに来てね。
ってことで、みんなの見てる前でどんどん伐採が進んで行く。
切り倒した木は、どんどん乾燥されて板や杭に加工されてゆく。
「トールヴァルド……これも魔法なのか?」
父さんもびっくり。
「うん。魔法を使って、開拓するよ! ここは牧草地にする」
「さすがお兄ちゃん、すっごーい!」
「さすがトールヴァルドさまです!」
うん、‟さす兄”‟さすトールさま”は気持ちいいな!
産まれて10年、やっとチート使ってるって気がする!
『……精霊が仕事してるだけですけどね』
うん……それはそうなんだけどさ。
そろそろお昼だから、みんなで精霊さんのお仕事を見学しながらご飯タイムにします。
湖の畔まで行って、セリスさんが作ってくれたサンドイッチを食べながら、しばし談笑。
美しい湖面は、いつまで見てても飽きないね。
ここは父さんの領地よりも、若干標高が高いみたいで少しだけ涼しい。
この世界にも四季はあるのだが、父さんの領地では積もる程の雪は降らない。
でも俺の領地は積もるかもなあ。
湖のごく近くにしか平地が無いから、なるべく良い道を造ってあげないと、冬の物流が滞りそうだな。
食べながら父さんとあそこに防壁造って、あそこに街と道を造ってと話しは弾む。
本当は作業をする俺を残して、今日中に皆は家に帰る予定だったけど、魔族ご一行が来ると分ったのでもう1~2泊する事になった。
食料はまだあるから大丈夫かな。
コルネちゃん、ミルシェちゃんとなぜかサラも素足で湖の畔で遊んでいた。
みんな、お子ちゃまだな。
ブレンダーもクイーンも警戒してないから大丈夫だろ。
湖にはまだ変な生き物は入り込んで無さそうだから、水遊びしててもらおう。
でもブレンダー、ちょっと護衛しに行ってあげてね。
今はまだ自然いっぱいの土地だから、のんびりした時間が心地良い。
スローライフってこんな感じなのかなあ。
木陰で、父さん母さん、セリスさん夫婦ものんびりお昼寝中。
ん? クイーンどうした?
でっかいクマがこっちに向かってるって?
皆を起こすのも可哀そうだな……よし、俺が倒すとするか。
晩御飯はクマ肉のバーベキューにしよう!
んで、クマはどこ? あっちね、了解!
では久しぶりに……
「メタルガード……へ・ん・し・ん……トゥ!」
そして俺的ロマン武器を装備。
「エネルギー……ブレード!」
これで準備完了!
ブレンダー、そのまま護衛よろ! クイーン、案内しろ!
メタルガードに変身した俺のダッシュ力はハンパないって!
オリンピックだと全陸上競技でぶっちぎり金メダルとれるからな。
しかも体温調節機能付きだから、どんだけ激しい運動しても汗すらかかない。
森を突っ切り、クマに向かって一直線!
ある日~森の中~熊さんに~出会った~♪
いたいた……でっけえな!
体長3mは越えてるぞ? あれ立ち上がると4mぐらいになるな。
1トン以上は確実だ……1.5トン程あるかな。
ま、俺とクイーンの敵では無い。
クイーンが牽制に飛び出して針で目を狙う。
クマが鬱陶しそうに顔の前で前足を振るうタイミングを見計らい、死角になる外側から高速で接近。
まずは後ろ足を切り飛ばす。
クマが悲鳴をあげバランスを崩し、倒れた所にまた飛び込み前足を1本切り飛ばすと、クマもう半狂乱で暴れ回っていた。
まあこうなってしまえば、あとは勝手に出血多量で息絶える。
じっと観察していると動きが止まったので、首を掻き切り止めを入れつつ血抜きをしておく。
こうしないと肉に臭みがでるし、何より血抜きをしないと重い!
よし、今日の晩御飯も確保できたから、皆の所に帰ろうかな。
血抜きしてもさすが熊……重い。
仕方ないから、引きずって戻ろう。
引きずって持って帰った熊と、俺の宇宙な刑事姿を知らない父さん以外の面子は唖然としてたよ。
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