第47話  創造前の集中集中!

 燃えに燃えた俺はブレンダーに命じ、一直線に森を突っ切り山を越えて家に帰った。

 うん、森の中でも真っすぐならブレンダーの足で3時間弱。

 これなら色々と捗りそうだな。


 家で出迎えてくれた地上に舞い降りた天使・我が最愛の妹コルネちゃんと、攻略中の幼馴染枠ミルシェちゃんに、お土産としてドワーフの村でもらった二頭身人形を手渡すと、すごく喜んでくれた。

「かわいい! お兄ちゃん、ありがとう!」

「トールヴァルドさま、ありがとうございます! すっごく可愛いです!」

 おうおう、二人ともかわええのぉ。

 やっぱりね〇どろいどは、この世界でも可愛いんだな。

 こんどリラックスしたくまでも作ってもらおう!あれは絶対にうけるはず。

 両親とミルシェちゃん一家用に、同じくドワーフの米酒を手渡す。

「お米っていう植物の実から作ったお酒。けっこうキツイらしいよ」

 両家の男は珍しい酒と聞き、今すぐにでも開けそうな雰囲気だったが、奥さま同盟が止めていた。

 夜までお預けらしい。がっくりしている男連中だった。

 うん、怒らせると怖いからね……。


「トールヴァルド様、私には無いんですか?」

「ちゃんとサラにもあるよ、はいどうぞ」

 イカの一夜干しをあげた。

 人魚さんに貰ったのを干しておいたんだよ。

 すごく嫌そうな顔してるな、ざまあ!

「もっと可愛いのが良いです!」

「そうか、んじゃこれ」

 海で拾った貝殻・・でっかい法螺貝。

「……」

「……」

 何か言いたそうだったが、結局サラは両方とも持って行った。

 

 そもそも、お前への土産は他にあるだろうが。

『え、ようやく頂けるのですか? トールヴァルド様の童貞』

 やらねーよ! エロ話の時だけ思考に入り込みやがって!

 大体、何で土産物が童貞なんだよ!

 ちげーよ! でっかい物創るんだよ! それがお前への土産だ!

『それは規定事項だから土産にはちょっと……青い果実を頂きたいです』

 青いヤシの実なら、海沿いに生ってたから採ってこようか?

『チッ!』

 ふ……勝った。



 さて、取りあえず部屋でゆっくりと横になって、何を創るかイメージを固めよう。

 帰路に兵隊蜂を四方八方に飛ばしたおかげで、かなり詳細な地図が出来た。

 俺の領地はあの森全体らしいが、それではエルフ、ドワーフ、人魚さんの生活圏を脅かしてしまう。

 大体、彼らの居留地は森の半分から海寄りだから、そこは一切手を付けない。

 かといって壁を造ると今後の交流に差し支えてしまうし、拒絶している様で嫌だ。

 

 なので間に湖を創ろう。

 地図で見ても、そこそこの大きさの湖が出来そうだ。

 海程ではないが、泳いだりも出来るだろう。

 しかも真水なら泳いでもベタベタしないし、開拓して農地を造った場合の水源にもなる。

 イメージ的には湖にヨーロッパ風のお城が建っている湖。

 そうか、周囲を美しい山々と湖に囲まれた緑豊かな領土で、湖に壮麗な塔を持つ城……これはもうカリ〇ストロ城じゃないか!

 クラ〇ス役はミルシェちゃんがいいな。 

「カ〇オストロ、良いですねえ」

「カリオス〇ロ、良いよな……うん。湖底の遺跡はいらないな」

「城の地下ではゴ〇ト札を印刷ですか?」

「それはまずいだろう。まあ地下室は……って、おい!」

「なんでしょう?」

 こいつ・・また俺の横で寝てるよ!

「お前がここに居ると、必ずミルシェちゃんが嗅ぎ付けてくるんだよ! さっさと降りろ!」

「そんな馬鹿な~超能力者じゃあるまいし」

 コンコンコン……

「トールヴァルドさま、お茶をお持ちしました。入ってもよろしいでしょうか?」

「「…………」」

 降りろ! ベッドから降りるんだ!

 ゲシゲシゲシ! 抵抗すんな! ゲシゲシゲシゲシ! 止めだ!

 ゲシゲシゲシゲシ! ドンッ! ふぅ……蹴り出してやったぜ。 

 同じ様なシチュエーションが前にもあった気がするが……まあいいか。

「いいよ~」


 ミルシェちゃんがおしとやかに扉を開け、カートを押して入って来た。

 サラが床でケツ上げて倒れてるが、顔をしかめただけで無視した。

 うん、ミルシェちゃんもサラの扱いが分かってきたみたいだね。

「それで調査はいかがでしたか?」

「うん、森の中でね……」

 エルフ、ドワーフ、人魚の話を聞かせると、目を輝かせて聞いてくれた。

 う~ん、かわええのぉ。

 おい、サラ。いつまでケツ上げて寝てんだ! さっさと仕事に戻れ!

 ミルシェちゃんと暫し楽しい旅の話題で盛り上がったあとは、もう一度集中だ。

 

 部屋のカギをしっかりかけて、クイーンに見張り番をしてもらおう。

「クイーン、サラが扉のカギを開けて入ってきたら、ケツを刺してやれ!許可する! ぶっすりやったれ! 遠慮はいらん!」

 サラならそれぐらいするし、それぐらいじゃ死なん!

 ベッドに横になって、もう一回集中集中。

 街のインフラから徹底的に考えなきゃな。

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