第26話 おいしく召し上がれ
さて晩餐会のお時間がやってまいりました!
めっちゃ広いお部屋に、えっと何人いるんだろ……とにかく大勢集まった。
王様がなんぞ言うてるが、広すぎて声が聞こえん。
大体、俺5歳なんだから見えねえっての。
父さん肩車してくれない? 不敬になるからダメ? そうだわなあ。
マイクとかモニターとか魔法で出来ないんだろうか?
まあ、ちっこい俺は隅っこでじっとしてますよ。
あ……お話終わったの? カンパーイ! って皆に合わせてやったけど、これで良いんだよね?
父さんこの後は? 歓談タイムだからご自由に? やった!
さ~食うぞ~! テーブル高くて料理が見えないけど……椅子に乗ってもいいかな? いいとも~!
困ってる俺に近づく黒い影……駄メイドのサラさんだった。
料理取り分けてくれるの? ありがとう。
ええ、好き嫌いは別に無いです。
牡蠣のニンニクオイル焼き、スッポンのゼリー寄せ、マムシのショウガ風味唐揚げ、アスパラガスと山芋の馬肉巻き、ウナギとエビのスープ、豚レバーとニンニクの芽とニラの炒め物……ちょっと待て!
お前の取り分けたこのラインナップおかしいだろ!
どう見ても夜の生活に不満のある奥様が旦那に食わせる料理じゃねえか!
お前、俺にこんな物食わせてどうする気だ!
え……ムラムラ来たかって? アホか!俺は5歳だぞ!
遠慮せずに、どうぞおいしく召し上がれ? いや、あのな。
もっといい年頃の奴を相手にやってくれよ……。
同年代以上はいやです……って何で?
俺が良い? これから自分好みに大事に育てる? 意味わかんねーよ!
はあ、どうしてくれよう、このショタロリエロ駄メイド……。
もう属性有りすぎてタグ付けるのに作家さんも困るじゃねーか。
仕方ない、ちょっと待ってろ。
父さんにどうすれば良いのか聞いて来る。
「お父さん実は……」
「ほうほう……なるほど。良いじゃないか、お前専属のメイドにしよう!」
「ふぇ!?」
「陛下に確認してくるから待ってろ」
ああ……父さん行っちゃった。
振りかえると、駄メイドがガッツポーズしてました。
「トールヴァルド、喜べ!陛下が持ってけって言ってたぞ!」
「はあ、さいですか……」
「サラ、明日の昼に王都を出発するので、一緒に来るのであれば荷物をそれまでにまとめて、王城前で待つ様に」
「はい、ご領主様。若様付きのメイドにして頂き有難うございます。昼夜問わず性心性意性力的に全身で勤めさせて頂きますので、よろしくお願いいたします」
駄メイドは父さんに綺麗な礼をしたあと、俺を見てニッコリ? ニヤリ? とした。
「よかったな、トールヴァルド!」
よかないよ! ミルシェちゃんが聞いたら、修羅場だぞ! 修羅〇穴場女子浮遊だぞ? 憧れのパラダ〇ス! かも知れんけど、君と犯すル〇ル違反! は俺の身が危険なんだぞ!
こいつと同じ家に住むとか、俺の貞操が超危険じゃね?
昼夜問わず性心性意性力的で全身でだぞ! 絶対に漢字が違うからな!
ちゃんと聞いてたか、オヤジ!ニュアンスおかしかっただろうが!
絶対に帰ったら精霊さんに部屋のカギを強化してもらおう。
いや……便利グッズで貞操帯を作るべきか悩むな。
しかしこのエロ駄メイドは、最初からこれを狙ってたのか?
狙ってたとしたら恐ろしい奴だ……変なギアスとか持ってねえだろうな?
いやいや、もしやすごい頭脳戦が出来る舞い降りた天才ア〇ギか!?
こんな奴に心理戦・頭脳戦で勝てる気がせんぞ……ここは、やはり徹底的に防御を固めるとしよう。
結局、ニンニク臭をプンプンさせた5歳児になってしまいました。
いや……美味しかったですよ……どの料理も。
▲
明けて翌昼、まだニンニクの臭いは残ってました。
めっちゃ歯磨いて牛乳飲んだんだよ!
グルグル腹下すほど飲んだけど、臭い残ったんだよ!
お約束だった馬車を、王城にて拝領しました。
帰りの御者は父さん。
だって馬車貰えるなんて思ってなかったから、誰も連れて来てないもん。
手に大きなカバンを持ったサラを王城の門前で拾って、いざ帰郷!
あ、帰りの馬車の中って、サラと二人っきりか……やばいか?
「トールヴァルド様、ニンニク臭いです。近寄らないでください」
「お前が食わせたんだろーが! この駄メイド!」
「あ……しゃべらないで下さい……臭いが……うっぷ……」
もうヤダこいつ……。
「サラ、不敬だから給料ナシ!」
「えー! 横暴だー! パワハラだー! ……いじめかっこわるい……」
なんでそのネタ知ってんだ?
こいつ本当は転生者じゃねーだろーな!?
あ、この星の転生者1号は俺でした。
ってことは、天然なのか……怖い子……。
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