システムバグで輪廻の輪から外れましたが、便利グッズ詰め合わせ付きで他の星に転生しました。

第20話 責任者出て来い！

　血みどろで肉の塊がそこかしこ転がる草原を、俺たちは呆然としながら見つめていた。

「ねえ……お父上様……」

「なんだ……我が息子よ……」

「僕のあの壮絶な覚悟はなんだったんだろう……」

「私は息子が立派に領主家の跡取りとして育っている事を嬉しく思う……」

「そっかあ……」

「そうだ……」

「「……」」

『ク～～～ン……』

「「『だーー（ワォーーーーン）ーーー！！！』」」

　全員が地団駄踏んだ！　盛大に踏んだ！　ジタバタ踏みまくった！

　そりゃそうだろう！　だってもう終わっちゃったんだぞ！？

　15分ぐらいしか戦ってないぞ！　俺なんて真面目に戦ってたの、ラスト3分だぞ！

　いや、それは俺が悪いんだけど……

　でもな…………何だコレ何だコレ！

　村が全滅するほどのスタンピードが、起きるんじゃなかったのかよ！

　めっちゃ弱いじゃねーか！

　これ、父さんと村人だけでも何とかなったんじゃねーのか！？

　俺めっちゃ覚悟決めて自重止めるとか言って、極秘事項をバラしちゃったんだけど！？　叫ばなきゃ収まらねーよ！

「くっそー！　こんな事なら自重すんだった！　ダンジョンの責任者出て来い！！」

『……はい……すみません……私です』

「謝れば許してもらえるとか思ってんじゃねーぞ！」

『……はい、誠にごもっともです』

「損害賠償請求をしてやるからな！　訴訟も辞さない！」

『……誠に申し訳ありませんでした』

「クソ迷惑なダンジョンまで乗り込んで、ぶっ潰してやる！」

『……出来ればそれだけはご勘弁頂きたいのですが……』

「出てきやがったら「トールヴァルド！」……何、父さん？」

　怒りをぶちまけていたら、父さんがセリフを被せてきやがった！

　最後まで言わせろよ！

「いや、そいつ……責任者らしいぞ」

「そうだ！責任者出て……来た……の？」

『はい、私がこの第9番ダンジョンの管理責任者のモフリーナです。この度は大変ご迷惑をおかけしまして、誠に申し訳ございません。つきましては今後の事と賠償などのお話をさせて頂ければと、こうしてお伺いさせて頂いた次第でございます』

　そこにはめっちゃ巨乳のネコミミ美少女が居た。

　見た目は薄いストロベリーブロンド・・ピンクゴールドって言うのかな？で、ポニーテール。

　事務服っぽいの着てるが、ブラウス程度でそのはち切れんばかりの巨乳は隠せるはずも無く、ブラウスがバインってはち切れそう……意味不明。

　膝丈のタイトスカートからのぞくのは黒いストッキング。

　細い丸縁眼鏡で低いヒールの靴履いてる。

　もう上から下まで嘗め回すように何度も視線が往復する……男ならするだろ！

　中学生ほどの身長で、地味で幸薄そうなダメクラスの委員長っぽ。

　まあ、俺的にはドストライクだ。

　あ……父さんも巨乳に釘づけだ。

　だよね、見るよね、ね、ね！

　だってむぎゅ！　ってしながら頭下げてるんだもん！

　めちゃ強調されてて目が離せない！　いや離れない！

　とりま、嫌がる俺の目の筋肉を強引に動かして、魅惑の胸から視線を外す。

「ネコ耳お姉さんが、あのダンジョンの責任者？」

『はい、私がこの第9番ダンジョンの管理責任者のモフリーナです』

　名前名前（笑）モフっていいなら、遠慮なくモフっちゃうよ。

　もちろん紳士な俺はそんな誘惑には負けない……負けるもんか……くっ、殺せ！

「取り調べの前に言っておかねばならない事があります」

『はい』

「あなたには黙秘権があります。また、あなたは弁護士の立会いを求める権利があります。供述は、法廷であなたに不利な証拠として用いられる事があります。そして、もし自分で弁護士に依頼する経済力がなければ、公選弁護人を付けてもらう権利もあなたにはあります。ここまではよろしいですか？」

『はあ……ベンゴシ？　ホーテイ？　コーセンベンゴニン？』

「あなたの権利の告知です。まあアメリカの刑事物で毎度お馴染のセリフです。気にしないでください」

「『はあ……』」

　あ、父さんまでキョトンとしちゃった。

　場が落ち着いたのを確認して、

「んん……では改めて、何で我が村を襲ったんですか？」

『はい、実はですね……簡単にお話しますと、お恥ずかしい話ですが……私がダンジョンマスターである事に配下の魔物が納得できないそうで……その結果、脱走をしたみたいです。追いかけて来たんですが……』

「すでに終わっていたと？」

『おっしゃる通りです……すみません……』

　やべえ！　目がウルウルしてる！　めっちゃ泣きそう！

　困った……なんか虐めてるみたいになっちゃったよ。

　俺は父さんと顔を見交わした。

「父さん……俺……」

　多分、父さんも同じ事考えてるんだろう。

「トールヴァルド……」

　もう許しちゃってもいいんじゃね？

「許そうと思う「めっちゃ胸デカいなあの娘！」……んだけど」

　全然違う事考えてやがったよ、このエロオヤジ！　

　まだ見てたのかよ！