二の巻

第103話

 此処中津國は、八百万の神々様が座す希有なる国だ。

 だからいろいろな自然の至る所に神様方は座して、この中津國をお護りくだされている。

 そして天の最高神の大神様が、この国に天孫を降ろされ、国を治めてくだされる様になってから、人々が作るにも神が御いでくだされ、そして護ってくだされている。

 そんな稀有なる国だから、至る所に霊験あらたかなる、それは尊い自然が存在して、そして其処には神が住まい地上の穢れを、清めてくだされていると云われている。

 その代表的な物は、神山と人々に呼ばれる、それは厳かで気高い山だ。

 其処には神々様が住まうと言われ、人々が崇めたてまつるそれは尊い山だ。

 本来神山は、神々にお仕えする眷属神けんぞくしんが住まう所だが、そんな事を知らないもの達は、其処には神が住んでいると崇め立てている。

 まっ、眷属神も神ではあるから間違ってはいない。

 そしてその神山は、人々が想像している様な、地上に点々と現れている山々の中の一つではなくて、地上の様に地続きになっている神山の、一部が点々に現世に姿を現して、この地上の穢れを浄化させているので、現世の様に……否それ以上に広い山や谷の在る、地続きの大地なのだ。

 そして其処に八百万の神々も、お住みになられているもあるという、それは不思議な世界だ。

 そんな現世の者達が、神山と崇め立てている山には、神泉という神聖なる水が湧く泉が存在する。その泉の水は、神山を介して現世に湧き出でるから、此処中津國は尊い水が豊富にある、それは有り難い国なのだ。

 その泉の周りには梅と桃と桜の木が、交互に花を咲かせて、決して泉に花の姿が無い状況を作らないという。

 そしてその泉を覗くと、その覗いたものの見たいの姿を映して、今の状況を伝えると云われている。

 その泉の傍には小さな四阿屋あずまやが在って、神泉に住まう眷属神や、神使や精霊達の憩いの場となっている。

 そして古の昔に、神に捧げられた人間が、泉に映し出される恋しい人々の姿に惹かれて泉に落ち、そのまま泉に呑み込まれたという伝説のある泉だ。

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