第89話
「……ゆえに私は
法皇は、肩に置いた御手の御力を緩めて笑われる。
「……だがしかし、あの陰陽頭ですらそなたを害せず、それ処かそなたに報復されて果てた……その時陰陽頭が陰陽助に言い遺したのだ……これ程のものは決して害せぬ、夢夢御関わりなき様に……私に伝えよと……
なんとも、そなたは執拗なるものよ……私はそなたを害するを諦めた……天命ならば逆らえぬ……純子は兄の関白の屋敷に下がり、そなたを産んだ……あれ程侍医達が案じた純子の出産は、不安の欠片も無く体調の不良も無い物で、その時兄の関白が申したのだ。これは天意だと……天が望んで誕生させたのだと……ならば私にそれを阻む術は無い」
肩に置かれた御手を引かれて、法皇は今上帝の御身からも御身を引かれた。
「私は皇子誕生の知らせと共に、親王宣言と皇太子の冊立を行ったが、純子は私を恐れてなかなか戻っては来なかったが、兄関白の助言で内裏に戻った。しかし、青龍と身二つとなった純子は、徐々に体調を崩した。否、青龍の加護が無くなって、ただ元に戻っただけであったのであろうが、やはり大義をなした躰は、もはや元には戻らなんだ……徐々に衰弱して行ったのだ……だが純子はそれを青龍の所為に致す様な、そんな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます