第86話
「自分の権力の為に、我が
法皇は今上帝を、睨め付ける様に言われる。すると今上帝は、呆気にとられて御いでであられたが、急に声を上げて高笑いされた。
「如何にも、貴方様の母は余りにも心根が
今上帝は御腹を御抱えになられる格好を、御作りになられて笑われる。それは面白いと言わんばかりに、それは滑稽と言わんばかりに……。
「その様な貴方様が、何故に朕を害せましょう」
今上帝は嘲る様に法皇を笑い見て言われ、法皇は少しの顔容の色を変えられた。
その微かなる青白さは、もはや儚さを放っていた。
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