第68話
「我らとて天寿はございます」
「それ以外では?死ぬ事はないんだろう?神なんだから?」
朱明の必死の問いに、孤銀が躊躇する。
「……朱明よ。我ら相互の力を持って致せば、それは互角だ。弱い方が殺られる……だが人如きの呪術で死は絶対に無い。死は無いが傷付く事はある。傷つけば癒さねばならぬ……その時が、幾歳月の時を費やすか解らぬ。そなた達の生は短い、ゆえにそなた達の生の間に癒されねば、それは死と同等のものでは無いのか?」
見かねた大鬼丸が朱明に言ったので、朱明は確かな道理を得て目を潤ませた。
「朱明よ……あの青龍に呑み込まれれば、孤銀とて俺とて真に死ぬ。八百万の神とて今生ではなく、この宇宙から消え去る。我らを呑み込んだヤツを仕留められるは、大神しかおらぬだろう。だがヤツがどれ程の物へとなるか、俺らを呑み込まねば解らぬ……つまり大神でも危ういと言う事よ。ただ天が誕生さす、生まれた時から大神である、大地の大神だけは違う。あれはこの星の全てもの物を、無にする力を許されて誕生するからな。ゆえに何物にも揺るがぬ硬い物でできていて、融通がきかなすぎて神々ですら煙たい存在だ。かつてその質ゆえに、幽閉の憂き目に合うておる。あれが動けば全てが無くなる、青龍共々全てを水に流して、新たな世界を誕生させるが、そこに我らが存在する確証は無い……ゆえに俺はお前に願うのだ。今上帝を今止めねば、この世は無くなる……」
「……しかしながら、その要の皇后様が居られ無いのです。今生の何処にも気配がないのです……したらば如何致せばよいのです?この私に如何致せと?」
朱明はポロポロと、大粒の涙を零して大鬼丸に言い放った。
「私には亡き父の様に、呪術を我が身に放って、お
朱明は大鬼丸に言い放って、きつくきつく唇を噛んだ。
生まれてからこれまでこれ程、我が身の不甲斐なさを恥じた事はない。
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