第47話
あの恐怖は半端ではなく、そしてそれを……御側の者達が恐れ
あれが噂に聞く、青龍の真の力なのか……。
ならば噂は決して嘘では無い。あれ程の物だ、真実この国の全てを呑み込みかねない。
いや……あれ程の物だと、
ゆえに
それを意味する事は……つまる処、瑞獣鸞の皇后様が存在しなくなった時点で、あのバカでかい青龍の力を、抑えられる者は存在しない。
……どうすればいいんだ……
高々の人間の
伊織すら御側に近寄るのが恐ろしく、なかなか清涼殿に赴けない。
この伊織が近寄れないのだ、他に近寄れる者など居るはずが無い。
そこまで自負する伊織だ。長年今上帝と築き上げて来た絆だ。
そう思う癖にあの恐ろしさに身が
この自分がこんな事ではならぬ……と自身を鼓舞するが、やはり恐ろしいものは恐ろしいから、ついつい蔵人所に居座っている。
「伊織様……」
恐れ慄いているのは、宮中の大方だ。
殿上の間に昇殿を許された殿上人と蔵人が、清涼殿の殿上の間に伺侯しておられずに、此処に逃げて来ているが、伊織は自身が自身だから何も言えるものではない。
怯える蔵人達に促されて、恐ろしい今上帝に
伊織は思い腰を上げて、清涼殿に向かった。
できる事なら行きたく無い……が心情だが、そうはいかない事を知っているし、如何様に今上帝が御成であろうとて、御側に最後まで傅くのが自分である……という強い思いがある。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます