なんかしっくり来ないのでこれで一旦終わり

それが贄波璃々が八峡義弥を好く理由であった。

もう二度と離さない、離してはならない。

贄波璃々は隣に居る八峡義弥の顔を見て強く腕を抱く。


(うわ)

(胸の感触)

(たまんねぇな)


八峡義弥はそうスケベ顔をしながら贄波璃々の胸の感触を楽しむ。

そのスケベ顔を横から見た九重花久遠は、少し暗めな表情をして八峡義弥から離れていく。


「んお?」


九重花久遠は何も言わず、トイレの方へと向かって行く。

八峡義弥は急に離れていった九重花久遠に対して何か恐怖を感じた。

しかし数分後、すぐに九重花久遠は戻って来た。

何処か、違和感のある着物姿で、再び九重花久遠が八峡義弥の隣に座ると。


八峡義弥の腕に柔らかな感触があった。

それは、九重花久遠の胸元からだった。

普段、九重花久遠は、着物の美しさを重点に、胸元を晒しで潰していた。

そして彼女は、トイレで晒しを剥いで、八峡義弥の腕に抱き着いたのだった。

着物の先は彼女の柔らかな胸元。ほのかな暖かさが八峡義弥を包み込む。


「おいおい」

「たまんねぇな」


八峡義弥は思わず口を開いてそう言った。

贄波璃々が九重花久遠を睨んだ。


「ちょっと」

「色仕掛けのつもりかしら」

「体でしか」

「八峡の注目を」

「引けないのね」


そう嫌味ったらしく贄波璃々は言う。

それに対して九重花久遠は贄波璃々の体を見て微笑んだ。


「申し訳、ありません」

「これ、ばかり、は」

「成長の、差」

「と、言うものでございます」


「……」

「ちょっと」

「私の胸が小さいって」

「言いたいのかしら?」


九重花久遠の言葉に。

贄波璃々は笑顔で対応する。

対応するが、青筋が浮き出ている。

キレていた。思い切り、これはヤバイと八峡義弥が思う程に。


「……いや」

「俺は小さいのも」

「好きだけどな」


そうフォローを入れる八峡義弥。

贄波璃々が八峡義弥の耳に手を伸ばして思い切り捻る。


「いでででっ!!」


「何のフォローにも」

「なってないのだけれど!!」


「おやめ、下さい!」

「八峡、さまが」

「痛がって、ます!!」


声を荒げる三人。

いよいよ、女同士の喧嘩が始まろうとした最中。


「あのー」


と、恐る恐る、その三人の中に入ってくる、女性店員。

何かあったのかと、八峡義弥は彼女の顔を見ると。


「申し訳ありませんが……」

「店内では、お静かに、お願いします」

「他のお客様の、迷惑になりますので」


と、女性店員は言った。

周りを見渡すが、八峡たち以外の店員は居ない。

それは注意喚起だった。次に暴れたら出禁にするぞ、そう言う意図が汲み取れた。


「……」

「外出るか」


八峡義弥はそう提案した。

二人も黙って頷く、客観的になって、自分の行動を恥ずかしく感じてしまったらしい。


そして外に繰り出す三人。


「俺は帰るか」


八峡義弥はそう言った。

それで三人は、帰る事になった。





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