Page 45

カシャっ

俺達が裸で布団をかぶっているとカメラのシャッター音がした。俺は流石に周りを見渡すと彼女がスマホを持って俺達の今の光景を撮っていた。俺達の今の光景とは、まあ、察しのとおり行為を行った後だ。

「なにやってんの?」

「これからインスラにあげようと思って」

「おい、流石にこの状態の写真が流出するのはまずいって」

「え、やっぱりそうかな?でも、私達がラブラブなの見てもらおうよ」

「お姉さんに言われたこと覚えてないの。俺と同棲するようになってからやたらとインスラあげるようになったって。しかも、9割は俺とのツーショット写真だって」

彼女のアカウントに興味も示さす、聞かなかった俺も悪いけどよ。これはびっくりだよ。写真は撮ってるなとは思ってたけど。おかげでいろんなやつからより一層連絡がきた。俺も彼女もめんどくさくなって、今俺達2人は付き合っていて同棲しているとだけの情報は伝えた。実際真実だしこれで収まって欲しい。だが、その後のことを野郎どもは突っ込んでくる奴がいる。毎日やりまくりかとか。実際はやりまくりなのだからこそ伏せたけどな。まあ、どうせずっとは隠してあげないからな。あと、彼女は俺と会ってからアホになってないかと最近思っている。フィクションの世界じゃないんだから。どっかの恋愛頭脳戦の方と違うんだから。いや、これが世間的にいう恋は盲目というやつなのかもしれない。これは彼女だけでなく俺にも当てはまっていることだろうな。彼女の行動に問題があるような書き方をしてきたがそんなことはないと思う。俺が少し慎重に考えすぎているのかもしれない。まあ、状況的に慎重に考えたくもなる。彼女のお腹にはすでに赤ちゃんがいる可能性が高いのだから。他のことだけなら別になんともないが、もし彼女が妊娠したら俺達には責任が伴ってくる。これは俺達にとってのこれからを左右しかねない事案だからな。

「さっきの写真あげたよー」

「何馬鹿なことやってんだよ。これじゃ俺が完全にやりまくってるみたいに見えるじゃねーか」

「んー?だって本当のことじゃん。それより最近私に対しての口調が雑になってきてるよ」

「あっちょっと乱暴的だった。訂正する」

俺は今、こんな何気ないやり取りがとても幸せだと感じている。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る