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うちの家族の面白いところがとくに深く事情を聞いたりしないところだ。正直これはありがたいところだ。いや、いい家族と言って感謝するべきか。
その後は彼女がこの家に住むための準備が着々と進んでいった。
「寝る部屋とかどうするの?もう空き部屋とかないでしょ?」
「たしかに。布団とかも用意しないとだしな。これは流石に客人をもてなすような体制がないと...」
母と父は2人で彼女の部屋の確保について話している。
「あ、私彼と同じ部屋で寝るので大丈夫ですよ」
彼女は2人にそう提案する。
「え、ほんとに?」
母が聞き返す。
「はい、最初からそのつもりですし。布団とかのことも考えてもらわなくて大丈夫です。彼の布団で一緒に寝ますから」
「え、それでいいの?狭くない?2人で同じ布団で寝るのは流石に狭いんじゃ...」
「大丈夫です」
彼女は母に対してそう断言すると、腕を俺の腕に絡めてくっついてきた。多分、アピールのためだろう。私達2人はこうやってくっついてても大丈夫ですという。
「2人はそういうところまで言ってるんだぁ」
「ほら、あんまりからかうんじゃない。察してやれ」
「ああ、そっか」
父が母を止めた。俺ら2人の前でその会話はして欲しくなかったな。完全に俺ら勘付かれているかもしれない。
「2人は付き合ってるって言ったけど、いつから?」
父が俺らに質問してきた。
「「・・・」」
俺ら2人は一瞬間を置いた。
「「今日からです」」
2人同時に同じことをハモりながら言った。
俺は多分、この言葉を人生で1番頭を悩ませた言葉だと思った。マジで言ってた時恥ずかしかった。
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