15.温故知新
しょうけら。
しょうけらはその庚申待において人間に害をもたらす妖怪らしく、「しょうけらはわたとてまたか我宿へ、ねぬぞねたかぞねたかぞねぬば」という
▽
「………………」
そこまで説明を読んで、私は手にしていた本をぱたんと閉じた。
今日の顔合わせで草壁氏にもらったお題は「しょうけら」。勿論私には聞いたことのない言葉だったため、帰る足で図書館に寄って関連書籍を漁ってきたのだ。図書館の閉館時刻が近かったこともあって家でじっくり読もうと何冊か借りてきたのだが、どれも内容は驚くほど薄かった。
一番詳しく記述されていたその本の
これではいくらなんでもどう恐怖を感じていいのか解らない。
私はふうとため息をついてから、借りてきた本をパソコンの置いてある折りたたみ机の上に全て積み上げた。酷い
「あーあ、幻想小説なら全部想像で書いてしまうのになぁ」
そう独り言を言ってころんと寝返りをうち仰向けになると、部屋を薄明るくしているものの細かい
だらしない格好で寝転んだ私は、しかしその瞬間、何かがちらりと脳裏を
「……あれ?」
むくりと起き上がり、私は考え直す。
「そっか、別にノンフィクションなわけじゃないんだし、足りない分は想像と脚色でいいのかな……?」
それは気づきだった。
妖怪は何も現実に存在するわけではない。ならば大体のアウトラインさえ保っていれば想像でいくらでも
そうだ、それは幻想小説に登場するものたちと変わらない。要は自分が「怖い」と思う
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