私が骨折した話

 今日は病気の話……ではなく私がはじめて骨折した時の話を思い出しながらしたいと思います。


 今日が雨だったので、その時の事を思い出したのでちょっと気分転換に書いております。


 私は人生で一度だけ骨折したことがありまして。これからもしない……と言う保障はありませんが、私がどのようにして骨折したのかを軽く書いていきたいと思います。


 と言っても、長い話にはなりません。


 雨の日に滑ってコケて骨折した……言ってしまえばそれだけです。


 確か、高校生くらいの時だったんですけど……中学だったかな? 記憶自体は朧気です。


 近所のスーパーで立ち読みでもして帰ろうかと思って、普通にスーパーに入ろうとした時の事です。


 そこは入り口に、格子状になった金属製の足場が自動ドアの前に設置されてまして。


 ちょうど、そこが雨に濡れていたんですよ。


 で、私は何の気なしに傘をたたみながらその場所に片足を乗せたところ……。


 視界がぐるりと回りまして。


 滑って転んだ……と言うのが理解できたんですけど、そのまま身を任せて地面にぶつかってればたぶん、骨折はしてなかったんだと思います。


 よせばいいのに、私は右手をとっさに地面に伸ばしてしまったんですよね。


 手が地面に付いた瞬間……。何か変な音が脳天にまで響きました。


 こう……「バキンッ」と言うか「ゴキンッ」と言うか……とにかく木の枝が折れた時の音を重くたような音が私の身体の中から響いたわけです。


 最初は、痛いなぁ……としか思わずにそのままスーパーの中に入ろうとしたんですよね。


 そしたら……見かねたちょうど隣にいた見知らぬおばあちゃんが私に話しかけてきたんですよ。


「大丈夫かい? なんだか凄い音がしたけど……痛くないかい?」


 どうやら私が聞いた音は私の身体の中から耳に届いただけではなく、他社の耳にも聞こえるほどの音が響いていたようです。


 だけどそこはイキりたい最中の思春期高校生。


「大丈夫、大丈夫!! ほら、動くし!!」


 と、心配してくれたお婆ちゃんにわざわざ右手を動かしてアピールするわけですよ。痛いのに、効いてないアピールみたいに右手をひょいひょいと動かすわけですよ。


 でも、その時はまだ動かせる程度の痛みだったんですよね。


 心配してくれるお婆ちゃんを他所に、私はそのままスーパーに入っている本屋さんで雑誌の立ち読みをしようと移動します。


 でも、おかしいんですね。


 歩くたびに……身体に寒気が走ります。


 そして、身体は寒くて震えているのに変な汗が身体中から止まりません。


 初めての体験に戸惑いつつも……すぐおさまるだろうとたかをくくった私は本屋に辿り着きます。


 そして雑誌を取ろうと右手を伸ばした瞬間……目を疑いました。


 手首が物凄い腫れあがっているんですよね。


 だ……打撲だろう? とか思っていたんですけど、なんか変な色……赤い紫色? とにかく気持ちの悪い色をした右手がそこにはありました。


 そしてこれもまた不思議なもので……その手を見たら途端に右手が痛くなってくるんですよ。


 徐々に徐々に痛くなってきて……脂汗が体中から止まりません。


 立ち読みどころではなく、吐き気までしてきました。


 当時、携帯電話なんて存在していなかった(あったかもしれないけど私は持っていなかった)私はどうしようかとパニックになりつつ……幸い小銭は持っていたので公衆電話から親に電話しました。


 親はすぐに迎えに行くからそこを動くなと言ってくれて、私はスーパーの外に出て待つことにしました。


 と言うのもですね、スーパーの中にいると何と言うか……汗がダラダラと出て来てどうにも落ち着かなかったからです。ハンカチを持ち歩いていたのですが、汗を拭いても後から後から汗が吹き出します。


 ちょっと恥ずかしい……と言うこともあり、私は外に出て少し待ってたわけですね。


 私が骨折した時に覚えているのは「痛み」よりもそう言う「悪寒」「吐き気」「吹き出す汗」なんですよね。


 ちなみに、痛みと言う一点においては尿路結石や痛風の方がはるかに痛いですね。


 記憶の補正もあるかもしれませんが……そうですね、痛みの度合いで言うと……


 尿路結石 >>>>>>>> 痛風 >>>>>>>>>>>>>>>> 骨折 くらいの開きはあります。


 まぁ、場所にもよるんでしょうけど……それくらい骨折自体は痛くなかったです。その時は。


 そのまま私は迎えに来てくれた親に連れられて整形外科へと行きました。


 捻挫程度で考えていたんですが……レントゲンを撮った結果……右手首骨折となっておりました。


 レントゲンの写真には右手首に真っ黒い線が入っていて、まるでそこだけ切り取られているような写真だったのを覚えています。

「綺麗に折れてますねー……まぁ、これなら一ヶ月くらいでくっ付きますよ。ギプスで固定しますから、普通に生活はできますからね」


 まぁ、面白みは無いですが複雑骨折になってなくて良かったというところです。


 ただ、私が声をかけてくれたお婆ちゃんに対して動かしたことに関しては怒られました。そりゃそうですね。それで無理に動かして複雑骨折になったどうするのと言われてしまいました。


 その時に教えてもらったんですが、汗とか吐き気が出るのは骨折時のショック症状の一種らしくて……それは落ち着いたらすぐ治るものらしいのですが……そのショック症状が出ているときに無理をする人が多いんだとか。


 ちょっとぞっとする話なんですけど、手首を骨折して180度回転してしまった人が……ショック症状と焦りから、自分でその手首を元の角度に戻して複雑骨折になってしまった事例もあるんだと教えていただきました。


 だから骨折の時はまず焦らない、落ち着いて病院へ行く。これが大事だと教えてもらいました。


 あとは、そういう時は救急車を呼んでも良いんだよとも言ってくださいましたね。それは移動中の振動等で骨が余計にズレることを防ぐ目的もあるんだとか。


 まぁ、10年以上前の話なので今もどうなのかは分かりませんが……。先生はそう教えてくださいました。


 それからギプスで固定して……まぁ、高校生だからあれですよ。


 「ギプスかっけー!!」みたいな馬鹿な思考にもなるわけですね(笑) あとはお決まりの落書きとか。色々と普通にそのまま固定して一ヶ月が過ぎて完治……となったわけです。


 ただ、ギプスをするときに注意されて今も覚えているのは「プレイステーションをやるときは注意してね」との一言でした。


 今でこそ珍しくないですが、当時はコントローラーが振動するって画期的なものだったんですが、その振動が、ギプスで固定している腕によろしくないんだとか。


 下手したらせっかくギプスで固定しているのに、振動でズレてくっついてしまう……。そうなると、下手したら手術しなければならないので、固定してても振動は厳禁だと厳命されたわけですね。知りませんでした。


 それから一ヶ月……私はあんまりゲームをしないで本を読むことで暇をつぶして過ごして完治したわけです。


 これが私が骨折した顛末です。


 ですが、実は今も後遺症は残っていたりします。いえ、これを後遺症と言っていいのか分かりませんが……。


 運動をするとき、重いものを持ち上げるとき、明らかに右手首にだけ強い痛みが走ることがあるんですね。


 腕立て伏せなんかも左手首より、右手首が先に痛みます。


 なんでもそうかもしれませんが、一度壊れたものは容易には元には戻らないという事でしょうか。


 これを見た若い方も、年配の方も、転倒しての骨折には十分ご注意ください。


 余談ですが私が自動ドア前でこけたスーパーなんですが……それ以来、金属の格子状の地面の上にマットが置かれるようになりました。


 どうやら私が派手にすっ転んだのは結構目撃されていたようで……。


 またお客様が転ばないように、マットが置かれたと店員さんからお聞きしました。確かに、私に声をかけてくれたお婆ちゃんが転倒していたら一大事でしたもんね。


 流石に私がその転んだ人間ですとは名乗れませんでした(笑)

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