第44話 マニア大戦24 両雄並び立たず?
マニア氏は大学卒業の翌年、瀬野氏が鉄研に来たことに触発され、ものすごく「勉強」を始めた。
それまで読まなかった「鉄道史料」や、それを発行している鉄道史資料保存会が出版している客車などの図面集を大阪の朝日家書店まで行って買っては、読み漁っていた。まさに、1948~9年の阪神で、別当薫加入後の藤村富美男みたいな状況。
もっとも彼らの風貌は、藤村と別当を入れ替えたらぴったりだ。
結局「両雄」並び立ち得なかったようだが、実態は、両者の入学時の時間差のおかげで、「(いろいろな意味で、いろいろな筋や人々が、特に、彼らの周囲が)助かった」ってところだろう。
この音源のCDの表表紙には「鉄学論争」という表題とともに、参加者全員の写真、裏表紙には、左側がマニア氏、右側が瀬野氏で、小柄で眼鏡をかけた石本氏が、彼らの間に立っている写真を載せた。その写真を見た父は、こう喝破した。
「真ん中が若林忠志監督で、左が別当薫、右が藤村富美男の3人で写っている、タイガースの歴史本では必ず出てくるあの写真へのオマージュだな。ビジュアルで言えばピッタリ、役柄で言えば左右逆だが」
この三者が並んだ写真は、プロ野球にも詳しく、西日本にある複数球団の関係者とも付合いのある余部社長のアイデアだった。
偶然か必然かは何とも論評のしようがないけれど、マニア氏こと米河清治氏だけでなく、瀬野八紘氏もまた、阪神ファンだ。その2人の間に、戦前の阪神監督と同姓同名の人物・石本秀一氏。
なるほど。
でも、若林監督はかなり背が高いが、石本氏はそうでもなく、マニア氏や瀬野氏よりもむしろ身長は低い。それがまた、何とも言えぬ雰囲気を醸し出している。
ちなみに若林監督は別当・藤村両選手と腕を組んでいるが、この三者は腕を組むでもなく、ただ並んで写っているだけだ。
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