第66話 さよならリル!?
草原は真っ暗闇だけど、見晴らしがいい。だからつけて来ている人もすぐに誰かわかった。
『予想通りだな』
彼女がいなかったのは、僕がニーナにリルを渡しに行く時に尾行する為だったんだ。と言う事は、ニーナに預けたらと言うリトラさんのセリフは、初めから決まっていたって事?
『君が話に乗るのが第一段階。リルを預けに行くのが第二段階。ニーナを巻き込めば、後々君を縛る事ができるからな』
「………」
『ディルダスは、なかなかの策士だな。君に選択させてはいるが、明らかに誘導している』
はぁ……。こんな事になったのはリレイスタルさんのせいもあるけど、リレイスタルさんが居てよかった。
で、ここで何するの?
『まずは、さっきの契約魔法が成功しているかだな。魔法が消えたのが契約魔法の結果なのか、それともリムーバルを飲んだ結果なのか確かめよう』
あ、そっか。覚えた後に飲んだんだから一緒に消えちゃってる可能性もあるのか。
【ステータスブリンカー】パッシブ/レベル11
後付け魔法は、シークレット扱いとなり自身の鑑定以外では表示されなくなる。
◆消費MP:後付け魔法一つにつき一日換算消費80
◆変換:ポーション系はすべて、MPポーションの効果に変換する。
覚えてはいたけど、思っていたのと全然違う。
『これはちょっとあれだな。気を付けないといけないな』
どこ? 何を気を付ければいいの?
『MPポーションに変化するのだからHPはポーションでは回復させられないって事だ』
あ、そっか。リムーバルってポーション系なんだね……。
『それでがっつりMPが回復しているわけだ。でもこれいけるな。がんがん魔法を使ってもリムーバルを飲めばいい』
がんがんって……。
この後付け魔法って契約魔法以外も見えなくなっているって事?
『だろうな。自分で確認できないが、簡易魔法も見えなくなっているのではないか? キモンがこのステータスを見てどう思ったかだな』
どうとは?
『リムーバルは、呪いの魔法も除去となっている。消えた魔法が呪いだったのかと思っているかもしれない』
え? ハイヒールとかも?
『後付けとしてないものなのだろう? だったら魔眼の様に呪いの魔法。バフの効果で呪われないという話からそう考えてもおかしくない。だとしたらよい結果になったかもな』
よい結果って?
『呪いと交換で覚えた魔法は全て消えた。つまり見えていなかった魔眼も消えたのではないかと』
それってよい結果?
相手は、その魔眼の能力を利用しようとしているんじゃないの?
『憶測だが、負の遺産を探させるつもりではないかと。彼らは調査隊が来る前にあの鈴がどこにあったのか聞き出せる。その場所をもう一度探索させるつもりかもしれない。呪われない体質の君ならとってこれるだろう?』
そっか。呪い無効は、バフの効果だもんね。
で、リルはどうするの?
『まずは、ポーチに魔法を付与する。内容は、リルに魔素耐性をつけさせるかな』
そんな魔法あるの?
『できるかやってみろ』
わかったよ。
本当は嫌だなぁ。リルを魔素空間にしまう気でしょう?
『ほう。気が付いたか』
それしかないじゃないか!
でも仕方がない。一時的に隠れてもらうのに魔素耐性……いや僕と同じ魔素無効をつける魔法を!!
ポーチに触れながら魔力を注ぎ契約魔法を付与した。
【リルルーム】パッシブ
このポーチが魔素空間と繋がり、ポーチ内に魔狼リム専用空間が作られる。
◆リルがポーチに入ると、リル専用の空間に送られる。
◆リル以外の生物がポーチから入ると魔素化する。
◆ポーチから魔素空間の出し入れできる。
◆MP消費:魔素空間の魔素が足りなくなった場合、一日換算1000消費。
リルルームを契約し、魔法としますか?
あれ? ポーチが空間になったの?
『今回もやってしまったな。リルが入っている状態で魔法を付与したからだろう。でもいい結果になったのではないか?』
あはは……。僕の魔法作成って安定しないね。
『さて、先に契約してから魔法を使えよ』
うん? どういう事?
『発動させてからポーチの魔法を消せという事だ。別にそれで魔法を発動できるからな』
えーとわかった。契約する!
――契約魔法『リルルーム』を取得しました。
「マジックリカバリー」
――契約魔法『リルルーム』を取得しました。
うん? ちょ【リルルーム+】ってなってるけど!?
『おぉ。大発見だな。別にいいんじゃないか?』
『リルも魔素空間に出し入れできる』が追加になっていただけだからいいかもしれないけど。
次からは違う方法を考えないとね。二重に魔法を取得できちゃうみたいだから。
僕は、かがんでわざと
これで騙せるといいんだけどね。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます