第42話 寝る時も気を付けよう
街の外れにある保養地の大きなお屋敷に連れていかれた。
本当にお金持ちなんだな……。
『さっきは、関係はどうでもよいと言ったが聞いていいか? どうやって仲良くなったのだ? 君は孤児院の出だと言っていなかったか』
彼女はある事情から冒険者になって、錬金の魔法を受けに来ていたんだ。そこで知り合った。チェミンさんが言う通り、彼女では作れないかもね。でも錬金術師が作れないモノを僕が作れるとは思えないんだけど。
『一度ポーションを作ったのだろう?』
まあね。
『だったら作れるだろう』
あのね、簡易錬金だし……。
『どう習ったかは知らないが、錬金レベルの事を言っているのなら成功率だと思えばいい。最初から錬金の魔法を持っている者は、錬金に適している者なので覚えた魔法より成功率が高いのは当たり前だ』
そうかもしれないけど、エリキシルだよ? ポーションを作るのとはわけが違うよ。
『実は成功率は変わらない。ただ品質が高いので、魔力が高くないと高品質を保てない為、それで作れないだけだ。つまり魔力が高ければレベルが低くても成功すれば作れる。魔力が低ければ、成功してもエリキシルにはならないだけの話だ。それは失敗となる』
そうだった。リレイスタルさんって錬金術師だった!
ねえエリキシル作れるよね?
『作った事はない。ポーションもな。私の時代は、ポーション系は薬師というくくりだった。マジックアイテムを作るのが私の専門だ』
なんだって? じゃ作れないの?
「どうぞ。入って」
『声を掛けられているぞ』
「あ、うん」
やっぱり断った方がいいかな……。期待させてもなぁ。
部屋に入ると、美人の女性がベッドに横になっていた。チェミンさんと同じブルーパープルの髪。
近づくと目を開けた。その瞳も彼女と同じパープルだ。
「チェミン、その方は?」
「前に話したでしょう。凄いポーションを作った人よ」
『凄く期待しているようだな。そうだ。彼女のステータスを確認してみたらどうだ? 何かわかるかもしれないぞ』
医者がわからなかったのをステータスを見ただけでわかるとは思えないけど?
『医者は、ステータスを見れるのか?』
後付けで持っているはずだけど、別料金。でもまあ、お金持ちだから見てもらってると思うけど?
『無料でやってやれ』
別にお金は取らないよ!
「ステータス!」
僕は、ボソッとつぶやき、チェミンさんのお母さんのステータスを確認した。
『ミリラ』総合レベル:27
HP:20/220
MP:40/40
魔法:実りの水
契約魔法:夢見
「え!」
『………』
なんで魔法を覚えているの?
「どうしたの?」
「あのさ、君のお母さんって元冒険者とか?」
「え……」
「いいえ。なろうとも思った事はありませんわ」
「あ、すみません。いきなり……。えっと、マルリードといいます」
「ごめんなさいね。二人とも無理を言って……」
「いいえ。あの、つかぬ事をお聞きしますが、後付け魔法なんて覚えた事ありますか?」
そう聞くと、首を傾げられてしまった。
「チェミンが覚えた錬金の魔法の事かしら?」
「はい。そういうのを誰かに教わったりとか……」
「いいえ、一度もありません」
「ですよね……」
じゃなんで覚えているの? どう思う?
『………』
うん? もしかして心当たりある?
『彼女の具合が悪いのは、呪いのせいだろう』
え? 呪い? 僕は他人のは簡易的にしか見れないけど、リレイスタルさんは詳細見れるの?
『いや、今の私には何もできない。契約魔法の夢見が原因だろう』
よく見れば簡易魔法ではなくて契約魔法。夢見が呪いの魔法で……って! まさか、リレイスタルさんが作った魔法? え? マジックアイテムを使ったって事?
『使うだけでは、魔法は覚えない。しかも一度きりのものだ。契約を結ぶか問われ、契約内容が表示される。それに同意して初めて覚えるのだ』
あぁもう! 実害が出てるじゃないか! どうするんだよ。で、呪いの内容は? だいたい生命に危険はないって言っていなかった?
『落ち着け。今、思い出すから。何せ一番最初に作った枕のマジックアイテムだからな』
枕……。見れば、真っ黒い枕を頭の下に敷いていた。
「あの……その枕ってもしかして、代々受け継がれているとかいいませんよね?」
「え? 枕ですか? これはこの前空市で買ったのです。寝心地がいいので愛用しています」
『その枕だな。さっきも言ったように使っただけでは魔法は覚えない。夢うつつに契約したのかもしれないな……』
なんてものを作ってるんだ!! これどうにかしないといけないよね。協力してよ!
『わかっている』
はあ、最悪だ。
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