第15話-河童-
あの有名な妖怪の話なんだけど。
最近目撃証言があったらしいぜ。
元々川の妖怪だろ?
だから田舎とか山に出るのかと思ってたんだけどさ。
街中に出たんだって。しかもドブ川。
ああいう所ってさ、よくゴミが捨てられるだろ?
そういうゴミが、三日に一回くらい纏められてドブ川のそばの道に捨てられてたらしいんだよ。
誰かがドブさらいとかしてるのか?って話になったけど、量と頻度が異常だったから、誰がこんなことしてるんだろうって話題になったらしくて。
で、確認しようとするやつが出て来るんだよな。
いつもゴミが置かれてるところを見張れる位置で、近くの植え込みに隠れてたらしい。
日が暮れて、辺りがすっかり暗くなってきた頃。
しばらく待ってると、川からバシャバシャ音がして、しぶきが上がってるのが見えた。
よく見ると、その中からゴミみたいなものも飛んで出て来る。
さあ、来たぞと思ってスマホのライトを構えながらそのしぶきが上がってるところに走っていった。
ゴミが上がってくる路肩の横から、ゴミが飛んでいる川の辺りを照らす。
すると、人間の頭みたいなものが水面に浮かんできた。
その頭が、自分を照らしている灯りに気付き、ゆっくりとこっちを向いたんだ。
ライトが反射する、二つの大きな目。
よく見ると、くちばしがついてて、鼻が無い。
明らかに人間じゃない。
そう、河童だよ。
怯えて動けなくなっていると、そいつは気味悪く笑って、川の中に沈んでいった。
暗闇と水が濁ってるのでそれ以上は見えなかったけど、しばらくそこで動けなくなってる間、再び頭が浮かび上がってくることは無かった。
ただの人間だったら、確実に溺れて死んでるだろうけどな。
それ以来、道に川のごみが上がることは無くなったらしいんだけど。
ゴミを拾ってくれてるんだから、ひょっとしたら余計な事せずにほっといた方が良かったのかもな。
ああ、いや。
ポイ捨てなんかしないのが一番いいのか。
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