第14話-井戸-

 さっきの話が怖い系だったからな。

 じゃあ俺は、どっちかと言うと不思議系の話をしようか。


 俺さ、小学校低学年くらいの頃は夏休み中一週間か二週間くらい母方のじいちゃん家に一人で泊まりに行ってたんだよ。

 とんでもないド田舎だったけど、まあ小さかったし、自然の中で走り回って遊んでたんだ。


 特に好きだったのが井戸。

 歩いて五分もしないところに、使われなくなった古い井戸が蓋だけして残されてたんだ。

 そこで毎日待ってくれてる友達がいたから、井戸のそばの空き地でずっと遊んでた。


 まあ最近はそんなことすっかり忘れてたんだけど。

 この前じいちゃんの家行って、アルバムを見る機会があってさ。

 それでびっくりしたんだよ。


 昔遊んでた子が、小さい時のじいちゃんと一緒に写ってるんだもん。

 それで、今まで存在すら忘れてた友達のことを思い出したんだけど。


 思わず「これ誰?」って聞いたら、じいちゃんの死んだ弟だって。

 なんでも、幼い時に井戸に落ちて死んじゃったとか。

 どこの井戸かとかは聞かなかったけど、立地的に多分?


 よくよく見るとじいちゃんの小さい頃って、子供の時の俺とそっくりなんだよな。

 もしかして、俺のことを兄ちゃんだと思ったのかもな。

 まあかなり昔のことだし、俺の勘違いかもしれないけどね?


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