第15話

スケルトンシーフから【探知】、スケルトンアーチャーから【弓術】、スケルトンメイジから【魔力操作】、スケルトンバードから【鷹の目】を借りる。


今のレベルは17、なかなか戦う機会がないからレベルが上がらない。

剣聖ジジイがレベル35、槍聖ジジイがレベル37と倍以上離されているのもウザくてたまらない。


彼らの役割はレベル上げとモンスター退治だから真面目に仕事をしているだけなのだろうがなんか釈然としないのだ。



ブロック塀に飛び乗り、【探知】で捉えた待ち伏せ中のゴブリン達を上から奇襲。


その後、ダンジョンないに戻ってダンジョン化をする……これが結構めんどくさい。ずっとそうして進む訳にも行かないので、さっき言った通り今日は弓。

遠距離から殲滅しながら、ダンジョン化を並行して行おうという試みである。


もちろん、前みたいなことにならないよう、俺がスキルを借りたことによって戦闘能力が著しく低減した場合は後方待機させるよう指示している。



『無限弓』。魔力を用いて矢を生成し、魔力の続く限り無限に撃てる仕様になっている。矢には様々な魔法の付与が可能で、魔法スキルがなくても魔法に似た攻撃を放てる。

お値段1億7000万!


高い!が、きちんとそれに恥じぬ性能を持っている。

まず、高ランクの武器は耐久性に優れる。あまり脆いと、思わず握りつぶしてしまったり引きちぎってしまったりする可能性がある。

この武器なら、俺の爆速成長するステータスでも、当分の間使い続けられるだろう。で、合わなくなってきたら配下におろすと。

それから攻撃力も単純に強いし、込める魔力量で更に攻撃力を上乗せできる。

たくさんの配下のステータスのおかげで魔力が多い俺からすると正に無限の弓である。


それから見た目もかっこいい。


弓本体からは所々が前方にせり出して尖り、握りの部分に至ってはエヴァンゲリオンのロンギヌスみたいな二重螺旋の突起が大胆にも突き出している。


とりあえず試射。


シュッ……ドオォン!


「ああああ資源がァァァァァ!」


火にしたのがいけなかったのか?

いや、見た感じどの属性にしても壁くらいぶち抜けそうな威力ではある。


「”売却”!……お、出来た……て、安!?”家の残骸”じゃねぇ!さっきまで家だったのに!」


先程の破壊で所有権がかき変わるほどの影響を受けたか、元々所有権が浮いていたのか。個人的には前者だと思いたい。


《”家の残骸”20万DP。かつて家であったものが、”瓦礫の山”判定になる寸前でどうにか耐えた姿。廃材は竈木に、かろうじて破壊を免れた部位は建材として再利用可能》


「じゃあ家の中のを売ったのが92万3050DP!?安くないか?」


《物品の価値はその状態に大きく依存します。売却額は物品の価値の高さに比例します》


つまり俺が壊したせいだな、知ってました。爆風で家の中も酷い状態になっていたはずだからな。


「まあいいや……さっさと売れるものを探していこう」


1ブロック1万DPで1km²を拡張するには1億DPが必要である。御影、牧野一行が1日に進む距離は…………まあ20kmってところか?

今の彼らはスタミナも走る速さもかつてとは比べ物にならない。荷物持ち兼護衛のスケルトン達の速さに合わせ、通るブロックとその周囲数ブロックの敵を殲滅しながら行くとしても平均時速3kmで7時間。


さすがに暗くなる前には移動を終えて拠点を確保すると思いたい。野宿と違って、テントを立てるかそこらの家に潜り込むかすればいいのですぐにできる…………とか思ってギリギリまで戦ってそうなんだよな。


とにかく、1日20km幅100mと仮定して2億か。


こっちで使う分を考えても3日は持つかな。

こちらはダンジョンの発展を進めて、明日にでも避難所入りする予定である。


建造物生成が解放されればすぐにでも…………


《建造物生成/強化が解放されたようですよ》


……おっと、ナイスタイミング。

新機能解放だけではログが出ないから、確認するまで分からないのだ。しかしどうやらナビには分かるようである。


生成可能な建造物リストを探していくと……あった。

『迷宮倉庫』と『ダンジョンマーケット店舗』である。


『迷宮倉庫』はダンジョン内から物の出し入れを行える、言わば実質的なアイテムボックス。

それから『ダンジョンマーケット店舗』はショップ機能を付与した店舗で、俺以外にも使えて便利。だが、DPという通貨を持っていない人は使えない。


それだと現状誰も使えないじゃないか、となるが、それはダンジョンマーケット店舗の”買取”機能によって解決する。


通常”買取”は、DP保有/使用権を付与された人間(俺とか)から物を受け取り、DPに変換する機能である。

が、一応、物々交換的な……

例えば、売却額50DP、しかしDP保有権が無い。

ならその場で50DP以下の品物をお持ち帰り頂けますよ、という機能である。もちろん差分は帰ってこない。


税率設定と差分の横領により、ウハウハな未来が予想される。


(……いや、避難所にどれだけ物を持って入ってるかと言われれば……身1つで入ってる人も居るだろうしな……)


当然、売却は所有権が他人に無いものだけである。

まあ、その辺は避難所の偉い人に何とかして頂こう。向こうからすれば地獄に仏、なんか適当に自分の所有物を持ってくれば食料に変わるのだから。


シュッ、パァン!

パァン!


落し物拾いとモンスター殲滅のせいで移動は遅遅として進まないが、何とか目的の小学校までの道のりを半分程進んだ時。


ポツ……

ポツ……


雨が降ってきた。

思えば、あの日以来初めての雨である。


すぐに、ザアザアと鳴るほど雨足は強まっていった。

魔力の放出で雨粒を押し返し、雨宿りのために状態のいい家を探す。


(……確か、公園とかグラウンドに避難してる人も居るんだよな……?)


嫌な雨だった。



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ダンジョンが出来て世界はヤバそうですがチート職業”魔王”の力で日本を平定します _( _´ω`)_ツライム @_turaimu_

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