【完結】風待つ朔(旧:風読 月夜見)

作者 丹寧

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★★★ Excellent!!!

重厚な物語に丁寧な描写がたまらない作品で一気読みしました! 絡み合うキャラ達の心に涙がこみ上げてきます……しんどい……でもそこが好き……。素直になれたなら、向き合えたなら、手を伸ばせたらなら。そう考えずにはいられません。

素敵なお話をありがとうございました!!!

★★★ Excellent!!!

風神の末裔・夕星が故郷・家族・許嫁を失うところから始まる流転の人生を通して、自身に紐付けられた過酷な宿命と、様々な思惑に翻弄されながらも、懸命に生き成長し、そして……

姿を持たない近衛・葉隠という存在がかなり巧みに活かされています。
夕星との距離感の変化、自身の存在や生き方についての内省、派手な台詞や立ち回りは見せないのに圧倒的な存在感。

何より特筆すべきは、圧倒的な描写です。
天象を引用した情景描写は勿論、心理描写も選び抜かれた語が巧みに配置されています。
是非、絶大な効き目のある『一文』を探してみて下さい。

ストーリーと言葉運びの何れにおいても、とにかく読み進めるほどに心を鷲掴みにされるのは間違いありません。撃ち抜かれると言っても良いです(経験談)。

前日譚の『月読 鳴雷(つくよみ なるかみ)』も併せて、とても素晴らしい作品です。

第一部の終わりまで読了してのレビューです。
ここまでの壮大さと感動を一旦自分の中で落ち着かせたいと思い、この時点で書かせていただきました。
第二部は更新を追いかけながら読みたいと思います。

★★★ Excellent!!!

本作は古代日本・葦原中津国を舞台として、風神の末裔の姫である主人公が出雲国からの侵略者に追われる場面から物語は始まります。
月読に連なるという姿の見えない護衛に守られ、筑紫洲(九州)へと逃げ延びた少女は、天照の末裔たる女王の庇護を受けるのですが、やがては大国同士の戦乱に巻き込まれていくこととなるのでした。

日本神話や邪馬台国などを下地とした独自の世界観が築かれています。
しかし、特筆すべきはその表現力であり、古語を随所に盛り込むことにより紡がれる古典と現代文が融合したような独自性は、他者が容易には真似の出来ない唯一無二性を誇っています。
ファンタジー好きな方だけでなく、神話が好きな方、古典が好きな方にもお薦めの作品です。

★★★ Excellent!!!

美しく豊かな日本語によって語られる、新たなる日本神話。
WEBよりも書籍で読みたくなるような作品です。

許婚を失い、故郷を追われた夕星姫。
彼女は一人で逃げ出してきたと思われていた。
が、実はそばに、月の下でしか姿を見せない不思議な人物の存在が…。

夕星と、姿の見えない近衛・葉隠との、徐々に恋に近づいていく複雑な関係。
偉大なる日向大王が統べる国と、他国とのせめぎ合い。
風を詠む一族に生まれたが故の、あまりにも酷な運命。

翻弄されながらも、ひたむきに生きようとする夕星はどこまでも美しく愛らしい娘です。
彼女と他の登場人物との関わりが、色鮮やかに華麗なる物語を作り上げていきます。

格調高いけれどわかりやすく読みやすい文章は、読者の心を一気に神話の時代へと連れて行ってくれます!
じっくり読書に浸ってみたい方にお薦めです。

★★★ Excellent!!!

既に多くの方が記されている通り、卓越した文章の美しさと、雄渾にして幻想的な物語世界が魅力的な作品です。
もはや何を書いても蛇足になりそうですが、、、重箱の隅のようなコメントを。

読み始めた当初から、この方は古事記や日本書紀、万葉集あたりをよく読まれているんじゃないかなと思っていました。古代世界の描き出し方はもちろん、言葉の択び方、漢字の使い方など、文章の端々から。(勝手に感じただけで、実際のところは分かりませんが)
もちろんそれらを読み、吸収し、そこから言葉を持ってくる作家はたくさんおられるでしょう。特筆すべきは、丹寧さんの文章はそれら古典の力を借りて出来上がっているのではなく、丹寧さんのなかで熟成された独自の美しさに、絶妙なスパイスとして古典が振りかけられていることです。嫉妬することさえ許さぬほどの才能。最良の語り手を得て生き生きと開く物語。
私の知るなかで、書籍化されるべき最有力の作品だと思います。

★★★ Excellent!!!

物語は、風読みの力を求めた権力者たちに、国と婚約者の命を奪われるという残酷な場面から始まります。
追われる夕星は、一人の、目に見えない近衛・葉隠とともに、海を渡り筑紫洲へ逃げていくのです――ただ、生き延びるために。

「夕星が命を落とせば、葉隠もまた命を落とす」。この条件があるからこそ、夕星は全てを失ってもなお、見知らぬ土地で懸命に生きようとします。葉隠の主人を咄嗟に夕星に切り替えた朱鷺彦は聡明な人ですね。

数人ながらも信頼できる人を見つけ、権力者たちに翻弄されながらも強く成長した夕星。葉隠との切ない恋の行末は――。
特に、4章・5章では物語が急速に動き出し、最後は涙なしには読めませんでした。

風読みや先読み、呪術など、不思議な力は出てきますが、本当に古代日本ではこういった力が用いられていたのではないかと思うほど、古代の情景が鮮明に浮かび上がってきます。自然や死の近さなど、現実味を帯びた描写がより物語への没入感を高めています。

無駄な会話文や描写はなく、登場人物たちの心情を想像される余白が残されており、読んでいて気持ちが良い文章です。

引き続き、外伝以降も『風待つ朔』の世界を楽しませていただきます。

★★★ Excellent!!!

 まるで古代日本にタイムスリップしたかのような臨場感です。
 古えの美しい山々や海、人々の心情、暮らしぶり、巻き起こる戦火……ため息が出るほど美しい言葉によって紡ぎ出される情景は、五感を刺激するかの如く、読者の目前に迫ってくることでしょう。
 そして、数奇な運命を辿るのは、風読の才を継承した夕星と、彼女を命がけで護る謎多き葉隠。二人のお互いを想う気持ちは、みなさんの胸も熱くされると思います。
 二人が落ち延びた先には、日の神の末裔の巫女が統べる国、智舗国。
 そして敵対する熊襲国。
 両国の命運をかけた戦いと、動きだす自然の脅威、神々の見えざる導き。
 
 是非、みなさんも時代の目撃者になってください。

★★★ Excellent!!!

 繊細な描写と緻密な調査が光る、古代日本を舞台とした歴史ファンタジー。邪馬台国という名は誰もが聞いたことあると思いますが、それが九州にあったという説をベースに、日本神話の神々の末裔である人物たちが描かれてゆきます。

 風読の力を持つ夕星は、彼女の能力を欲した者たちの襲撃により故郷と許婚を奪われてしまいます。許婚の青年が彼女の護りにと託してくれたのは、姿のない近衛・葉隠。途中、海を越え、悪漢に襲われ、道なき道を進み、辿り着いたのは日向大王の統べる大きな国でした。
 先見の力を持つ大王に迎え入れられた夕星は、そこに身を寄せることになりますが、やがて熊襲国との戦いに巻き込まれてゆくことに――。

 日本神話と史実、九州地方の風土特色などが巧みに織り込まれており、邪馬台国と熊襲国(人によっては狗奴国という名称に馴染みがあるかも?)の戦いや、神々の末裔が持つ不思議な能力が、オリジナリティ豊かに編みあげられています。
 軸になる夕星姫と葉隠の、多くの制約に縛られた関係性も、非常に胸を揺さぶるものとなっており、二人の想いの先を見届けたいと思わせられます。

 風読の姫に科せられた呪いとは何か、葉隠の「姿がない」とはどういうことなのか。
 ぜひとも本作を読んで、確かめてください。

★★★ Excellent!!!

 ひとたび読めば、そこに古代日本が現れますっ。

整地も舗装もされていない、剥き出しの自然がそこにあります。
そこは、人の手心が入っていない神が制する世界です。
親しみやすい神ではありません。
神から力を授かる末裔はおりますが、神はほぼ人に配慮なんてしません。
人とそこら辺で這う虫が、同等に四季の恵みを受け、自然の厳しさを耐え忍びます。
 しかしです。
だからこそ桜の散りゆくような、儚い美しさがここにありますっ。
緻密で大胆な筆致により、物語の至る所に溢れかえっています。
草木にも月明かりにも、そこに生きる人々にも目が離せない美しさがありますっ。
 そこのあなた様。
物語の主人公・夕星と一緒に、四季を通してその厳しさ見つめれば、心揺さぶるような美しさを手に入れることができますよっ。
その目で見ることができます。

おいどんのオススメでごわっす。

★★★ Excellent!!!

寂しさで夜空を見上げて、月を探した事はありますか?

寂しさで押しつぶされそうな人を支えたいと思った事はありますか?

決して報われないとわかっていても側に居たいと思った事はありますか?

ある。って方にはぜひ読んで頂きたい。

でも人がいるところでは読まない方が良いですよ。泣きますから(●´ω`●)

★★★ Excellent!!!

圧巻の世界観であることは、他の方々のレビューを読めば明らかでしょう。せっかくなので、別路線からレビューします。

素晴らしい物語の条件のひとつは、登場人物のあれこれを勝手に妄想したくなること。わたしはそう思っています。

大きな運命を背負う夕星に仕えることになる、従者・葉隠。
姿なき彼の存在が物語を鮮やかに彩り、夕星の魅力を大きく増しています。
あのとき、彼はどんな気持ちだったのか……。
そうやってあれこれ考えてしまうほど、物語にどっぷり浸かっていました。
彼のせいで何度言葉を失い、ジタバタしたことでしょう。
いっそ夕星になりたい(なれない)

圧倒的世界観は保証済み。そこに、魅力爆発の登場人物がいる。
それだけでも読む価値があります。
おすすめの作品です。

★★★ Excellent!!!

風を読む力を持ち、その力を継ぐ娘を産めば命を落とす宿命の姫・夕星。
夕星を守って死んだ主人の命により、新たに彼女を主人として護衛することになった、姿なき従者・葉隠。
故郷を失い落ち延びた先、大国の趨勢に翻弄される二人の、魂の絆と生き様を描いた和製ファンタジーです。

精緻な筆致で綴られる世界観に、冒頭から惹き込まれます。
物語への没入感が凄まじく心地よく、夢中で読み耽りました。

どの登場人物も魅力的ですが、やはり夕星と葉隠の切ない関係性に心を揺さぶられました。
名付けることのできない想いを抱き合う二人は、「相手の命のために自分も生きる」ことをそれぞれに決意します。
そんな彼らが辿った運命は、あまりに哀しくて——

端正な物語なので冷静な心持ちで拝読しようとしていたのですが、終盤になるにつれ情緒がぐちゃみそになっていき、最終的には語彙の大半を失ったコメントを残すなどしてしまいました。つら……むり……

余韻が胸に巣食っていて、ずっと苦しいです。
風が吹くたび、月を見るたび、きっとこの物語を思い出すと思います。
素晴らしい作品をありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

天象を読める夕星。
姿の見えない葉隠。
一心同体の二人の関係がいいです。
キャラの背景。過去。深いです。


しっかりした世界観。
時代背景、知識が深いです。
文章うまいですー。情景描写、綺麗です。
印象的なフレーズ。心に残る台詞。
叙述トリック的な物語の繋がり。
迫力のアクションシーン。
和の神々を上手く使ったストーリー。
映画を見ているようなシーン。

感動。切なさ。

この力作を読めたことに感謝!

★★★ Excellent!!!

古代日本へと馳せる想いを日本語の美しさが際立つ流麗達筆な文章で綴られている日本の古代の謎に迫る力作です。日本神話を基軸に太古から培われてきた日本の風習、伝統を織り交ぜ、展開していくファンタジーの世界観にも魅せられます。

★★★ Excellent!!!

儚くも美しい雰囲気と重厚な世界観。
それらを際立たせる秀逸な文章表現。



読者としては単純に楽しむことができ、いつまでも余韻に浸っていたくなるような読了感です!

作品を手掛ける人間としては
『こんな美しい作品を作ってみたいなぁ』
と思わされました。

たっぷりと味わえるだけでなく、勉強になるような素晴らしい作品です!!


★★★ Excellent!!!

歴史小説や随筆で扱われるモチーフは、平安時代の雅な物語や、戦国時代や尊皇攘夷の血なまぐさいもの、または江戸中期の資料から想起されたものが多いですよね。
最も古くても邪馬台国や飛鳥時代を想像で書き切るといったところでしょう。

こちらの作品では国や集落の規模、位置関係、統治の仕組みなど、すんなりと納得できる解説と描写でどんどんページを進めてしまいます。

細やかで繊細で感情移入させる文章はキャラクター達をとても魅力的に描いています。

前日譚となる外伝を挟んでの新章!
この作品の続きが読める喜びでいっぱいです!

★★★ Excellent!!!

日本神話、古代日本を舞台に、混ざり合う人間模様と美しい情景を見事に書き出したファンタジー。第一部は故郷を追われた姫君と、彼女を守る姿なき護衛を。第二部は孤独を恐れ、居場所を求める青年を主役に据えて、物語が進んでいきます。

第一部では、故郷を失いながらも屹然と立つ姫君・夕星と、彼女の護衛である姿なき寡黙な青年・葉隠が、新天地で国同士の争いに巻き込まれていきます。この二人の関係性とすれ違いが、とにかく切ない。兄の許婚だった夕星に惹かれながらも想いを秘する葉隠と、許婚を忘れないでいつつも葉隠に惹かれていく夕星。戦乱の中でも凛々しく、健気に咲く花のような二人の結末は、しかし夕星の儚く悲しい散り様にて幕を閉じてしまいます。

第二部では、夕星を喪った葉隠こと鷹彦と、拠り所だった家族を喪い、孤独を恐れる不器用な青年・騒速が主役。尊敬する鷹彦について行きながら、自分の居場所を求め、徐々に孤独を溶かしていく騒速の若々しさにニヤける反面、癒えようのない孤独を独り抱える鷹彦の淋しさに、胸を締め付けられます。暗い思惑も蠢く中、孤独を抱える者同士はどんな結末にたどり着くのか、必見です。

夕星、葉隠/鷹彦、騒速と三者の名前を挙げてきましたが、彼女たち以外の登場人物もとにかく魅力的です。男性にも女性にも、惚れてしまうようなカッコよさを持つキャラ(もちろん、たおやかだったり可愛らしかったりするキャラや、油断ならないキャラもいます)が多く、一人一人紹介すると長くなるので、控えなければならないのが残念なくらいです。

古代日本の風や匂いを感じる、美しい情景描写もさることながら、濃淡も色合いも様々に渦巻く心理描写も見所の、上質な大河ファンタジー。読んでいる最中は没頭状態、読了後は放心状態になりかねませんので、そこだけ気をつけてお読みください!

★★★ Excellent!!!

美しい。ただひたすらに。

血の通った登場人物達も、幻想的だが確かに感じる日本の風土、風景も、そして語られる苦難に満ちた生き様も。

その全てが何処か懐かしささえ感じさせる。
この物語を真に味わえるのは、今こうして日本という国を生きている私達のみの他ならない。

だから、読むべきなのだ。
後悔や、面白くないなんて事は絶対に無い。

このレビュー、この作者、この題名、兎に角どれかをクリックして読み出して欲しい。


間違い無く、貴方を神話の世界へ連れて行く。

最高でした。
読ませて頂き、ありがとうございます。

★★★ Excellent!!!

 まさに日出ずる国のファンタジー。
 神代の血脈が生き、自然の力が神の御業と信じられた時代。国と国の戦争、人と人の策謀に翻弄された亡国の姫の物語……なのですが、私はその姫を護る為に付き従う護人の青年の活躍に、深く心打たれました。
 護りたい人を護り抜く為に、己の全てを懸けて一途に奔走する。みんなを護る英雄では無く、たったひとりの為に戦う愚直な護衛兵の生き様は、読み進めるほどに心が震えます。

★★★ Excellent!!!

登場人物の心の動きが細やかに表現され、いつのまにか、自分の物語の登場人物の一人になったかのような錯覚を覚えます。

結末も、読者に想像を掻き立てる構成になっており、「希望」とは、どういうものなのか深く考えさせられました。

また、歴史に詳しくなくても、続きが、どのように展開していくのかワクワクしながら読み進めることができる秀逸な作品です。

★★★ Excellent!!!

WEB小説に求められるであろう「読みやすさ」と、書籍に求められるであろう「物語性と描写力」が、絶妙なバランスで調和していると感じました。
序盤は美しく綴られた日本語の表現力を堪能して読ませて頂きましたが、佳境に入ると物語の先が気になり、一息に頁を繰っていました。
キャラクターは、主要人物から脇役に至るまで、魅力的に書き込まれています。月読命(つくよみのみこと)と呼ばれる古来の神の末裔が存在した時代を背景に構築された、和の香気の美しいファンタジーです。
趣がある綺麗な物語を堪能したい方々にオススメです。
読書の秋に是非どうぞ。

★★★ Excellent!!!

神話の世界って、人間の感情が剥き出しになっていて、非常に人間らしいものが多いですよね。
この小説も、いろんな人の感情や思惑が交錯していて、一筋縄ではいかない人ばかり。それでも美しく感じてしまうのは、高い構成力と表現力と言葉選びのセンスの賜物でしょう。

最後、これで終わりなのっ!? と思いましたが、それが不思議な余韻となって、忘れられない作品となりそうです。
悲しい結末ではあるのに、安堵感があるのは、きっとどこかで、二人はまた会えると思えるからなのかもしれません。

★★★ Excellent!!!

日本の自然を情緒豊かに描く文章は幻想的で、国を追われ、誰のために生きるのかと問い続けながら必死に駆け抜ける生きざまは、読む者を離しません。

一文一文の美しさにじっくりと耽溺したい気持ちと、物語自体もしっかりと面白いために続きを読み進めたいという欲求のあいだで、引き裂かれるような心地で読みました。

繊細な情景と心理描写に加え、それぞれの生まれに厳しい運命を背負った登場人物たちもとても魅力的です。
ただ美しいばかりでなく、この時代で生きる過酷さを、民を統べる立場からも、国盗りの運命に弄される人間からも描き、また自然や情念の恐ろしさ、瞬きのうちにあっけなく命が散るような容赦のなさもしっかりと書かれており、ぞくりとさせられます。

主人公とその護り手の距離感は哀しくも愛おしく、最後に彼女たちが邂逅した場面では切なさに思わず声が漏れました。
そして美しい余韻で静かに幕を閉じるのかと思いきや、終章の、昏く燃えるような、ぐっと引き掴んで迫るような終わり方。圧巻です。

夜闇のなかで引き絞った弓のような作品です。
研ぎ澄まされた緊張感と孤独に震え、張り詰めて、でも凛としている。
月明かりが白くその弦を光らせる様は美しく、力強く、
一度読み出せば、放たれた矢は空気を切り裂いて高く鳴り、弓矢のゆくえを息を呑んで見つめてしまう。
――胸を衝いてしっかりと残り続ける、そんな物語です。

同じ世界での別のお話の構想もあるようなので、楽しみに待ちたいと思います。

★★★ Excellent!!!

古の民が背負う宿命 ——
彼女彼らの織りなす美しい物語 ——
甘く切ない音楽のように、作者様の紡ぎ出す感嘆するほどの繊細な表現が登場人物たちの熱情を際立たせ、どこまでも心に響きます。
読み進むにつれてその世界観に見事に惹き込まれてしまいました。
感情が触れ合って絡み合いはじめる頃になると胸がつかえるような感動と共に涙腺が緩んできて…
是非、たくさんの方に読まれるべき名作です!

★★★ Excellent!!!

歌のように心地よく流れる文章がとても印象的でした。
言葉の選び方一つ一つが世界を構成しているようで、このお話の空気が感じられるような文章がとても綺麗で全てが美しく、知識も勿論ですが自分にはこれほどの文章力が全く無いので本当に凄いと思いました。
読み終えた後になんともいえない余韻が残り、また読み返したくなってしまいます。

★★★ Excellent!!!

ファンタジー作品として、ストーリーも面白いのですが、日本神話の豊富な知識に裏付けされた世界観が、本作品の特筆すべき魅力になっていると思いました。

言葉など、正直なところ、私には難しいのですが、結末が気になってどんどん読みすすめてしまいました。
のみならず、私もいつか日本神話をモチーフにした作品を書いてみたいなと、刺激を受けました

★★★ Excellent!!!

最初から最後まで、遥かな古代の悠久を感じさせる繊細な描写にうっとりしました。古事記や日本書紀に見える、美しくも血なまぐさい歴史の渦に巻き込まれる夕星の行く末が気になり一気に読んでしまいました。

夕星本人や葉隠やその他の登場人物たちの夕星への揺れ動く想いがとても切ないけれど、きっとこの結末しかありえなかったのでしょうね。素晴らしい物語をありがとうございました。

和製ファンタジーとして、大変おすすめしたい一作です。

★★★ Excellent!!!

当方、日本の神々にはかなり疎いです。
地理や漢字名称にも弱く、常ならば馬の耳に念仏とばかりに文字達が颯爽と駆け抜けていきます。
が、無知をものともせぬほどに読者を引き込み、美しき和の風景を鮮明に思い描かせる文章がここにありました。

舞台は九州地方。古来の地名が連なり、知識ある読者なら面白さもひとしおです。
無知なわたくしですら興味が湧き、少し調べてみれば元となるであろう地図もあり、照らし合わせて土地や勢力、背景の山々が見え、更に楽しめました。
(こちら、裏の楽しみ方と言っても過言ではありません)

登場人物らも神話になぞらえた面々ですが、皆がとても個性的で、魅力に溢れる者ばかり。
主人公・夕星の風読にまつわる多彩な表現や繊細な想い。見えない近衛・葉隠の神秘的で冷静な動向、時に情念に揺れる様。第三者視点にて描かれるそれらが、丁寧に読者へと語りかけます。

敗走の末にあまたの人と出会い、様々な情景の中で成長していく「風読 月夜見」の世界。
したたかに生きるその美しさを、是非ともその目で見守ってほしい、素晴らしい作品です。

★★★ Excellent!!!

 古代日本の諸国が争い合う時代に流転する運命、各人の人となりや心情の機微が丁寧に繊細に書き上げられた作品。
 『葉隠』なる近衛を始め、主人公『夕星』に関わる者達の秘密が徐々に明かされていく展開が大変面白い。
 溜息が出るほど美しい情景、心象風景が登場人物の幸福、悲哀、恋慕、残酷を鮮やかに彩るその表現力は圧巻。

 最後の言葉には果たしてどれほどの意味が重ねて込められているのだろう……。

★★★ Excellent!!!

作者の技量や文章の美しさは、他の方が語る通りです。
なので少しだけ変わった観点からのレビューになります。

資料のない時代を舞台とするにあたって、資料のある時代を充てる。
この発想には素直に感心するのですが、最初はやはり違和感がすごいんです。
内容は古墳時代以前なのにも係わらず、文化風俗が奈良時代以降ですから。
首をひねる人も多いのではないでしょうか。でも待ってください。

主人公は級長戸辺命の娘で、風の神に当たります。龍田大社が有名です。
もう一つ有名どころでは、伊勢神宮にある風日祈宮でしょうか。
そこで物語のイメージに神宮もあるのではないかと思い至った瞬間、あら不思議。
文化風俗も大王との関係も、月読との距離感も全てがマッチしてしまうのです。
もし違和感を覚えた方がいるのなら、この意味もわかるはず。
あとは唯々、作者の世界を堪能するだけでした。

これは私の妄想ですので、作者がどこまで意識されたのかはわかりません。
ですが神話の背景を覗きながら楽しむのも一興かと。
逆転の発想から生み出された美しい物語を、隅々まで堪能下さい。

★★★ Excellent!!!

あぁ、終わってしまった…。
なんて悲しい最後でしょう。
最後のページを何回も読み直して終わりをやっと受け入れました。
終わりたくなくて少しずつ読みましたが、夢中になって結局は捲るペースが速くなっていました。
選ぶ言葉、表現、人物、背景どれも好きです。
ちょっと描写が残酷なところもあるので中学生くらいからなら児童でもいけると思います。
読書が好きな子なら小学生から読める内容です。
貴重な良質作品でした。
どうもありがとうございました。

★★★ Excellent!!!

他の沢山のレビューで、あらすじが紹介されているので省きます。

現実的で重厚感のある世界観のなかで、聞き覚えのある日本神話の末裔達が活躍しします。
そこへ風や潮の流れ、満ち引きなどの実際の自然現象が加わってくるので、かなりリアリティーのある作品にもなっています。

もちろんラストは見物ですが、恋愛の細やかな情動やダイナミックな戦争のシーンなど、見所が沢山ある作品です。

是非、ご一読を!

★★★ Excellent!!!

主人公の名前は夕星(ゆうずつ)。
夕星とは、夕方、西の空に見える金星。宵の明星 。
彼女は父をなくし、国をなくし、許嫁をなくした。残ったのは許嫁が手渡した勾玉の短剣と、己の風読の能力と、葉隠と呼ばれる姿なき護衛のみ。

彼女は自分の国科戸国から、はるか遠い西の国・筑紫州(現九州)へと逃亡する。
たどり着いたその国は、智舗国。数々の小さな国々を束ね、呪術を持って治める、日向大王がおわす国。

日向大王とは、魏志倭人伝で記された卑弥呼の、数々の呼び名の一つ。
そしてその智舗国は、熊襲の国(現熊本県)と争いを続けていた。


必ず人は死に、国は滅ぶ。
それでも抗おうとするのが人であり、国だった。
その中で、夕星は何を見たのか。
そして葉隠が姿を隠すのは、何故なのか。

『終章 暁闇』は、月のない夜のこと。
その者は闇に取り残されたのか。

それとも、風と共に去ったのか。

★★★ Excellent!!!

最後の数ページの緊張感。なんと悲しく美しいのだろう。
切り裂かれる愛に感動する。このラストシーンのために書かれたとしか思えない。読み始めたら、必ず最後まで読んでください。
そんな美しいファンタジー小説です。

文章から流れてくる音楽のような旋律が美しすぎる。

静かに、高原の庭で紅茶を飲みながら読みたい、そんな物語です。

★★★ Excellent!!!

まだ神の力を伝え持つ人とその力を持って統治する国々。
力があるがゆえに人としての感情をおいて生きる夕星、そして葉隠。
流転する境遇が二人をさらい、そして……

まず、圧倒的な文章力とそこから書き出される古代日本の時代風景が圧巻。
更には夕星、葉隠の二人の心理描写だけでなく、対する鞠智彦らの思惑もまた深く書かれており、隅々まで読み込みたい作品です。

★★★ Excellent!!!

風光明媚な筆致で描かれる、日本創生の大河浪漫。

目を引くのは臨場感のある風景描写と、美しい文章表現でしょう。
他の時代に比べて資料の少ない時代のお話を、
まるでその目で見てきたかのように書き綴る言葉のなんと美しいこと!

当時の政治や神と人の関係にくわえ、
情勢と共に揺れる心の機微を描いた傑作です。

神がまだ人の生活に根付いていた時代、
私もまだこの世界を旅する読者のひとりですが、
その興亡の結末を見届けたいと思います。

夢のように描かれる物語の行く末を、
ぜひあなたも体験してみてください。

★★★ Excellent!!!

明瞭な描写はまるでその場に立っているかのように繊細です。

数多の神々の力を受け継いだ能力は、自然とは切っても切り離せないものである故に、彼女達が住まう世界の描写を繊細に描く事で物語の神秘性を高めているのです。

またその力を使って執政に関わるストーリーも魅力的です。

他国との戦、自国内の勢力の駆け引き、そして民草への関わり方等、詳細な世界設定が成せる展開や、伏線は先が気になります。

何より、この物語の主人公が魅力的です。

風読みの力を他国から狙われる状況の中で、思慮深く危機を乗り越える賢さもそうですし、それでいて葉隠とのやり取りと仕草は年頃の女の子そのもので、これから二人の関係はどう展開していくのかにも期待させられます。