ピンチや失敗があったが、乗り越えればそれでいい。――1
翌日の午前。
俺たちは、エイリピアの海岸に集まっていた。
「じゃあ、俺とみんなでカムラ遺跡に行ってきます」
「ああ、気をつけて。私とクレリアくんは、呪いで衰弱したひとたちを介抱しているよ」
見送りにきたシェイラさんとクレリアさんに、俺たちは力強く
「けれど、みなさんはどうやってカムラ遺跡まで向かうのですか? カムラ遺跡は海中にあるのですよね?」
「大丈夫です。俺たちにはララがいますから」
不安げに眉を下げるクレリアさんに微笑むと、ララが、むん! と
「お任せください~! 旦那さまたちは、わたくしが安全にお連れしますよ~!」
ララが海に飛び込む。その体が神獣形態に変化していった。
グングンと体が伸び、藍色の
着水したときには、ララは
海の王とも称される神獣『ティアマト』だ。
「『バブルバリア』!」
ララが水魔法を行使すると、俺、クゥ、ミア、ピピ、シュシュ、サシャそれぞれの全身が、
ひとひとりを丸々取り込んで、なお余りあるほど大きな水泡だ。
「ブヨンブヨンした感触だね!」
「けど、全然、破れない」
クゥとピピが水泡をポヨンポヨン叩き、その強度に感心する。
「こ、呼吸も、できます、ね!」
「これなら海中でも安全だよ」
シュシュとサシャが、満足げな笑みを見せた。
「それではみなさん、わたくしの背中に乗ってください~」
「「「「「はーい!」」」」」
クゥ、ミア、ピピ、シュシュ、サシャが、海岸から飛び出し、ララの背中に
「シルバさま、参りましょう」
「わかったよ、ミア」
ミアに答え、俺はシェイラさんとクレリアさんに
「行ってきます!」
「「行ってらっしゃい!」」
ふたりに背を向け、ララの背中に飛び乗る。
「では、出発です~」
ララが海に潜っていく。
手を振って見送るシェイラさんとクレリアさんに、俺たちは手を振り返す。
すぐに視界が青に覆われ、カムラ遺跡までの海中旅行がはじまった。
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