妖精女王は人族を信じないが、俺だけは別らしい。――6

「よ、よし! これで洗い終わったぞ!」

「ん……まだだ、よ?」


 動揺を悟られないよう、必要以上に大きな声で知らせると、熱い吐息を漏らしながら、ピピが俺を見つめてきた。


「まだ、お股、洗ってない」

「ごふっ!!」


 思わず咳きこんだ。


「そそそそこは流石に無理だよ!」

「どうして?」


 ピピの質問に、「そそそそれは……」と、俺はテンパる。


 無理なんだよ! 女の子のに触れるなんて、前世・現世通して童貞の俺には、荷が重すぎるんだよぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!


「えい」


 内心で絶叫していると、ピピが俺の右腕をまたいだ。


 ピト


 手首に当てられたの感触に、俺はピキッと硬直した。


 思考停止している俺の右腕に、ピピがズリズリと股間を擦りつける。


「んっ、んっ、んぅっ? はぅ❤ ふあぁぁ……❤」


 はじめはマジメ(?)に股間を洗っていたピピだったが、その声に戸惑いが混じり、徐々に甘ったるくなっていく。


 クイクイと腰を前後させるピピの姿を見て、フリーズしていた俺の脳みそが一気に覚醒した。


「ななななにしてるんだ、ピピ!?」

「お股、洗ってるの……はぅん❤」

「だったら、なんでそこであえぐの!?」

「だって、変だもん。お腹、キュンキュンして、気持ちいいもん❤」

「もはや完全にアウトォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!!」


 ピピがトロンとした目をしながら、夢中で俺の右腕に股間を擦りつける。


 ハァハァと荒い息遣いきづかいをしながら、時折、フルルッ、と震えるピピは、言い訳の余地もなく快楽に溺れていた。


 ママママズい! このままではピピの性感が開発されてしまう! イケナイ遊びに目覚めてしまう!


「ピ、ピピ、もうやめなさい! 子どもがこんなことしたらいけません!」

「待って、パパぁ……もうちょっとで、なんかキそうだからぁ❤」

「それを一番恐れているんだけど!?」


 一心不乱に腰を前後させるピピに、俺は頬を引きつらせる。


 ピピにを経験させてはいけないと、俺は必死になって右腕を引いた。


 石鹸せっけんすべりが手伝って、俺の右腕がピピの股から一気に引き抜かれる。


 しかし、俺は焦りのあまり失念していた。


 勢いよく右腕を引き抜くと、必然的に、ピピのに強烈な刺激を加えてしまうということに。


「ひぅうううううううううううううううううううううううっ❤❤!!」


 ビクビクビクッ! とピピの全身が痙攣けいれんする。


 フラリと力なく倒れてくるピピを、俺は慌てて受け止めた。


「ピ、ピピ? 大丈夫?」

「……ん」


 おそるおそる尋ねると、ピピは潤んだ瞳で俺を見上げる。


「頭、真っ白になっちゃった❤」


 いつもは無表情なピピの顔に、悦楽えつらくとろけた笑みが浮かんでいた。


 あ、これ、完全に達してるわ。俺、ピピに教え込んじゃったわ。


 サーっと血の気が引いた。


「どうしたのですか、ピピさん?」

「ん……フワフワして、スゴく気持ちよくなった、の」

「ボクもそれ知ってるよ! ご主人さまに触ってもらったら、とっても幸せな気分になるんだよね♪」


 ピピを気遣っていたミアが、ふたりの話を聞いて目を輝かせる。


「わたしも是非ぜひ体験したいです! シルバさま、わたしの体も洗ってください!」

「ボクもボクも! また気持ちよくして、ご主人さま?」


 ミアとクゥが無垢な笑顔を見せる。


 ふたりに迫られて、俺は夜空に向けて叫んだ。


「誰か助けてくれぇえええええええええええええええええええええええええええっ!!」

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