第1475話 カムラ王国へ
何事もなく金を掘り出し、結界炉で溶かして金の延べ棒とした。
「金の延べ棒にすると大した量にならんな」
大まかなサイズにしたから何キロかはわからんが、二時間ガンバって三本だけ。換金したらいくらになるかな?
まあ、いくらになるかわからんが、これだけあれば一年は問題なかろう。
「ハァー。ゼルフィング商会の儲けでメイドを雇えるのはいつになることやら」
拡大すれば人が増え賃金も増える。オレはなんの地獄に落ちたんだろうな?
「ただ単に自業自得なだけでは?」
それには一理あると申し上げておこう。オレも考えなしなところは多々あったからな。
「金を円に替えるのもだが、六ヶ国同盟貨幣にも替えておかないとな~」
世界貿易ギルド圏内なら円でもイイが、他の国とも繋がりはある。六ヶ国同盟貨幣もないと困る。特にあんちゃんやチャンターさんは必要だろう。もちろん、オレもだ。関わってはいるが、オレはアーベリアン王国に属してんだからな。
王都は……ダメだな。大金を引き出したら会長さんやご隠居さんが出てきそうだ。また面倒なことになる予感しかしねー。
「面倒なことしようとしてるのはべー様ですけどね」
「オレは穏便にしようとしてんのに周りが騒ぐだけだい!」
「周りよりさらに騒がしくするのがべー様ですよね」
そ、それは主導権を握るため。しょうがなくだい!
金の延べ棒を無限鞄に入れる。
「そこで優雅にお茶しているみっちょん。これからカイナーズホームにいくがどうする?」
「よかった。今度はちゃんと見えていたようね」
そりゃ、リ○ちゃんキャッスルでお茶してたらな。つーか、そのキャッスルはメルヘンの間で流行ってるものなのか?
「てか、それはどこから出したんだ?」
みっちょんも無限鞄持ちか?
「ドレミの分離体が変化してるのよ」
みっちょんが飛び立つと、キャッスルがドレミ──いや、緑色のスライムになった。
「また変な能力を身につけたな」
まあ、人や猫になれるんだからキャッスルになっても不思議じゃねーが、万能度が増してきたな、ドレミも……。
「万能が多すぎてキャラ被りだな」
少しは欠点があるヤツがいないとバランス悪くなるぞ。いや、なんのバランスかは知らんけどよ。
みっちょんがオレの頭にパ○ルダーオンし、洞窟から出て転移バッチを発動。カイナーズホームへと転移した。
「利用客が増えてきたな」
カイナーズホームの港側入口(正面出入口だっけか?)にはオープンテラス? なのができていて、おそらくうちのメイドだろう女たちがお茶をしていた。
それを横目にカイナーズホームに入り、サービスカウンターへと向かった。
「ちょっとイイかい? これを換金して欲しいんだが」
「はい。わかりました。査定するのにしばし時間をいただきます」
「あいよ」
そう返事して、サービスカウンターの近くにあったベンチへと腰かけた。
「みっちょん、見てきてもイイぞ」
「それ、確実に消える前振りよね?」
「確実に消える前振りですね」
「…………」
大人しく査定を待つことにしました。
しばらくして査定が終わり、金の延べ棒が一億円に換金された。
「随分と大金に化けたな」
「金はカイナーズの勲章に使われますので需要はあるんですよ」
勲章? あーなんか金ぴかな勲章つけてるヤツ結構いたな。あれ、金だったんだ。
「いつでもお持ちください。高額で換金させていただきますので」
「あいよ」
一億円が入ったジュラルミンケースをつかみ、館へと歩いて戻った。
「港から続くトンネルもすっかり綺麗になったもんだ」
カイナがやってるのかどうかはわからんが、駅の地下道並みには綺麗になっている。ってか、往来が結構あるな。うちのもんしか使わねーのによ。
館に入ると、やはり執事さんとメイドに迎えられる。監視カメラでも設置されてんのか?
「金だ。管理、頼むわ」
ジュラルミンケースを執事さんに渡した。
「はい。しっかりと管理致します」
「あいよ。オカンと双子は?」
「只今眠っております」
「そっか。なら、またあとにするよ」
なんかタイミングワリーよな。産まれてから会えてねーや。
「魔女さんたちは?」
「まだ食堂におります」
しばらく動けないって感じだな。
「ちょっとカムラ王国まで金稼ぎにいってくるわ。魔女さんに訊かれたらたらそう言っておいてくれや」
「畏まりました。長くなりますでしょうか?」
「うーん? なるべく早く済ませたいが、まあ、十日くらいはかかるかもな。カムラにも知り合いが多いからよ」
じいさん──マーなんだっけ? ムニエルみたいな響きの名前だったような気がする。
まあ、オレの出会い運なら名前を知らなくても問題ねーか。どっかで会えんだろう。巨乳変態のねーちゃんもいるしな。
「お早いお帰りをお待ちします」
「あいよ」
館を出てまた転移バッチを発動。カムラ王国へと転移した。
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