第1385話 真の権利者とは
グッドモーニングエブリバディ。ボンジュールなボンジョルノ。知ってる挨拶を使ってみました。
だからなに? なんて朝から突っ込みは止めておくんなまし。女たちのおしゃべりに入って行けないだけです。
……ゼロワン改のほうで寝るんだったぜ……。
「あ、べー様が起きたようですよ」
そのまま寝た振りしようとしたら幽霊に気がつかれてしまった。
ふて寝もできないので起き上がり、キャンピングカーの洗面台で顔を洗った。
さっぱりしたけど、風呂に入ってねーからなんか気持ちワリーな。シャワーでも浴びっか。
「あ、水は切れてるわよ。ちゃんと補充しておきなさいよね」
そういや南の大陸で水場がなくて補充してなかったっけ。
あ、確か冷蔵庫に水が入ってたはずと開けてみたら、二リットルのペットボトルが三本入っていた。
一本取り出してキャンピングカーから出る。
「夕方か。また時差ボケになりそうだな」
まあ、ぐっすり眠ったし、徹夜することもあるんだから今さらだ。
「なにするの?」
パ○ルダーオンしたメルヘンが不思議そうに尋ねてくる。
「露天風呂を創る」
せっかく崖の上にいるんだし、開放的な風呂にでも入るとしよう。
「あらいいわね。女風呂もよろしく」
「あいよ」
右足で地面を叩き、二十畳ほどの湯船を創り、中央に仕切り壁を立てた。
「シャンプーってあったっけ?」
キャンピングカーは勇者ちゃんやララちゃんに使わせてたからアメニティグッズも足りなくなってるはずだ。
「そう言うのはわたしが補充したわ」
「よく持ってたな?」
トラベルグッズ的なものか?
「プリッシュ号Ⅲ世にも補充しなくちゃならないからね」
「Ⅲ世? Ⅱ世じゃなかったっけ?」
あれ? 改だっけ? なんかスッゲー昔のようで思い出せんわ。
「今はⅢ世よ。フミが改造しまくるから」
「もう新しいのを造れよ」
「さすがにべーの力がないとあんな船飛ばないわよ。結界キーが飛行船の大事なものなんでしょう?」
「まーな」
改造ありきで造ったから元となるキーに結界を仕込んである。だから、飛行船本体をいくら改造しようが結界キーがそれに合わせて纏ってくれるのだ。
「帝国の双子ちゃんも欲しいって言ってたから作ってあげて」
「まだ交流してたんだ、あの双子と」
オレの中では完全に消失してたよ。
「帝国の最高権力者を忘れられるのベー様の記憶力が消失してるんじゃないですか?」
オ、オレの中では双子はモブでしかねーんだよ!
「べーは公爵とレヴィウブ、大図書館の魔女から重要視されてるんだから皇室だって伝は欲しいところじゃない。わたしに名誉大使なんてもんまで与えたわ」
なんだろう。このメルヘンがとんでもねー権利を得たように感じるのは気のせいだろうか?
「少なくともゼルフィング家でプリッシュ様に逆らえる者は誰もいませんでしたね」
オ、オレはプリッつあんに逆らえるもんね!
「でも、最後には言い含められてますけどね」
「……さーて。露天風呂でも創ろう~っと」
左足で岩を創り出し、露天風呂を囲み、脱衣場をあらよっと。雑なできなのはご愛顧。決して動揺しているからじゃありませぬ。
二リットルのペットボトルをデカくして、穴を開けて露天風呂へと流した。
「どちらか火の魔法とか使えるか?」
オレの魔力(火力)では露天風呂の水をお湯にする力はございません。
「結界で温めできるでしょうに、どれだけ動揺してるんですか」
猿も木から落ちる。弘法も筆の誤り。オレだって失敗する生き物なんです!
「あ、わたしができます」
そばかすさんが挙手した。
「じゃあ、この球に火をぶち込んでくれや」
結界球をいくつか創り、そこに火球を入れてもらった。
それらを露天風呂へポイ。水が沸いていく。
しばらくすると湯気が立ってきて、いい湯加減になったら結界火球を取り出した。
「湯が冷めたら結界火球を入れて調整しろな」
「温泉の素を入れてもいい?」
メルヘンさんが湯の華と書かれたボトルを見せた。
君はそんなもんまで持ってんのかい。入れてイイからオレにもくれよ。
ボトルをもらい、露天風呂へと注いだ。
「おー温泉の臭いだ~」
温泉の素、マジスゲー。オレも買おうっと。
結界でゆっくりとかき混ぜ、露天風呂全体にいき渡った。
「んじゃ、各自好きに楽しめ」
男風呂へと入り、服をパッパと脱いで露天風呂へと飛び込んだ。あービバノンノン。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます