第1384話 汚染
ゼロワン改+キャンピングカーを出して、ツンツインテールを運んで寝かせた。
「ミラ、大丈夫なんでしょうか?」
「大丈夫だよ。魔法は魔力をそんなに使わない代わりに精神力を使う。これはオレの感覚なんだが、魔法は脳を酷使する。そのせいで回復するまで深い眠りにつくんだと思う」
オレも土魔法を使いすぎると眠りが深い。たぶん、酷使すると脳に何らかしらかの害が生まれるかもしれんな。
「あー。先生方も言ってました。魔法を上達させたいなら地道な訓練が近道だって」
「さすが魔女。含蓄があるぜ」
オレも見習って地道に訓練していきますかね。
「少し出て来るから、ツンツインテールを見ててくれや」
せっかく来たんだからコカードを採取していこう。
「あ、わたしも一緒にいきたいです!」
「穴掘りだぞ」
「それでも構わないです。ベーくんのやることはおもしろいですから」
「好きにしな」
レイコさん。そばかすさんの相手してやってよ。あ、館に入るときまた見えなくしてましたので見えるようにします。
「あ、初めまして。レイコと申します」
「あなたがベーくんに憑いてるって言う幽霊さんですね! わたし、幽霊見るの初めてです」
「大図書館なら幽霊の一人や二人いるんじゃねーの?」
「たまに本を借りに来る幽霊がいるみたいですけど、見習いで見た者はいません」
ゆ、幽霊が本を借りに来るんだ。パネー幽霊がいるもんだ。
「もしかすると、お玉さんかもしれませんね。あの方、物理干渉できるくらい霊圧がありますから」
「確かにお玉さんならやりそうだな」
もう幽霊とかの域から出た存在。本を借りにいくくらい造作もねーだろうよ。
「まあ、そばかすさんの相手してくれや」
「わかりました。よろしくお願いしますね、ライラさん」
「こちらこそよろしくお願いします、レイコさん」
魔女と幽霊のツーショット。アニメの中なら映えるだろうが、現実だとなんの感動もねーよな。
二人に構わずキャンピングカーから出て、空飛ぶ結界で前に採掘した場所へと向かった。
「……これが魔大陸ですか……」
ワンダーワンドに跨がりながら魔大陸の風景に感嘆としていた。
土ばかりで感嘆するほどでもないと思うんだが、初めての風景には新鮮さがあるもの。
前に採掘した谷に降下し、底へと到着する。
「なにするんですか?」
「コカードって石さ。バイブラスト公爵領では太陽の石と呼ばれてるよ」
崖に手を当ててコカードを探す。うん、あった。
土魔法で掘り進め、コカードをいくつか集める。
「緋色の石ですか。なにか特別な石なんですか?」
「これと言って特別なことはねーな。ただ、珍しい石ってだけさ」
硬いってこともなければパワーなストーンでもねー。魔大陸で採取できる綺麗な石、ってところだろう。
「そんな石、どうするんです?」
「なんでもないものに存在価値をつけて売り出すんだよ」
かかってるのはオレの労力。その労力も土魔法の訓練の過程で出て来たもの。まったくボロい商売である。
「触っていいですか?」
「好きにしな。欲しいなら好きなだけ持ってってイイぞ」
ここはオレの所有地じゃねー。そこで誰が採ろうとオレにどうこう資格はナッシング。ポケットいっぱいに詰め込め、だ。
大体一トンくらい採掘して終わりとする。最初に渡した量だけでも数年は間に合うだろうからな。
「キャンピングカーに戻るぞ」
レイコさんとおしゃべりに花を咲かすそばかすさんに声をかけて採掘を終了させた。
キャンピングカーに戻ると、ツンツインテールはまだ眠っており、起きる気配はなかった。
「どのくらいで目覚めるんですか?」
「さて。それはツンツインテール次第だな。オレが無茶したときは四日か五日は目覚めなかったみたいだな」
なんかツンツインテールみてたら眠くなってきたぜ。
「ボブラ村時間で深夜に目覚めましたからね、そろそろ寝る時間だと思いますよ」
言われてみれば確かに。ってか、今日は頭をたくさん使ったな。
「あ、親父殿との話もあったっけ」
「それならわたしが言っておくわよ」
あ、プリッつあん、いたのね。いつからオレの意識から外れていた?
「いつから錯覚していた、みたいな言い方しないで。館から一緒にいたわよ」
なんで元の世界のネタを知ってんだよ?
「死神漫画からよ。エリナに借りたの」
ヤダ。メルヘンが元の世界のサブカルチャーに汚染されてる!
「次の巻を借りてくるついでに伝えておくわ」
転移バッチを発動させて飛んでいってしまった。
………………。
…………。
……。
うん。寝よう。
モヤモヤする考えを放り投げて夢の中へと旅立ちました。お休み~。
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